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富雄丸山古墳・被葬者は巨人…蛇行剣と木棺から見えて来る実像 ーその2ー
古墳には、円丘部側の被覆粘⼟中に、鼉⿓⽂盾形銅鏡1⾯と蛇⾏剣1本が副葬されていました。
鼉⿓⽂盾形銅鏡
鼉⿓⽂盾形銅鏡は⻑さ約64 cm、幅約31 cmで蒲鉾状に棺蓋を覆う被覆粘⼟の形状に合わせ斜めに⽴てかけられていました。
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この副葬の様子は、下図の様です。
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これらは、もちろん被葬者の権力・権威を示すものとして副葬されたものでしょう。
金属材料の実態として、日本国内に砂鉄の鉱滓以外に原材料の供給源の事跡はない。当初は、金属器を中国、朝鮮 半島から輸入し、次第に青銅器は国内で鋳造し、模造・改造されるようになり、鉄器は 輸入された鉄地金を鍛造して造るようになった。
従って、富雄丸山古墳が4世紀の後半とすると、盾形銅鏡の材料も国外(中国)から持ち込まれた可能性が強い。銅鏡自体が中国発であるので、銅鏡文化・材料自体が中国から持ち込まれた。
鼉⿓⽂銅鏡について見ると、出土の分布図を見ると下図で示される通りで、やはり生駒山付近で出土したものが多い(かぬそぬ on X: https://t.co/RmYCuzl5cx" / X (twitter.com))。
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従って、この頃、生駒山麓に、後には『鏡作』とも呼ばれる技術者がいたことは、ほぼ違いない。銅鏡も芸術と考えればユニークな作品を制作するものもいたであろう。
次に、その大きさであるが、鼉龍鏡については、国立文化財機構によれば、
「文様構成のよく似た鼉龍鏡が山口県柳井茶臼山古墳から出土しているが、こちらも径44.5cmという大型品である。仿製鏡の製作にあたって、これらの鏡のように、もとの中国鏡よりはるかに大きなものを作ることも行なわれた」
のようであり、特に富雄丸山古墳副葬の盾形銅鏡の61cmがずば抜けて大きい訳ではなさそうである。ある種、大型を作るのが流行していた可能性はある。もちろん、権威や人物にもよって大型が造られたのであろう。
そして、富雄丸山古墳の副葬盾形銅鏡は、寸法が
61cm×31cm
であるので、その厚さは、
3~4mm
である。長さに対して薄いこともあるので、鏡としての意味しか無さそうである。
しかし、そのデザインは特徴的で円形の銅鏡2枚を配置している。
長脛彦との関連
さて、次に「-その1- 被葬者は巨人?」に関連して、この地域にいたとされる『長脛彦』との関わり合いについて述べておく。
『長脛』とは文字通り、【ながいすね】を意味している。
長髄彦(ながすねひこ)は、日本の神話に登場する人物。神武天皇に抵抗した大和の指導者の一人である。
登美能那賀須泥毘古
とも言う。
ここで、下のように書かれる。
登美=富
この富雄丸山古墳があるのは、登美と呼ばれる地域である。
無理に解釈すれば、
富(登美)の雄➡富雄
ともなりそうである。
もちろん、神武天皇の時代とは大きく違うので、同一人物と言おうとしている訳では無く、その地域に『長脛』という村があった。
さて、『長脛』とは、明らかに身体的特徴であり、
長い脛を持つ人間…巨人
を意味している。
低い(例えば半分の身長)人から、2倍の身長のある巨人を見れば、目の前の長い脛が目に付くかもしれない。
さて、長脛について、生駒山地が南北に細長く、脛に見立てられたという説を書く資料もあるが、上空から見えた訳でも無くこの説は後世に与えられたものであろう。
以上、盾形銅鏡についてと、巨人の可能性を述べた。
実は、英国にも『長脛王』と呼ばれるリチャード1世がいた。イングランド王で在位1272年~1307年)
渾名は "Longshanks"(ロングシャンクス、「長い足」「長脛王」、身長が190cmあったため)。
次回は、世界には多くの巨人が存在していたことや、文書に遺る巨人記事について紹介する。