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「負動産の窓口」で土地を手放せた話 その3~気分は上がったり下がったり~

 ①様とのZoom面談前後はなるべく近くの人に、ということで同じ県内の方を中心に見学案内をしてくれていました。交渉中でも「ちょっとお返事待ってくださいね、他にも希望者がいるので」ということはもちろん可能です。しかしあんまり引っ張って面談まで進んだ①様の気持ちが変わったら嫌だねえ、ということも姉と話していました。
 それでも有力候補が現れたことは喜ばしいです。8月6日のあとは気分も上向きでした。
 
 しかしほんとに見て来た人が口を揃えて「ごみが」「ガラスが」とおっしゃいます。畑にするには投棄物が多いってことなのかな…家庭菜園にどうぞなんて動画にしちゃったけど、譲られる立場になってああいう説明するのってすんごい難しいんだなあと思いました。負動産の窓口が見学者目線で動画撮ってくれたら安心なんだけど、なんて思ったり。
 見学結果を聞くたびに「やっぱりほうっておいちゃだめなんだな、土地って」と思い、気分は反省モードと父への恨みモード。

 問い合わせがある→補足情報を求める→返事があり、見学希望である→本人確認書類を確認して松岡さんが「こういう方ですが、見学許可しますか?」とこちらに聞いてくれる→許可の返事をする→希望者が見に行く→その反応を待つ というのの繰り返しとなりますが、この連絡の繰り返し、ほんと自分で全部このやり取りをやると思うと…、無~理~。スプレッドシートを確認して、見学OKの返事だけしてあとは松岡さんよろしゅうに、って感じです。

 見学も希望者が翌日すぐ行けるわけではないので「来週行きます」となるとそれまで返事を待つことになります。そんなことをしているうちに叔母、無事老人ホーム入居。入居してもかかりつけの訪問医、薬剤師、歯科医などと個別に契約手続きが必要で、結局姉はしょっちゅうホームに行っていました。申し訳なし。
 私は暑さに加え台風とも戦う旅行となり、途中ついに直撃かというところで急にありえないほど進路が変わって、無事予定通りの旅程を進んでいました。行ってみたらお盆なのに大浴場も食事処も空いていて「前日キャンセルされたお客様や、たどり着けなかったお客様が多くて」というくらいひどい台風だったのですが…。
 さすがにうちの仏様たちも「いまこいつに死なれると、あとが非常に面倒だ」と思っていろいろ案じてくれたのかもしれません。さんきゅう。お供えをなにか買って帰ることにします。
 旅行中もスプレッドシートを覗いては、なにか仕事をした気分を味わいました。実際仕事をしているのは負動産の窓口の皆さんです。

 5人目の希望者は都内の方でT市のある県とは居住地が違いますが、調べてみたら同じ県内から来るよりも案外時間はかからず、さらに会社からは車で15分くらいというので、この方にも見学してもらうことにしました。
 この時点で①様との面談から1週間ほどたっており、敏腕松岡さんからも「あまり①様をお待たせしてもよくないかと思いますので、5人目の方の見学が終わった時点でどのようにお返事するか、ご相談させていただきたく」という連絡がありました。「ええ、私たちもまさにそう思ってましたー!」というタイミングでこのご連絡をもらえたので、どっちかというと荒井先生より敏腕松岡さんへの信頼度が、この頃さらに増していきました(先生ごめんなさい)

 このあたりのハンドリングについてもアドバイスがもらえるので安心です。6人目の問い合わせがあったところで、掲示板に「商談中」の表示をつけてもらいました。ええーこんなに問い合わせがあるなんて~とちょっと気分はまた上がります。
 それでもその後も問い合わせが来るので姉と「問い合わせが続くことに困惑している」旨を一度松岡さんにお伝えしたことがありました。すると「そうなんですよね。アクセスしやすい場所なのでダメ元でお問い合わせしてくる方がけっこういるんです」とのこと。まあ確かに山奥よりは、車で普通に行けるし、万一①様との話がとん挫したときのために希望者は多い方がいいのでそのままスプレッドシートに人数が増えていくのを眺める日々となりました。
 ちゃんと交渉中につき今はお待ちいただきたい旨を敏腕松岡さんが希望者にお返事してくれるので、安心です。

 8月15日、5人目の方の見学が終了。その日のうちに見学結果を知らせてくれました。
 ところがここで「境界ポイントは土を掘らないとやはり分からないようです」「かなり時間の経過した車両の一部が投棄されておりました」という衝撃の見学感想が出ました。境界はその通りで今はわかりません。だがしかし。
 車両…?姉が大昔に見た幻の、別の場所にあったかもしれないアレ?それともまた違うもの…?怖いよー!震えながら気分下向き。

送られてきた写真。確かにこの網みたいなのは見た記憶あるけど、車なのか…

 この方、過去に不動産業も経営されていたという方なので、土地については私たちよりも見立て方は詳しいに違いありません。私には小さめのドラム缶となんかの鉄網みたいなもの、でしかなかったアレが車両…?
 もし調査のお許しがいただけたらもうちょっと掘って調査したいとのことでした。このときの姉と私の気持ちは「イヤー調べてまたなんか出てきてそれが原因で断られたら嫌だ」というほうが強く、それよりは希望してくれている①様にお譲りしたいというのが本心でした。とにかく相談だ!
 ということで先生の無料相談の空きを調べ翌日をソッコー予約し「この時間に予約しました」と連絡。作戦会議となりました。

