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GODZILLA -怪獣惑星- シリーズについての備忘録

TL;DL
賛否はある様だけれど三本観た感想としては あり だった
全部観るとテーマ性がはっきりするタイプ
興味があるなら三作観る前提ならオススメできる

以前はてなの方に投稿したものの改稿版です。(元ネタ 2019-06-16)
note の書き方に慣れるのと、少し読みやすくなればよかろうと。

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KOM じゃないです。いわゆる アニゴジ の方。 大体 KOM の前振り。 
(注釈: 元記事のタイトルは「GODZILLA についての回想録」。時期的に KOM 関連とミスリードを狙っていた。)

記事としての公開が KOM の視聴に間に合わなかった。。。 なんだかんだ三部作全て映画館で観れたのはよかった。


作品概要

通称アニゴジ。シリーズ初の長編アニメーション作品。

製作はポリゴン・ピクチュアズ。

監督は二名で、一人は劇場版名探偵コナンで7本、他に劇場版シドニアの騎士でも監督を勤めた静野孔文、一人はポリゴン・ピクチュアズから瀬下寛之が当たっている。

アニメファンとしてはワンチャンス監督よりも有名な可能性があるのが脚本で、ニトロプラスの虚淵玄。ゲームシナリオとしては所属会社から五本を担当、近年ではアニメーション業界に進出して 魔法少女まどかマギカ や PSYCHO-PASS が人気作として名高い。

彼の作風を知るファンはどんなゴジラにするつもりなのかと期待をしつつも気を揉んだとか揉まなかったとか。

ネタバレ度

各作品の構成・核心に十分触れる。ネタバレは要素に留めたいという人は閉じよう。

作品群について

メインは映像作品だがメディアミックス作品も出ている。

深夜枠のフル 3D アニメーションシリーズ、シドニアの騎士で「今の日本のテレビアニメーションシリーズでどこまでフル 3D の良さを出せるのか」を示したポリゴン・ピクチュアズが製作を担当する三部作である事が当初から発表されていた。

# 映像作品

## 怪獣惑星

2017/11 公開。

主人公達の背景を含め、本シリーズにおけるゴジラの有り様を示す第一作。

ブログトップ画像は上記リンクよりキャプチャしたものを掲載させて頂きました。

## 決戦機動増殖都市

2018/05 公開。

墾田永年私財法並みに語感が良いサブタイトル。ポスターは第一作で存在を匂わせていたメカゴジラの頭部が映る。

## 星を喰う者

2018/11 公開。

三筋の黄色いエネルギーというモチーフからしてキングギドラが出る事は予想しつつも、第二作を経てまぁまともな怪獣としては出ないんだろうと理解していた所からのこれ。

# 書籍

映像作品の前日譚になる書籍が2冊出ている。
- 怪獣黙示録
- プロジェクト・メカゴジラ

出来は良く、しかも過去のゴジラシリーズを踏まえつつ本編の前提になっているので必読との評を見るのだけれど自分自身は読んでいない。各サブタイトルが映像作品の二作に対応している様に思えるので、なんとなくこちらも三作予定だったのが企画が短縮されたのではと勘ぐっている。

各作時系列振り返り

# 敗北から始める対怪獣生存戦略! -怪獣惑星-

三部作は一貫して地球における人類の復興を目指すハルオと、生態系の頂点に君臨するゴジラの相対的な関係を軸に描かれる。

怪獣の襲来に合わせて二種族の異星人が地球に来訪し地球人類に協力したが、抵抗虚しく宇宙移民船による脱出を選んでいる。主人公のハルオは幼少期に恒星間移民船アラトラムで地球を脱出した地球人類の一人であり、脱出時に両親と死別、ゴジラへの復讐を誓っている。

第一作は地球脱出後に行われたアラトラム移民第一次計画の失敗から始まる。移民船内の体感時間としては22年が経過しており、船内人口も減少、市民は疲弊し危険を承知での移民計画敢行だった。

この失敗を受け、人類は怪獣が跋扈している環境が変わっている事を期待して地球への帰還を試みる事になる。ここでポイントになるのが地球の時間経過。恒星間移動を伴う SF によくある設定として、高速で移動する宇宙船内の人々と母星の人々との時間経過のズレがある。本シリーズにおける移民船団の22年に対し、地球の経過時間は約2万年。地球の生態系はゴジラを頂点としてその眷属が蔓延るものに変わり果てている事が判明する。

ゴジラを打破する作戦を立案したハルオを含む戦闘部隊が地球時間2万年を経て最強の生物として熟成したゴジラを打倒し、人類の生き残りを地球に植民できるのかどうかが物語の最初の焦点になる。

3D アニメーションかつ遠未来系という事もあって「ゴジラ」としては新奇性は感じられたというのが率直な感想。人間 vs ゴジラの構図の中、SF 的な兵器群を利用してゴジラの討伐を達成する過程は悪くなかった。

