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「畠山耕治 青銅を鋳る」 菊池寛実記念 智美術館 レポート

畠山耕治(1956~)は鋳物の歴史を持つ富山県高岡市を拠点に、青銅を素材とした鋳金による制作を追求してきました。鋳金とは溶解した金属を型に流し込んで成形する技法で、鋳金で出来上がったものを鋳物といいます。 畠山の作品は抑制の効いた造形と即興的で臨場感のある表情に特徴があります。箱状の形態をはじめ、直線とわずかな曲線で構成されるその制作には畠山の造形感覚が表れ、シンプルな形状であるからこそ、「青銅の存在そのものを鋳込む」という作家の意志が示されます。そして、様々な薬品や熱などで金属に化学変化を起こす着色の工程によって、色彩と質感を創出し、青銅の造形に命を吹き込むのです。 畠山は素材や技法の特性と創意を一体に青銅の素材感を作品に現わしますが、着色技術の習熟にともない色彩の幅が広がると、その表情は多彩になっていきます。これは青銅という素材に対する理解の深まりによるもので、独自の鋳金制作を模索し、打ち立てようとする作家の姿が窺えます。

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第1室

展示風景



《十の面》2007年を上から
《十の面》2007年



第2室

展示風景


《六つの面》2017年



第3室

展示風景


展示風景


畠山耕治作品は鋳金で作られています。
鋳金は溶かした金属を型へ流し込み形を作り上げるもので、大きく、複雑な造形を可能にしますが、畠山はむしろ「「青銅の存在そのものを鋳込む」という自身の制作欲求と造形感覚を、直線とわずかな曲線で構成したシンプルな造形」を追求します。
箱形の造形は、大小の同じ型をつくりそこへ金属を流し込むことでつくる鋳金のその最も効率がよい形としてそれを選んでおり、また外側から内側を想像させるという意味をもたせ、鑑賞者に造形そのものを注目させます。効率性の追求は、通常分業で行われる作業であるところ一人で全て行うためでもあります。
一方でコミッションワークも多く、モニュメントのみならず建材も作っており、その際は工場や建設現場で多くの人たちと作業をしています。
智美術館の展示室入口壁面にはあたかも建材のようにそのコミッションワーク作品がはめられています。
作品造形に対する追求はコンセプト優先でされているようでありながら、職人の技術追求のようでもあり、一人で制作をするアーティスト像を見せながら大きなプロジェクトにも介入するなど、美術なのか工芸なのか、明確に区分けできないその境界線にあることが面白さなのかもしれません。

参照プレスリリース





会期:2022年9月17日(土)~ 12月11日(日)
休館日:月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)
開館時間:11:00~18:00 ※入館は17:30まで

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https://www.musee-tomo.or.jp/exhibition/



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