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入院準備
昨日今日と、バタバタしていたので洗濯ができていなかった。一昨日の分からたまっていて洗濯かごは満杯になりつつあった。
帰ってからやるつもりではあったが、その後6日分くらいをためておかれるのはたまらないので、洗濯はしてほしいといったら…
「帰ったらやればいいじゃん」
主語がない。帰ったらとは?今日か?退院後か?誰が?と問い詰めると
今日帰ったら教えてもらって自分が洗濯する
入院中自分で洗濯する
だった。わかりづらっ。
食事はかなり私は放棄している。もう20年くらい前、胃の調子が悪いから夕飯を軽くしてくれと言われ、さらに今より忙しく深夜近くに帰っていたので小さなおにぎりと味噌汁を用意したことがあった。こっちも眠いし仕事もあるというのに、味噌汁をあっためて出さないと食べもしなかったのである。これくらいなら食べられるというからしばらく様子をみることに。
三日目、「おにぎりあるよ」と言うと「今日はこれとビールでごはん」と言った。見せられたのは柴又寅さんの、あの有名な草だんご。
ビールで草だんご。草だんごへの冒涜。それ以上に胃がどうたら言う人間が深夜に食べる組み合わせではない。
それからは放棄した。今は朝はまともになってきたので毎朝作るが、それ以外は「ない」ということにした。私が食べたくて作ったものがあれば「今日はなにがある」は伝えるが、基本は食事はない家。買ってくるのも外食も平気な質だからそれでいい。私も自由にしている。
ということで食事はいつも通り。
流しにコップをためるな、それくらいなら紙コップを使え、と言うとぶつぶつ言っていたが、帰ったときに山盛りの食器を見たくない、特に眼だし、と念押し。
掃除は絶対しないしほこりでは死なないので割愛。トイレは気になるがやれといっても家事に対する脳みそがほとんどないから言わないことにした。
食事をして100均に行く。プラスチックのふたつきコップ、アルコールじゃない手拭き口拭きウエットティッシュ、ストロー。コップに合わせ短めにした。
帰るともう17時近い。同意書と予約票を写メにとり、上司にメール。夫も職場に連絡したり仕事したりしていた。
とにかく支度だ。着るものから。パンツ…何枚だ…ランドリーも使えるけど行って説明を読める眼なのかもわからないから日数分。靴下。カップつきインナーを何枚か。パジャマはいつレンタルサービスの作務衣が来るか分からなかったから一着だけ入れた。そうだ、くろぱんも入れとこう。いわゆるオーバーパンツ。
体温調節のはおりカーディガン。これは小冊子にも書いてあった。膝掛けはかさばるので山などで腰に巻く薄いダウンの巻きスカートを入れた。
退院のときは入院時のセーター、ジーンズでいい。下着だけ変えればいいや。
ここでもこもこガウンを持っていくべきだと夫が言う。確かにお気に入りだがかなりかさばる。ちょっと他をつめて考えよう。
点眼の間隔をはかるためキッチンタイマーも持ち物に書かれていた。スマホでもよいが、文字がでかいキッチンタイマーがあったのでそれにした。最近Googleに頼りタイマーは音声でセットしていたが、キッチンタイマーを捨てなくてよかった。
時計。スマホで代用もできるが、目についたところに時計があったほうが、入院時の見当識障害が防げる。長い入院ならカレンダーも置かないと「今日は何日?」という怪しい状態に陥りがち。
さすがにまだ大丈夫かなと思うが、手術で自分の認識が危なくなるかもと思い、キッチンに置いていた小さなトラベルクロックを入れた。蓋をすればコンパクトに、蓋を立てればスタンドになるやつ。10年以上前になにかのノベルティでもらった。最近はこんなノベルティはなくなってしまった。
スマホでなんでもできる、というのはけっこう疑っている。熱なんか出たらスマホを見るのもしんどいのに、いま何時だっけ?のためだけにスマホを取り出したくない。
スマホで代用できるのはラジオやテレビ。イヤホンは入れた。
充電コードは絶対に入れないと。スマホは重要なライフラインだ。
