「沼」「指物師」「お金」|三題噺
三題噺スイッチ改訂版から出力したお題で三題噺。
今回は三部構成で前中後編を公開済みであり、本トピックではリンクのまとめと、例によって振り返りを残すのが目的となる。
キャプションはStable Diffusionで適当に出力。
コトバンク
沼地の細工師
1. 細工師は依頼を引き受けた
2. 細工師は谷間の奥地へ踏み入った
3. 細工師はその心血をもって練り上げた
終
発想のメモや反省として
お題を出力したのが'22年の10月31日。後編を投稿したのが'23年の12月31日。企画としては2000~4000字の短編を気軽に、コンスタントに投稿していきたいというモチベーションでやっているので、そもそも1年以上かけてしまったのが反省点。その点含めて振り返っていく。
「お金」との紐づきは良さそうだが「指物師」をどう扱うか
1年以上前の事を振り返ってみるとそもそもアウトラインを起こすところからが難産で、問題は「指物師」をどう扱うかだった。
「指物」自体に馴染みがない上、三題噺としてどうお題をひねっていくか知恵が足りない。指物の作り方や現代の職人の動画をちらほら調べていた記憶はあるが、半月ほどでこのままじゃ1月1本ペースは無理となり、職業は職業として扱うことにした。後述の件もあるが、今回は全体的にお題の扱い自体が単調で工夫がなかった。
「沼地」で「沼る」お話
当方Magic: the Gatheringのプレイヤーなもので「沼」といえばまぁ最初に湧いてくるイメージはそこからのインプットがどうしたって手厚い。5色に割り振られたカード群からコンセプトに合わせたものをピックアップしてデッキを組み上げて対戦するTCGで、「沼」は「黒」のマナを生み出すエネルギー源なのだ。生贄や卜占、陰謀や策謀が絡む事が多く、黒い商売もよくデザインに利用される。鰐(クロコダイル)も黒や緑に多く登場する生物だ。
作品の舞台とした「山嶺の谷間に生じた沼地」というのも、フロムソフトウェア発売のゲームであるデモンズソウルに登場する「腐れ谷」からのインスピレーションが強く、根底の部分で独創性に欠けるという批判はまったくもってごもっともだ。
「深み」に嵌っていく、つまり「沼る」お話にしようというダブルミーニングが最後の抵抗といったところで、本来は趣味・副業でしかなかった「道具作り」に傾倒した狩人が細工師になり、大金を手にするために指物作りに挑戦するという大筋ができあがった。
最大の失敗はアウトラインから尺を見誤ったこと
何と言っても今回はこれに尽きる。
「沼る」に焦点を当てることにしたのだし、狩猟パートはどちらかと言えば傍線で削っても良い部分だった。アウトラインを書き出したところでどこにどの程度の文字数がかかるか考える尺感覚が足りていなかったのが1つ。文字数が想定を大幅に越える目処がたったところで引き算する決断ができなかったのが1つ。
最初に執筆していた一昨年11月、予定を過ぎてからなんとか完結だけでもさせようとしていた間も度々中編周りの要素を削ることを検討はしていた。どうせなら思い描いたエピソードは書ききってしまおうとそのまま進めて一応の区切りをつけたけれど、短編としての完成度に繋がったとは考えていない。
細かい下調べが足りず描写に物足りなさはあるが完結できたのはよしとする
細かく振り返ってみるても「指物」や「鰐猟」、鰐の群れの生態や捌き方などなど、手を広げ過ぎたお陰でどれも描写に中途半端感がある。
前中編を先に出したことで最終的に作中で何にどれだけの時間が費やされていたのかがかなり曖昧で妥当感が出ていないし、ここをちゃんと考えながら書けていればもう少し描写できる事は増えていた。
文字数ベースではカクヨム換算9000字弱で、小説形式のアウトプットとしては今まででもっとも長い。企画のコンセプトは「気軽に、コンスタントに」で、そのためには尺感覚を大事にしていく必要がある。今までよりちょっと長めの物語を完結させたこと自体は評価しつつ、全体感を意識した執筆ができるようにしていきたい。