十数年間で変えられた『社会的価値観』…長期政権が放棄させた人間の規範
過去十数年間にわたり続いた『一強政治』。
この間に政権の持つ価値観に国民の多くが染められ、心も変色してしまった。
それまで本来、人間の持つ価値観は、ある程度倫理や道徳観に根差していた。
しかし、それらの理念(倫理的、道徳的)や価値観が社会的、特に政治に受け入れられることなく十年以上続いた。当初は、人間の持つ価値観に基づいて主張していた一部の人達も、主張によって社会が受け入れるどころか、負の影響が自分に及ぶことに気付いた結果、
『モノ言えば唇寒し…』
とばかり、主張することによって社会の変革が得られるものでは無く、むしろネガティブな結果しか得られなかった。
これを見続けた国民の多くは、
『タテをつくより、政治と同じ思考や価値観を持つ立場への転換』
によって得られるご短期的利益が大きいことに気付いた。しかもこの政治的価値観の転換や変化が当面起きないであろう…この確信は社会的価値観を人間の内面に刷り込まれていった。
要は、多くの心あった人達も
『勝ち馬に乗るほうがメリットが大きい』
と変節を繰り返して行った。
こうして歴史的精神文化として持ってきた美的精神は何処へともなく消えて行き、あとは仲間内での順位争いに興じる様になった。
これが伝統的価値観が終焉し、日本がなれの果ての姿に転じた21世紀の顛末であった。