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お好きなコースをお選び下さい!#3 型破りの爆音シューゲイザーコース編

#1 王道UKロックコース編 #2は幽玄ドリームポップコース編に続き、いよいよ最後のコース#3は型破りの爆音パンクコース編です。
こちらのコースの代表格はMy Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)です。
因みに日本では「マイブラ」と略される事が多いですが、海外ではもちろんそのような略称は通じません。

My Bloody Valentineは1984年、ダブリンにて結成されました。
結成当初のメンバーは今は作曲者のケヴィン・シールズとドラムのコルム・オコーサクだけのようで、一般に認知されているメンバーはメンバーチェンジ後の姿です。

ストーカー的なファンが存在する唯一のバンド(笑)

レコード会社を倒産に追いやるほどアルバム「loveless」のレコーディング費用をかけたとか、クレイジーな機材の量、ノイズピットと言われる15分間にも及ぶギターの爆音だけが鳴り響く曲の構成があるなど語るに尽きない豊富なネタで他のバンドとは違ってアイドル的な存在となっている事も特徴の一つです。
また日本国内だけでしょうけど、シューゲイザーブームが終焉したのちに初期のアルバムやEP(日本で言うマキシシングルやミニアルバム)などが入手困難になり、新しい世代では一部のマニアだけがそれを所持出来たと言う経緯もあって言い方は悪いのですが「俺が一番マイブラに詳しい」だとか「マイブラのこの曲を知らないやつはにわかファン」とか「俺のマイブラ」と言う考えを持つ危ない“ストーカー的なファン”が多い事もこのバンドが伝説として語られている一つの要因かも知れません(笑)
また近年ではシューゲイザーと言うバンドの多様か、再発等で作品も手に入り易くなり「マイブラしか知らないやつはにわかファン」と言うアンチまで居るそうです。まさにアイドルバンド!
あ、このブログはあくまでライトリスナー向けの布教目的ですので、面白可笑しく書いていますが僕のマイブラを馬鹿にするな!と言う熱狂的なファンの方はどうかスルーして下さいね…(汗)

THIS IS SHOEGAZER!

My Bloody Valentineがシューゲイザーの代表として多くの人に印象付けた名盤「loveless」。この存在が無ければ以降のシューゲイザーの音楽性は違ったものになっていたでしょう。
実験的かつ繊細で美しい旋律でありながら狂気を感じさせる。また聴覚からヴィジョンが浮かんでくるような不思議な作風はオンリーワンと言っても過言では無いでしょう。

多くのアーティスト達がこの音はどうやって出すのだろう?と研究を重ねたそうです。
最近では仕様機材などが公表されており、シューゲイザーリバイバル以降はMy Bloody Valentineフォロワーも増えています。

仕様機材の量を他のアーティストと比較するととんでもない量だそうで、公開された機材の一部の写真も話題になっていました。

素人が見ても何がなんだかわかりません。(笑)バンドマン達は真似をして同じものを買い漁ったのだとか…。
しかし海外のサイトでは90年代のケヴィン・シールズの機材が公表されており、そちらは何故かもの凄くシンプルです(笑)

こう言ったイメージのインパクトからシューゲイザーと言うジャンルのイメージは強く固定されていきます。
私的にはMy Bloody Valentineの美しい楽曲にはジョン・レノンなどの影響もかなりある気がしますが、本人のインタビューではビーチ・ボーイズやニューヨーク・ドールズなどの影響との事です。

こんな美しい曲を作ってるのに、根っこはパンク!

世界七不思議のひとつと言っても良いかも知れない、なぞのルーツ(笑)
いわゆる普通のロックやポップスでは無い事はすぐに誰でも解りますよね(笑)しかし音楽として滅茶苦茶と言うわけではなく、型にはまらないスタイルと言うか、まさに独特の音楽性。
「loveless」だけを聴くと美しい曲を書くバンドと言うイメージが強いかも知れませんが、名曲は他にもあります。

CDやレコードでは途中のノイズの部分(1:50くらいから)が短くなっていますが、ライブ会場では事前に耳栓が配られます。
なぜ耳栓!?せっかくライブを観に来たのに耳栓をしたら音楽が聴こえなくなるのでは?と思う方も居るでしょう。
当然ですね。実はこの耳栓はこのノイズの部分、通称“ノイズ・ビット”と呼ばれる大音量のノイズの洪水に備えて耳を傷めないようにと言う配慮で配られる狂気じみたサービスなのです!優しいのか優しくないのか(笑)