そういえばハンドソープ、部屋にあるんだっけ?ティッシュはもらえるがタオルペーパーは…。入退院支援センターで聞けばよかった。ま、使ってないのがあったからもっていくか。
同じく箸、スプーン…昔父が入院したときは食事についていたんだっけ、でも母が持っていっていたような。割り箸とプラスプーンを1個ずつ忍ばせた。
常温の水、500mlを1本。売店があるとはいえ、買いにいく隙があるか分からない。それからチョコレート。絶食、手術、そのあと食事ができるのかもわからない。横向きでかじれるものは大事だ。
保湿クリーム、リップクリームは小冊子にものっていた。確かに病院、乾燥しているが加湿器、電気ポットは持ち込み禁止。ハンドクリームも大事だ。
洗濯バサミの大きいのも一つ入れた。これは大事な入院ライフハックなんである。
筆記具。どっかのホテルに泊まったときもらった、小さくてミシン目のはいってるメモ帳。赤黒のボールペン、細字で書ける油性ペン、黒とシルバー。母の入院準備でありとあらゆるものに名前を書いたが、黒地のものにはシルバーかなんかにしないと名前が見えない。それに白っぽいものに黒で書くといかにもだが、シルバーにするとパッと見目立たないから。
入院してから使う都度書いていこう、みたいな気持ち。
髪は洗えないがブラッシングはできるからこれまたどっかに泊まったときもらった、わりとよいヘアブラシを連れていく。ヘアウォーターとヘアクリームは小分けにしてほんの少しもっていく。髪を洗えないから髪にはあまりつけられないだろう。
汚れ物をいれるビニール袋を始め、ビニール袋各種を折り畳んでバッグのポケットに詰め込んだ。案外便利だが買いにいくと量が多すぎる。
そんなこんなで2泊3日にちょうどいい旅行バッグが満杯になった。
もこもこガウンは別のバッグに入れ、入院翌日が土曜日だから面会にくるという夫にバッグごともってきてもらう。ここには予備の下着、吸水ナプキンの予備、エコバッグなどを詰めた。まるごと持ってきてもらう。
持っていけたら安心だけど、持っていけないものは浅い段ボールに詰め、夫にここから探してもらうことにした。よく入院した母から「あそこの棚にあれがあるから」と言われ探し物をした経験から。しかし当日入院だとこんな準備はできないから、1日猶予があったのはありがたい。
なくてもいいけど食べたいお菓子、常温の水、延長コード、下着などなど。探し回られて家が荒れるのは避けたい。
ハンガー。ロッカーは個室にあるようだが、ハンガーがあるか、これも聞いておけばよかったな。箱に入れといてなかったら持ってきてもらおう。
ふと思い立って養生テープを適当に切り、文具セットの袋に貼りつけた。
手術用ヘアキャップ、浄綿、保護眼鏡、キッチンタイマー、ウエットティッシュ、トラベルクロックは一つのジップロックに入れA4バッグに入れた。万一夫と別行動になってもこれさえあれば手術にたどりつける。
一通り支度をしているうちに夫がシャワーを済ませていた。私もそうっとシャンプーして、恐る恐るドライヤーをかけた。
では洗濯をする、と声をかけた。わりと自分の都合優先な人なので「洗濯何時?寝たいんだけど」と言ってくるかと思ったが今日は言わなかった。
洗濯機の使い方を説明。ただ聞くだけか?メモはとらないのか?写真は?動画は?というと慌ててメモを持ってきた。仕事だと思ってないからそんな態度なんである。
動画の方がいいんじゃないかと思ったが、本人が写真を撮っていたのでそれでよし。
スタート。これでほっときゃいいんだな、というので「エラーにならなければ」と答えた。そんなことがあるのか、みたいな顔をしている。ま、きみのズボンなどはよく片寄りでエラーになるが、そんなもんはやらんだろうから説明は割愛。
出来上がりメロディが鳴ったのであとはこの辺のピンチハンガーに干す、といって離れた。干し方は好きにすればよい。
しかしほどなく、バシャーンバシャーンとピンチハンガーをなにかにぶつける音がして見に行ったら洗面台にピンチハンガーを広げている。
「これどうやって干すの?」
あきれた。義母に通報したいくらいだ。
