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ボートレーサーを目指していた話
写真: 毎日新聞 2021/1/7 15:00
今回、ボートレーサーを目指していた過去の話をnoteに残そうと思い、少しばかり書いてみます。
目指したきっかけ
「ボートレーサー目指してみれば」
仕事中に、ボートレーサー募集中のラジオを聴いていた父が、自分に勧めてきたのがまずこの職業を知ったきっかけ。
幼稚園の年長から高校三年生の夏まで野球が人生を作ってきたと言っても過言ではない日々を過ごしてきた自分。
大学野球はしないと高校二年生の時に決めていたため、確かに夏が終わったあとやること・目指すことはなかった。
高三の初めにかけられたこの言葉は、どこか頭の片隅に残っていて、最後の夏の大会を背番号「4」をつけ、無事にやり切り、俗にいう引退ライフを謳歌していた。(車の免許を取り、髪を伸ばし、バイトをし、遊んでいた)
12年続けていた毎日の素振りがなくなり、なにか物足りなさを感じていた私は、高校三年生の冬にGoogleで「ボートレーサーになりたい」と検索し、応募条件、試験内容、養成所からプロになるまで、対策動画など色々見ているうちに、
・未経験から目指せるプロスポーツ選手に
・運動神経が活かせる
・体格は自分に合っている
・平均年収1900万円
という、様々な条件にマッチしていると考え、応募し、願書を提出した。昔からの憧れでもなんでもなく、本当に好奇心で応募したのがスタートだった。
養成所試験合格への道
1月 願書を取り寄せ、書類を送る
・64kgあった体重を、52kgに持っていくため、食事制限(回数を減らし、量を減らし、サラダや鶏胸肉をとる)
・有酸素運動(朝と夕方にランニング)
・サウナ(汗をかいて体重を落とす)
・1次試験の学科対策に、高校入試程度の5教科の教材を軽く勉強し直す
・各試験項目に合わせたトレーニングこれらのことに取り組み、一次試験までに体重とコンディションを持っていった。
5月 地元で一次試験
正直、全くできなかったと思っていた。
「こりゃダメだ」と大学に入学したての18歳の自分は感じていたが、数日後電話がかかってきた。
「一次試験合格です。次は、レース場に話をするのできてください。」と。
自分でもびっくり。だけど、なんかすっごく嬉しかった。
この時、人生で初めてボートレース場に行き、生のボートレーサーの走りを間近で見た。
ビビッときた。
これだ。俺の目指すべき姿。
ここで火がついた。2次3次絶対受かってやると。
6月 2、3次試験を受けに福岡県へ(5日間)
大学の授業を1週間休み、友人には何も言わずに、養成所の入所試験を受けにいった。
会場には全国から250人ほど。
みんな運動神経良さそうな感じが少し出ていた。
緊張していた。
でも心は燃えていた。
毎日様々な種目の体力測定。
自分の番が来るまでの待ち時間。
養成所という施設での生活。
試験の5日間だけでも新鮮だった。
試験で初めてボートに乗った時は、
はや。すご。水だ。結構こわいな。操縦難し。
いろんな感情があったが、
カッコ良すぎる。
というのが最後に襲ってきた。
3日間の2次試験を終え、4日目の朝に合格発表。
「自分の番号呼ばれた」素直に嬉しかった。
3次試験は、面接と身体測定。
これはありのままの18歳の気持ちと、病院でしっかりと検査を受けた。
5日間の福岡県での試験を終え、帰りに試験を受けたメンバーと福岡競艇のSGレースを見て帰ったことを覚えている。
「いつかここで走るかもしれないんだな」
と思っていたことが懐かしい。
数日後、バイト終わりに、父から
「ボートレーサー養成所から封筒届いてるよ」
こんなLINEが入っていた。
全力で自転車を漕ぎ、家に帰り、すぐに封筒を開いた。
結果は、合格だった。
人生で何回かしか経験したことのない震えがあった。ワクワク感。
俺があの舞台に立つのかという期待。
自分への自信と感謝。
努力が報われる瞬間は本当にすごいと感じたあの日の結果通知だった。
まさか、目指して一発目の試験で合格するなんて思ってもいなかったが、願書を提出してみる。動く。準備する。
挑戦の一歩を踏み出すことで人生ってこんなに変わるんだと思った。
9月 大学を休学した。
ボートレーサー養成所
9月最終日。頭をバリカンで丸め、携帯の電源を切り家に置き、家族に別れを告げて羽田空港を立った。
坊主にスーツにスーツケース。荷物と不安を詰め込んだ19歳は人生で初めて家を出た。
初めての人生を変える大きな挑戦だった。
翌日の入所日に備え、近くのホテルで宙に浮いたような気持ちでいた。
夜もソワソワしてなかなか寝付けなかった。
「明日から始まるんだ」
不安と期待に包まれたあの時の気持ちは今でも覚えている。
10月1日朝。迎えにきたバスに乗り、同期のメンバーになるであろう人たちと無言で養成所まで進んだ。
ここまでが、目指してから、養成所入所初日までの主な出来事と心情を少し書いたものです。
これ以降の養成所での生活や心情は、あまり口外してはいけないこともあると思いますので、また思い立った時や好評だった時に書いてみようと思います。
結果
結論、私は養成所生活を送っていく中で、様々な経験をし、プロを目指す厳しさを味わい、自分自身と向き合い、
「自主退所」
という道を選びました。
養成所での過ごしたのは数ヶ月でしたが、人生の中でこの経験は一生の財産になると思っていますし、この挑戦をしたからこそ今の自分があると思っています。
ボートレーサーに限らず、夢に向かって突き進む人は本当に素晴らしいと思います。
実際にやった人にしかその気持ちは分かりません。これだけは言えると思います。
その上で、これからもボートレーサーを。そして同期のプロになったメンバーをずっと応援し続けたいと思います。
怪我なくレースで活躍する姿を願っています。
頑張れボートレーサー。ボートレーサーはかっこいい✨
長くなりましたが、今回はここで締めたいと思います。
ここまで読んでいただいた方は本当にありがとうございました。
レーサーを目指す方
プロスポーツ選手を目指す方
何か目標に向かって動いている人
どんな人でも、前向きに人生を生きる人に届けばいいなと思っています。
一緒に頑張りましょう。これからも。
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