チョイスブラインドネス(選択盲)ではなく、ちゃんと選ぶ
チョイスブラインドネスって何?
選択盲とは「人は自分が好きなものを選んでいると自分に思い込ませている」という現象です。有名な研究として実験心理学者のペター・ヨハンソンの実験があります。
2枚の人物の写真から好きな方を選ぶことを繰り返してもらい、後でその理由について述べてもらいます。何度か繰り返した後、こっそり選んだ写真を入れ替えて、つまり選んでいない方の写真見せ、なぜ選んだかと聞くと、写真が入れ替わったことに気がつかない人が多い上に、きちんと(選んでいないのに)選んだ理由を語れます。
ペター・ヨハンソンは「この実験が表しているのは、選択がすり替えられていることに気付かない場合、人は即座に別の理由付けをし始めるということです。もう1つは、実験参加者は自分が好きだと、思い込まされたものを実際好むようになるということです。この効果を選択盲と言われています」と語っています。
これは視覚だけでなく味覚でも別の実験で証明されていて(スーパーでジャムを選ぶ、理由を述べる実験)
この実験が示すのは私たちが信じてる自分の「選んだのは私」というこだわりは大して意味がないってことなんだそうです。「選んだ理由」も後付けの理由だったりするてことなんだそうです。
選ぶ過程が大切なんじゃないか
思うに数秒でどっち?って選ばなければいけないプレッシャーのもとでの決断が、その決断理由も含めて整合性のあるものかどうか、怪しいのは当たり前なんじゃないでしょうか。
話は変わって
昨日、今日と以前に見て深く感銘を受けたNetflixの「スタッツ:人生を好転させるツール」というドキュメンタリー映画をノートに書き起こしていました。
番組の中で精神科医スタッツは自身の経験から得たツールを丁寧に説明しています。一番印象的なのは「String of Pearls」のくだり。人生は行動の連続。痛みと不確実性を伴った行動を続けるしかない。真珠の首飾りを作るように糸に行動という真珠を通し続ける。
つまり、数秒でどっち、の選択で終わるのではなく、そして選択だけで終わるのではなく、それを何がしかの行動のきっかけと捉え、行動を続ける。つまりは選択を繰り返す。そうしてこそ、ずっと付き合える選択ができるのじゃないかと思うのです。
俳優を職業に選ぶこと、事務所を選ぶこと
このところ、ある専門学校と芸能に特化した高校の卒業見込み生との面談が続きました。学校側から指定される時間は一人30分。そんなんで選べる??
訳ないやんって思うから、学校に電話して「生徒さんが納得するまで私は何度でも何時間でも会います」と伝えましたが、結局、学校側からは2次面談で30分ごと、(大阪からの生徒さんは1時間でした)時間をもらえる程度でした。
本当のことを言うと私は私が納得できるまで彼らを引き止め、毎回3時間以上話しました。おかげさまで何人かが所属契約に至りました。契約に至らなかった人もいます。契約に至らなかった人たちの中には、俳優を続けていけば、もしかしたら2年後、3年後、4年後、弊社への所属を希望する人も出るかもしれないと考えています。
選択は失敗を繰り返しても、その度に学べば、だんだんと上手くなれるスキルです。あ、ミッシングピースを選ばなかった人たちが失敗の選択をしたとは思っていませんよ!でも彼らが俳優を職業に選んだ理由やその過程を知ると、どっちが好きかと写真を選ばせた実験に似たようなところがあるように感じます。そこに目を見張るような「過程」を感じられません。
紆余曲折が肥やしになるのが俳優業の得なところです。だから事務所の選択の一つや二つ、間違っても大丈夫!
でも俳優側からすれば、出来れば、
そこは間違いたくないと思うのは人情で、
事務所側からすれば、間違うわけにはいかないところです。
選ぶ、選ばれる過程を作ろう
繰り返してきた選ぶ、選ばれるの失敗を繰り返して、また目の当たりにしてきた今、取り組んでいるのが、映画監督とコラボの新人募集プロジェクトです。今回の専門学校生との複数回の面談で、ますますその必要性と可能性にワクワクとドキドキが止まりません。3月には発表できるように毎日、そのことばかり考えてます。(ちなみに人間は1日に7万回、何かを考えたり思いつたり、感じたりしてるそうです。だとすれば、そのことばかりを考えてるってのはかなり、大ウソです!)