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あれ?オーストラリアの位置おかしくね?の話

 久しぶりに世界地図を見ると、オーストラリアの位置が、自分の中のイメージと何か違う。おかしい、オーストラリアはこんなに西だったのか?と感じる人は少なくないのでないか。

 これは、フラットアースが増えた原因の一つと関係があるかもしれない。マンデラエフェクト?‥ポールシフト?んなわけあるか。    

 地軸は確かに変動するが、3度変わるだけでもざっと4万年のレベルなので半世紀で20度も30度も変わるわけがない。

 まず、これを見てほしい。正角円筒図法で描かれた世界地図だ。

地図投影法学習のための地図画像素材集より


 何か妙に感じないだろうか?高緯度部分や南極については一旦置いといて‥まず中央辺りだ。

 オーストラリアの地図の位置に違和感がある。そんなに日本の真下だったのか?時差からいえばこれが正解に間違いないのだが。そんなに東南アジア寄りだった?実感としてもっと東南だった‥ニュージーランドもオーストラリアの右上にあったような気が‥この違和感は、どうやら相当の数の人が感じている。それも個々にバラバラではなく、オーストラリアやニュージーランドの位置の違和感が、概ね一致している。おかしい、これはなんだ?

 図法のせいなのか?学生の時に見ていた地図にはメルカルト図法と表記されていたような気がする。さもなくば楕円形のモルワイデ図法か開いたミカンの皮のグート図法の地図だったと思う。違和感を感じるのは、主にメルカルト図法の地図のイメージだ。だが、図法のせいではない。これは、球体表面を剥ぎ取って革製品のように鞣すために起こっている錯覚だからでは、十分に納得のいく説明にならないのだ。

 次に、これは、昭和の平凡社の百科事典に収録されている気合いの入った地図だ。まだソビエト連邦が存在しているから時代がわかる筈だ。


 やはりオーストラリアは若干、右側にある。経線の流れを見れば、視覚的に右寄りにあるが位置として右側にあるわけでない事は分かる。ある程度はイメージ記憶の誤認としては理由にはなりそうだ。ただ、自分のイメージでは、もっと強烈に右側なのだ。その説明が図法の違いからでは納得のいくものでない。球体の展開図で開いたミカンの皮だから、元に戻すと西寄りに戻っていくのは理屈として分かる。だが、このイメージの出どころが分からないのだ。

平凡社 世界大百科事典 世界地図 日本地図より

 グート・ホモロサイン等積図法では、東京とオーストラリアのアテレードの経度が135度線でほぼ同じだ。経線が見慣れた直線ではなく歪な円弧で繋げられていて、意識的に見ないとオーストラリアは日本の東寄りに配置された状態で記憶されてしまうだろう。

更に、これは小学生向けの地球儀だ。

135度線に注目 大阪を通っている
135度線がアデレードの西側を通っている

 オーストラリアのとアデレードの左側のポートリンカンと大阪が、ほぼ同じ135度経線上に確認できる。この程度は地図に落とした場合は誤差の範囲なのだろう。地図の用途次第では多少のズレぐらい出るのは仕方ないのはわかっている。

 多少の誤差は許容範囲としても、オーストラリアの位置の違和感は一体‥

 これは地図の作成時に意識している地軸が異なっている状態で記憶したイメージのせいなのだ。世界地図A図は、地軸が時計回りに23.4度傾いているのを無視(観測者が地球基準を正方向としているため傾きはないということ)、北極点を真上、南極点を真下にした地図だ。

 正角円筒図法で横方向に引き伸ばした分、縦方向にも引き伸ばして調整するこの図法では高緯度の南極大陸は途方もなくな巨大な大陸に見えてしまう。グート・ホモロサイン等積図法では途切れ途切れに描かれていた大陸を繋げる図法だったが、この図法で処理された地図では南北の極周辺が異様な程に巨大な壁のようになる。
 フラットアースが、南極が容器の外側の壁と思うのはこの辺りが原因かもしれない。

 ここで、問題となるオーストラリア周辺を拡大してみよう。

A図 
地球の自転軸を垂直の基準として見立てた地図

太平洋の西側の拡大地図

 これが正角円筒図法を調整して慣らした標準的な太平洋周辺の地図だ。やはり違和感がある。

感じている違和感はこうだ。

・オーストラリアが西に寄りすぎている。太平洋の真ん中の下辺りに、底の蓋のような存在感があった大陸の筈なのに、なんで日本列島の真下にあるんだ?