我慢した自分をほめつつ、この突っ張り棒にピンチハンガーを吊り下げてやるのだと教えた。そうやっている私のすぐ脇を無理やり通り洗面所にはいったり、すぐ横の冷蔵庫からビールを出していただろうに、こいつの生活に私の家事労働は一切目に入って、いや、意図的に入れてなかったんだなと思い知る。
だいたい家事をしているのに「ねーねーこの宿あいてるよ」って中断されまくってきたのだ。見ているわけがない。今忙しい、と断るとブーたれる。こう書くと家事においては壊滅的な人物だ。
吊り下げを教えてまた離れた。たいてい文句を言いながらやるが、さすがに今日は静かだ。
干したものを浴室乾燥にもっていき、乾燥スタート。
何時間?と聞いてくる。時間ではない、乾いたかどうかによる。とりあえず7時間で、明日朝触って確認すると伝授。
昼をかなり遅く、たくさん食べたので夕食はしらぬ。私もコーヒーを飲んで終わりにした。
実家の母に入院と手術を伝えた。急だね、と驚いていたが、眼科手術は周辺に経験者がいなかったので「ああなんですって、こうなんですって」みたいな変な思い込み情報はきかなくてすんだ。
翌朝、前日に買っておいた惣菜パンで朝食。私はそれにバナナ、リンゴ半分、羊羮を追加して食べた。
思えばこのとき大福を食べておけばよかった。観劇や映画の前に大福…餅の類いをを食べておけばトイレに行きたくならないのを知っていたのに、この日は忘れてしまった。
車で送ってもらう。ゴミ出しをついでにする。のんびりしたマンションで、何時に捨てに行っても許されるゴミ捨て場がある。
いつでも捨てられるのだから、退院前に捨てておいて欲しいと頼む。頼まないとアレなのが、アレだが。
病院の駐車場で駐車券を取る。いつものように「持ってて」をやられると私と駐車券ががそのまま入院になってしまうので「今日は自分でもつように」言うとポケットにしまっていた。
再診の受付をして眼科に向かおうとすると「駐車券の精算って…」と言う。駐車券は総合受付へ、とでかでかと書いてあるのだが。
割引になる条件があり、入院時に患者を乗せてくるのは割引、荷物運搬のみは対象外。たぶん帰りでも言えば私の入院は確認してくれそうだが、うまくいかず総合受付に失礼をしでかしてもなんなので今のうちに行き、事情を話したら、割引処理をしてくれた。おじさんなので思ったように話が進まないと誰彼構わず「エーなんだそれ」とか発するようになっているので、要注意だ。
眼科外来に行くとさすがに混んでいて昨日とは大違い。「けっこういるんだな」と驚いている。
荷物…、たぶん相談すれば入退院支援センターで預かってくれそうだが、まあいいや。喫煙所もないし、いるだろう。荷物を放って平気でたばこに行くので(私が見ているだろうと勝手に思っている)海外旅行などとんでもない。
初めに瞳孔を開く目薬。待ち時間にトイレ。わりとすぐ△診察室前でお待ちください、の表示が出たが椅子の空きが一つしかないので「順番がきたらそっちに手を振るから診察室にきて」とメールする。メールめんどくさいな、LINEやってくれるといいのだが。おっさんだなほんとに…。
呼ばれたので広い待合室に向かってファイルを振ると、荷物を持ってやってきた。よし、役立っている。
仏の②先生だった。見え方はどうですか?とまた心配そう。
真上、右上…をまたやって、ではこのあとは病棟のナースステーションに行って入院、12時半から目薬マラソン、14時半から手術です、と説明された。
面会が16時半、手術が終わるまで夫が待っていては面会時間が終わってしまう。手術前に帰ってもらうことにした。
流れにのって病棟へ。部屋に案内されたらトイレ無し個室だった。ややテンションが下がるが、看護師がきて腕にバンドをまいたり、薬剤師がきて薬を確認して持っていったりばたばたしているうちに12時になった。
と、師長さんがきて「トイレつきがあいたから見にきて~」えー、やったー、と少し開けた荷物をまとめて移動した。よかったー。ほんとにほっとした。
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