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私は怒っている。

私は怒っている。
父に。
あんなに早く、先に逝ってしまった父に。

誰にでもいつか逝く時はあるから
仕方のないことだとわかっていたけれど、
それは自分に言い聞かせているだけだった。

私はアメリカの大学を卒業したばかりで、
これから社会人になるときだった。
大人として色々なことを教えてほしかった。

父の年齢を追い越した今、
私は何を成し遂げてきただろうか。

お父さんが教えてくれなかったから
知らなかった、出来てこなかった、、、、
なんて思うことが急にでてきて
自分でも戸惑っている。

お父さんのばか!
ってまるで子どものように
ふてくされる自分がいる。

でも本当は、
一緒に美味しいものを食べに行ったり、
世界のあらゆる名所を旅したり、
私の子どもたちを甘やかしてもらったり、
頼もしい出資をしてくれたり、
ああ、お父さんがいるから大丈夫だ、
という思いをもっと味わいたい。

美意識が高く気難しいところもあった父だから、
色々とたしなめられることもあるだろうけど、

そういうのもひっくるめて寂しいのだ。
父がいないという今がとても悔しい。

お父さんのばか。
なんで私たちを置いて、向こうに行ってしまったの?
そんなに早く。

父と過ごした20数年間はとても幸せで、
あらゆることの佳き影響を父からは受けているし、
色々なことは教わったのはわかっている。

だけど、だけど、
私はやはり寂しい。
父がいないということに。

30年近く経った今になって、
リアルな悲しみに襲われている。

泣きたくないから泣かないし、
弱音は吐きたくないから言わない。
これは我慢しているのではなくて、
私の性分でもある。

だから時々ひとりで車の中で泣いたりはしている。
泣いても泣いても、
30年前には戻れないし、
どうしたらいいのかわからなくなる。

でも今はただ
こうやってとどめなく流れくる涙と
襲ってくる寂しさを
そのまま受け止めて、ただここにいようと思う。

これには何の意味をも見いだす必要なんてなくて、
ただただ感情が動いたということだと、
受け止めようと思う。



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