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ポエム帳

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酔っぱらったときに書きます。
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2024年5月の記事一覧

季節の終りに

街に灯りが滲むころ、私は生ぬるい風を浴びながら自転車を走らせていた。雑踏を避け、信号を待ち、ふらついたり、ときどき手で自転車を押して歩いたりしながら、大きな駅を囲むビル群を抜ける。歩道と車道を行き来しながら、彼岸と此岸との境で眠るあの子のことを考えていた。このままどこまでも行けそうな気がしたが、そんな気分の夜にかぎって、少しだけ遠回りするくらいがちょうどいいだろう。

菜の花の伸びきった河原を横目

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