【第1審】懲戒処分は無効と認められ、慰謝料請求は否定された例(平成26年5月13日横浜地方裁判所小田原支部)
概要
社会福祉法人が、従業員らに対してした懲戒処分としての出勤停止処分は無効であるとして、従業員らが、法人に対し、それぞれ同出勤停止処分の無効の確認を求めるとともに、同処分期間中の未払賃金相当額の支払いを求め、また、従業員のうちの1人が、法人理事からパワハラを受けたとして、理事に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料の支払いを求めた。
結論
一部認容、一部棄却
判旨
6週間の出勤停止処分という懲戒処分としても相当に重い処分であるにもかかわらず,従業員に弁明の機会が与えられたとはいえず,当該処分には手続的に重大な瑕疵があるというほかなく,当該処分は無効といわざるを得ず,法人は,出勤停止期間である6週間に相当する給与の支払義務がある。
また、他の従業員に対する1か月の出勤停止処分という懲戒処分としても相当に重い処分であるにもかかわらず,その従業員に弁明の機会が与えられたとはいえず,手続的に重大な瑕疵があるというほかなく,当該処分は無効といわざるを得ず,法人は,出勤停止期間である1か月に相当する給与の支払義務がある。
理事の従業員(上記の「他の従業員」)に対する発言の中で,懲戒解雇である旨繰り返されており,声を荒げていることも否定できないが,その発言全体を考慮すると,当該従業員が出勤停止処分を受け,これに反し出勤した場合に,これを理由に,さらに懲戒解雇になり得る旨を述べているに留まり,現に,就業規則では,懲戒解雇事由として業務上の指示命令に従わないときと定められており,仮に,当該従業員が,出勤停止処分に対し,出勤するという対応した場合は,当該事由に該当し得るから,理事の発言が,理由のない言動であるとはいえず,理事の発言が,いわゆる違法なパワハラとまではいえない。
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