当然耳栓をしても身体には低音や高音が頭蓋骨に響いてきます。誰も音圧を体で感じた事がある人は居ないので、ある意味アトラクションのような感じです。
私は耳栓無しで一度体験した事があるのですが、2日間耳鳴りが続きます。もし体験する機会がありましたら配布された耳栓をする事を推奨します(笑)
このような狂気染みた演出を行うパンク精神だけではなく、楽曲的にもかなりロックと言うよりはパンクに近いものがあります。
当時のブームだったポスト・パンクの流れから派生したジャンル“ネオ・アコースティック”を通過してはいますが、ドラムは初期から一貫してかなり前のめりの激しいスタイルです。これはMy Bloody Valentineがいかに特異なバンドであるかと言う事を示すとともに、彼らの音楽性の懐の深さと目的が良い歌を届けたいと言うポップのそれではなくかなり尖ったものではある事が伺えます。

実際にインタヴューでラモーンズやニューヨーク・ドールズと言っていたので、それにサーフロックを融合させて、さらに爆音で演奏した結果、このような特異な音楽性に変貌を遂げていったと思われます。

初期の作品から、アルバム毎に全く毛色が違うのですが、なぜか全てこれぞMy Bloody Valentineと納得してしまう統一感があり、名盤と言われる「loveless」が一番有名ではありますが、どの作品も素晴らしいので全てがお勧めです!


My Bloody Valentineが与えた2000年代への影響

2000年代になるとグランジに取って変わられたシューゲイザーのバンド達はほぼ壊滅しています。
My Bloody Valentineも1991年に「loveless」をリリースして以降はレーベルを移籍しコンピレーションアルバムに楽曲を数曲提供した以外は目立った活動もなく休止状態に。

しかし、シューゲイザーの灯はまだ消えていませんでした。

バンドに変わって電子音楽がシューゲイザーを甦らせたのです。
エレクトロニカと言うジャンルが流行すると、シューゲイザーの要素を取り入れたトラックメイカーがドイツから多数現れはじめます。

こちらはGUITAR(ギター)と言うアーティストです。かなりlovelessに近いサウンド。

こちらはUlrich Schnauss(ウルリッヒ・シュナウス)と言うアーティスト。

こちらはLali Puna(ラリプナ)と言うバンドです。

Lali Punaはslowdiveのカバーもしていますので、シューゲイザーと言う大きな括りでの影響は当然あるとは思いますが、やはり中でもMy Bloody Valentineの「isn't anything」からの実験的なサウンドの影響はかなりの比重を占めていると思います。

またこのエレクトロニカブームも終焉すると電子音からバンドサウンドにバトンタッチし、Nu Gazer(ニューゲイザー)と言うジャンルに変貌します。
Nu Gazerと言うジャンルの括りはあまり浸透せず、結局シューゲイザーと呼ばれるようになります。
長い年月を経てシューゲイザーはついにバンドサウンドに戻ってきます。

海外でもMy Bloody Valentineを目指したバンドは多く居ましたが、その多くが期待外れであった事も事実です(苦笑)

しかしついに2000年代に高い完成度を誇るバンドが現れました。
アメリカのFleeting Joysです。今でも活動しているか不明ですが(苦笑)
聴いてすぐ解ると思いますが、数あるMy Bloody Valentineの楽曲の中でもlovelessの方向性を追求したバンドですね。

そして驚くべき事に、最近ではなんと南米アルゼンチンでもMy Bloody Valentineのフォロワーが居るそうです。
南米と侮る事なかれ!こちらも凄い完成度です!
Asalto al Parque Zoológico
(アサルト・アル・パルケ・ソーロヒコ)と言うバンドで、こちらはMy Bloody ValentineのEPからloveless、再結成後の新譜まで幅広く曲の雰囲気を掴んでいて、シューゲイザー好きなら絶対にハマる作風なので合わせてお勧めしておきます。

オリジナルシューゲイザーを代表する三大バンドですが、同じジャンルにも関わらず三者三様。
その全てが現代にフォロワーを産み、脈々と受け継がれていると言う事実がオリジナル三大バンドの偉大さを物語っていますね。

以上如何でしたでしょうか?また不定期に記事を書いていきますので良かったらフォローと☆スキをお願いします!

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