三部作の第一作として公開された本作のシリーズにおける立ち位置はいわゆる 初代インスパイア。三連作を前提とする企画ならこの構成はとても自然なのだけれど、先んじてシン・ゴジラが公開されてしまっている以上そことダイレクトに比較される事は避けられない。ここが本作としては1番のツラミだったのではないだろうか。シンゴジの方の人間 vs ゴジラとしての完成度が純粋に高すぎる壁だった。

# 人間性を保ってて抗えるか! -決戦機動増殖都市-

対メカゴジラである本作だが、ある意味で新しすぎる奇抜な怪獣として登場した。定番のゴジラを模した形態ではメカゴジラが現在には現れないというのが一つのポイント。

そもそもが異星人が持ち込んだ機械工学・演算技術を取り込み作り上げたナノマシンの群体という設定だったメカゴジラだが、その起動は地球時間2万年前の戦いで失敗、そのままゴジラの放射線に胴体部を破壊されていた。
作品内ではメカゴジラを製造した都市の複製として群体が成長を遂げている。決戦機動増殖都市メカゴジラシティである。

製造の中心であった異星人ビルサルドを中心として兵器として再起動を果たしたメカゴジラは要塞と化してゴジラと対決する。

「人間のままでは怪獣には勝てない」、「怪獣に勝てる人間は既に人間ではない」という思想の元、ナノマシンに取り込まれることでメカゴジラと合一しようとするビルサルドに対して主人公ハルオは怪獣を打倒するという人間としての意思をここで示す事になる。

メカゴジラ=メカゴジラシティと言ってしまえる一都市並みの巨大ささえ利用した決戦の光景は面白いのだけれど、これを一作目に持ってこれればという残念さはあった。ちょっとくらいちゃんとメカゴジラとして戦わせても良かったのでは?

本作では少しモスラが顔見せをする。成虫は地球人類の脱出後にゴジラと戦って敗北しており、卵を残すのみである。卵を信仰するフツアという人型の眷属が地球で暮らしていて、ハルオを含めた移民船団のメンバとの交流がある。この怪獣との共存という在り方は三部作を締めるハルオの最後の決断に繋がる。

# 怪獣性に喰われてしまっていいじゃない! -星を喰う者-

本作のギドラはエクシフが神と仰いでいる怪獣で、 未来予測さえ可能にするエクシフの演算技術が高次元を観測にした時に見出したモノだ。怪獣に献身を捧げる事を信仰としてしまった彼らの正体が現れる。 

エクシフの目的は喰われる事でギドラと合一する事であり、ビルサルドの怪獣化と似て非なる到達点になっている。 エクシフは文明の大部分をギドラに捧げており、残った宗教家達が宇宙を旅して異星の怪獣と人類を供物として自分ごと捧げるために旅をしていた。その企みは三部作で一貫して地球人類とその産物であるゴジラを供物とするため秘密裏に遂行されている。

この一作によって三部作としてのテーマがはっきりする。 個々の怪獣がどうこうではなく怪獣全体を概念として人間性と相対化してる。 怪獣性とは何か。 人間性とは何か。 ギドラとゴジラの対決、そして人類の決断を通してハルオが見出した人間の在り方を示すのが本作の役割だ。

虚淵作品ではいろんなものがよく概念になる。 作品のテーマの具現という意味でだけれど、これが全体を通して一貫したテーマになるのでよくできている。 何種類かの人類とそれに相対する怪獣の関連を通してテーマを演出するのがアニゴジだったと得心がいき、満足を覚えた。

ちなみにギドラは本作においては、外宇宙というか高次元からの来訪者だ。 姿としてはその表出である三つ首のエネルギー体としてしか現れない。 この三つ首の姿はちょっとかっこいいのだけれど、協力者 がいなくなった後は一方的にゴジラにボコられるのがちょっと情けなくも見えた。 企画の意図として一貫して怪獣対戦をやるつもりはなかったというのは明らかだったのだけれど、やはり巨大な怪獣が数体出ていてその対決がテーマの添え物になってしまうと、あれ、という感じが出るのは致し方ないのかと思う。

総評

# 怪獣性と相対してみる人間性

怪獣対戦モノとしてみると物足りないのは確かだけれど、フル 3D アニメーションとしてはそれなりに見所がある。シナリオ・構成も意味があり悪くない。

アニゴジにおける怪獣とは何かと言うと、人類 が発展した後に必ず生み出される上位存在と位置付けられている。 ある種の宿命的な存在だ。登場する人類種それぞれの思想やその興亡の故が相対する怪獣に反映されている。

怪獣になるのか、怪獣に呑まれるのか、怪獣と生きるのか。

人間性に対する怪獣性というテーマに焦点を当てながら三作を観直してみるとまた違った視点が得られると思う。今から見るなら纏めて観るのがオススメだ。

はてなに投稿した方

Mindmap にざっとキーワードを落としてから記事を起こす練習として書いたやつ。推敲そのものもそうだけれど、テーマに沿わない部分の削ぎ落しが足りてない感じ。

本記事は note 用に体裁を合わせるのに加えて、大意を変えずにここいらんかったなという所を削減している。


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