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物持ちのいいひと。

モノに感情ってあると思いますか?

(……ルンバは絶対に感情がある)

新手の宗教勧誘ですか。そう見えますね。
でもそうではないのです。

今、noteで細々と「モノ語り」なる掌編を書いておりまして、
毎回一つの家具や小物の視点で、その所有者との関係性や感情なんかを綴っております。

あなたの家に、よく読む本が入る一軍の棚と、今まで読んだ(買った)本を置く控えの本棚、ありませんか?
たとえばその本棚はどんな気持ちだろうか、とか
ソファは人を座らせるためにあるのではなくて、実は堕落させるのが本職ではないか、とか。
そんな風に思って始めて、ちょっとずつ物語を進めています。

で、やっと本題。
モノに感情があるとしたら、その家具たちが心を赦してくれるのは、物持ちのいいひとなのではないか。

(終始ふんわりした話だな……。)

人は一日中動き回るけれど、モノは決して動かないわけです。
もちろん、トイストーリーな世界が広がっている可能性は十分にありますよ。おもちゃが動くなら家具だって動くでしょ。


でも、もしそうじゃなかったら。
ずっと同じ場所に立っていて、体の中にある本を取り出される。
そうやって一日どころか何年も過ごすわけですから、当然体も心もすり減ります。
それがやがて「ガタつく」とか「ゆがむ」とか、家具の不調につながります。

でももし、その所有者が物持ちの良い人なら。
長く、丁寧に使ってくれる人なら。
家具の体の疲労はゆっくりになるでしょう。
そして、乱暴に扱われたり、捨てられる心配がないわけですから、心も穏やかなことでしょう。

体も心も穏やかなら、それは人間と同じく、気分良く過ごせます。
だから、モノもどんどん長持ちして、所有者のこと、あなたのことを好きになってくれる。
そうすると、なくしたと思ったものが本棚から出てきたり、コーヒーがちょっとおいしくなったりするかもしれません。

そうやってモノから好かれた生活、楽しいはず。

少しモノに寄り添ってみると、意外と素直に反応を返してくれるような気がします。


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