・ニュージーランドはオーストラリアのもっと右側に並んでいた。なんだったらオーストラリアのやや右上にあったぐらいの勢いで違和感があるのだ。なぜ下にある? 

 更に、そうだ‥日本列島に薄々と感じていた違和感はこれだ。昔の記憶の中の日本列島のイメージはもっとキリッと立っていたんだ。南北に長かったのだ。そんな、弱りかけたエビみたいに東西(横)に延びていなかったんだ。銚子が一番日の出が早い最北端だった筈だ。これだと北海道に大きく道を開けられている。でも北海道も住所的には東京都所属の太平洋の離島には負けるけど。

 地球の自転軸から見ると、地球が太陽の周りを回る公転軸は反時計回りに23.4度傾いているから、自転軸を公転軸が元々あった位置(暗黙の基本軸)に合わせてみると‥これぐらい傾く筈だ。

B図 
 地球の公転軸を垂直とみなして、公転軌道面上に立った観測者から見える地球の地図

反時計回りに23.4度傾けた地図


あ‥ほぼ見慣れた記憶通りの配置になった。
(23.4度反時計回りに軸を傾けた場合)経線、緯線が斜めなのを気にしなければ概ね納得だ。腑に落ちる日本列島の角度のイメージはこれか。これだとオーストラリアも南太平洋の中央にある。

 地図の経線が垂直に描かれた地図図法に慣れていると、地球の自転軸と経線は当然、垂直だという慣れができる。この垂直とは観測者と自転軸が同じという意味になるが、もし、観測者が地球の公転を垂直と見立てた上で、公転軌道面の上に立って地球を観察したらどうなるだろう。当然、経線と緯線は斜めになるが、大陸や列島の形をイメージで捉えている場合がほとんどだろう。

A図 自転軸は垂直=観察者の観察は自転軸で完結
B図 観察者は公転軌道面上に立って観察している

 世界地図を見る時、日本にクローズすると、こんな感じで無意識に傾けてないだろうか?うっかりすると45度ぐらい傾けがちだ。

反時計回りに45度傾けた地図

 図法的には、本来、高緯度近辺では経線が極に集中する筈なのに、全ての経線が並行に等間隔で描かれた地図だと、高緯度が異様に大きくなってしまう。球体だから斜めから見ないとダメだと無意識に地図に地球の角度を付けて斜めにして見ていたかもしれない。

 45度傾けた地図では、さすがに日本列島がそり返り過ぎだ。日本列島二足歩行かよ。日本列島はいただけないが、オーストラリアとニュージーランドはいい感じだ。

 比較的年齢の高い世代の人のイメージに近いオーストラリアはこれではないか?なんとなく四国の形に似ているせいなのか、この角度でもあまり違和感がない。

 この錯覚は、どうやら地図の図法が自転軸と経線を垂直に立てた配置をデフォイメージとして定着させたから起こるようだ。丸い地球を円筒の筒に見立てる図法と、地球の公転軌道上を進む宇宙戦艦ヤマトの艦橋から見える球体の地球のイメージのすり合わせができていなかったのだ。
 そして、至極当然の結論にだどり着いてしまった。地球儀だ。地球儀の台の水平は公転軌道面を基準にしている。こんなところに隠れていたのか公転軌道!少年よ、地球儀を持とう。地球儀を持っているかいないかで、将来、陰謀論者に落ちる可能性があるだなんて、大きな声では言える筈がない。

こちら向きの地球の配置のイメージが記憶されている
おそろしい事に反対向きは、更にオーストラリアは西へ

 そうか‥オレは、船乗りが石のように硬いビスケットのようなパンをスープに浸して食べる合理を理解せずに、おしゃれな西洋文化と勘違いして、日本のミミまで柔らかい食パンをスープに浸して、ふにゃふにゃにして食べようとする軟弱者だったようだ。反省して、今後は雷おこしをお汁粉に浸して食べることにしよう。

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