 便宜上この5人目の方を②様とします。

 16日、先生とZoomで話し、②様が送ってくれた写真を見てみますと、うーん、見る角度によっては車に見えなくもないけど、それを調査まではしたくない、と言ってみました。うーん、そうですね、そしたら①様に有力候補です、ただ他の見学者からはこのような指摘もありますが、いかがですか、という内容で連絡しましょうかというご提案。①様がそれを読んでどう思うか、様子を見る作戦になりました。
 一方、②様には、所有者様としてはいったん別の候補者様と話をすすめたいという要望です、ただ交渉はこれからで正式譲渡になるかは分からないので、話が破談になったら②様にご連絡させていただきます、という内容で連絡してもらいます。
 これは打ち合わせ中にこんな感じにしましょうねと先生が作成をしつつ話をして、Zoomが終わった後にすぐ文案を作ってLINEで送ってくれました。私たちの思っている通りの内容がうまーく失礼にならないように書かれており、荒井先生への信頼度が敏腕松岡さんと同じところまで回復しました(先生本当にごめんなさい)
 この辺はたくさんこのような案件をやっている先生ならではの、さすがのお差配でした。
 気分はマイナスから0地点までに戻ってきました。作戦が決まると安心します。

 その夜、すぐに①様から返信があり、懸念点について私はこのように対応対策しますのでお譲りください、ということが詳細に書かれていました。片付けもこのようにすればできますので問題ないですというありがたい内容でした。
 どのようにお返事しますかと先生から確認があり、「①様にお譲りしたいです!」とすぐお返事しました。

 17日、先生が①様とお電話でお話下さり、「登記費用を①様が負担する方向で考えておられるようです」とのこと。これもありがたし…。そして「所有権移転に向けて」という説明動画を見ておくようにとのこと。
 わあーなんだか、いよいよ現実になってきたぞー、と動画を真面目に視聴。気分は今までになく上がりました。
 
 その日の夕方、「①様からご連絡がありました」というLINEがありました。結論から言うと辞退!えーっ?!
 気分、だーーって下がります。一体なにが…。

 ①様、知り合いの税理士に相談したとのこと。そうしたら0円譲渡にするとものすんごい高い贈与税がかかるとの計算だったそうです。え、あの評価額80万程度の土地にウン千万円の贈与税が、①様にかかると…?
 ちなみに売買の形を取ったとしても低額譲渡になってこれまたウン千万単位の贈与税がかかるリスクがある、と税理士さんがおっしゃったそうです。

 あの土地にそんな税金…ってかああいう土地にまでそこまでの税金かけてるの…?え、そしたら所得税もっと安くしてくれてもよくない?え?まじ税金ってなんなのという気持ちです。これちょっと一揆起こしたいくらいなんだけど…。贈与税もかからなそうな土地ですけれども…。
 荒井先生も税金には詳しくないのでと言いつつも、土地の評価のやり方についてT市役所に問い合わせをしてくれることになりました。
 もしこれが本当なら、この後譲渡する方が決まったとしてもこんな高額負担をさせてしまうことになるなら、お譲りなんかできません。わー、気分は下がって下がって、けっこう真っ暗な気持ち。新たな問題発生。

 荒井先生が市役所に問い合わせます、と①様に連絡してくれて、①様からも評価額や税金が大きく変わったらまた立候補したいとのことでした。ありがたし。
 このとき「評価倍率」というのを本当に初めて真剣に調べました。なにこれ…。

国税庁のホームページ見ました。山林、固定資産税の評価額に65倍するの?え、ひどくない?山林すべてに金塊か松茸でもあるっていうんでしょうか。

 市役所の回答ではこの土地は雑種地として評価しているので、宅地評価に0.3倍する、ってことでした。そうすると安くはなりますが、山林・原野の倍率票を使う前提が正しいのかどうかも実際よく分かりません。ですが税理士に相談しているようだったので、荒井先生からはこの市役所の回答を伝え、改めて専門家に相談するよう①様にお伝えしてもらいました。

 ①様からはすぐお返事がありました。倍率がかなり変わるので負担は減るが、私たちの方でも税理士に確認してはどうか、という内容で、正直よく分かんないな…となったので「荒井先生と一度話そう」ということでZoomの予約を取りました。先生も一度相談しましょうか、と言っているところに…。

 正式な辞退のお返事がありました。そうかもなあ、と思っていたので気持ちはたいして下がりませんでした。むしろ「税金の謎」が膨らみました。
 通常の取引とは違うし、素人同士だし、ちょっと危ないんじゃないかなというアドバイスがあったそうで、その通りとお考えになったとのこと。それはそれで、私も逆の立場だったら(土地は欲しくないけど)そんな話大丈夫?って思うので、その理由は納得でした。
 また荒井先生からもこれでがんばって進めても、ご本人が不安を払拭できずうまくいかないように思われるので仕切り直しとしましょう、とアドバイスいただきこれも「そーですよねー」となりました。残念ですが、「こういう土地でもいいよ」と納得して受け取ってもらいたいので、致し方ありません。ここ数日いろいろ連絡を取ってお時間も使ったでしょうし、いろいろ悩んで下さったでしょうし、こちらから断るよりも先方から断ってもらって、むしろ助かった面もありました。

 Zoom面談では今回の顛末のまとめと、では、②様に連絡をとって進めてみましょう、という確認をしました。このとき、8月24日になっていました。
 ①様には辞退承知しました、のお返事を先生が出してくれました。最短距離ではいけなかったけど、この後も最大限サポートいたしますの言葉に「うん、がんばる」と気持ちを立て直しました。

 上がったり下がったり、気持ちが忙しいです。まさかの「破談になったらまたご連絡します」が現実になるとは。
 こういうことはこのあともあるんだろうなあ、でも②様は車があったとおっしゃっているし、どうなるかなあ…、荒井先生の連絡を待ちました。

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