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1979年 NST新潟総合テレビ 日曜オールゴールデンタイム。

 今から約40年前、私がまだ小学5年生だった1981年3月までは、わが新潟にはテレビの民放チャンネルが2局しかなかった。一つは県内最古の民放局、BSN・新潟放送。そしてもう一つはNST・新潟総合テレビ。当時におけるキー局からのネット状況はというと、BSNがTBS単独だったのに対してNSTは日テレ・フジ・テレ朝の3局をネットしていた。

 このころは大都市圏や札幌・仙台・広島・福岡といった地方の中心都市がある以外の県はほとんどにおいて民放が2局であった。チャンネルが足りない分地方局が複数のキー局をネットするのだがその場合も2局・クロスネットであることが多く、3局のトリプルネットというのは全国でも珍しかったようだ。

 ただそれ故に、今にして振り返ってみるとトリプルネットは各局の「いいとこどり」をしていたところがあり、後にまで語り継がれる名番組は大体放送されていたように思える。東京では恐らく再放送の枠であっただろう時間帯に本放送の番組を流していて、「東京の人気番組を少しでも多く」という心意気?みたいなものを子どもながらに感じたものだった。

 その、当時のNSTの心意気の結晶と言えるのが日曜日であった。そこで1979(昭和54)年10月21日の新潟日報のテレビ欄から主な番組をここに列挙してみたい(東京での放送局と放送時間も併せて記す)。

AⅯ8:30 霊感ヤマカン第六感(テレビ朝日・水曜PM7:00)                               AM9:00 ヤンヤン歌うスタジオ(東京12チャンネル(現テレビ東京)・日曜PM7:00)                          AM10:00 題名のない音楽会(テレビ朝日・同時ネット)     AM10:30 スター誕生!(日本テレビ・日曜AM11:00)

PM12:00 週間漫画ゲラゲラ45(テレビ朝日・同時ネット)    PM12:45 新婚さんいらっしゃい!(テレビ朝日・同時ネット)    PM1:15 TVジョッキー日曜大行進(日本テレビ・同時ネット)    PM2:15 暴れん坊将軍(テレビ朝日・土曜PM8:00)       PM3:15 大江戸捜査網(東京12チャンネル・土曜PM9:00)    PM4:15 大都会PARTⅢ(日本テレビ・火曜PM9:00)

PM6:00 アイ・アイゲーム(フジテレビ・日曜PM10:00)    PM6:30 サザエさん(フジテレビ・同時ネット)          PM7:00 びっくり日本新記録(日本テレビ・同時ネット)      PM7:30 すばらしい世界旅行(日本テレビ・同時ネット)      PM8:00 俺たちは天使だ!(日本テレビ・同時ネット)       PM9:00 日曜ロードショー(日本テレビ・水曜PM9:00 「水曜ロードショー」のタイトルで)                     PM11:00 唄子・啓助のおもろい夫婦(フジテレビ・同時ネット)

 ご覧の通りである。トリプルネット局らしく日テレ・フジ・テレ朝の番組がまんべんなく並んでおり、さらにはネットされていない東京12チャンネルの番組まである。なにより驚くのが午前8時台から午後6時台の番組に東京のゴールデンタイム(午後7時~9時台)・プライムタイム(ゴールデンタイム+午後10時台)の番組がずらりとあることだ。まさに一日中、オールゴールデンタイムといっていい布陣である。それでいて同時ネットの番組もしっかりとあり、「日曜感」も感じることができた。テレビっ子だった私にとって日曜日のNSTは夢のようなタイムテーブルであった。

 一つ一つ見てみると・・・。

「世界中で一番面白い番組(byフランキー堺)」霊感ヤマカン第六感とヤンヤン歌うスタジオは、本放送の時間よりこの時間の方が合っているのではないかと思うくらい、学校がなく、「おそく起きた朝」のお楽しみの番組だった。特に「霊感・・・」はキー局ではちょうど真裏にフジテレビでアニメ「ドカベン」をやっており、東京にいたら絶対にそっちを見るのでそういった意味でもありがたかった。

 スター誕生!は同時ネットだと思っていたのでこれはちょっとした発見だった(「もしかして先行放送」とも思ったが、同日のキー局のタイムテーブルを見るとゲストの顔ぶれが違うので恐らくそれはないだろう)。

 TVジョッキー日曜大行進。名前からして「ザ・日曜」な番組。NSTの日曜番組編成の流れからしてこの時間も夜のドラマを流してもいい感じなのだが、そうではなかった。子どもにとってはうれしいことであり、このあたりの、年齢層を考えた編成のバランスは絶妙だったように思える。

 そしてこの後は5時すぎまで、大人のドラマ・時代劇が続く。中でも大江戸捜査網と大都会PARTⅢは本来「子どもは寝なさい」の時間にやっており、子どもが見るべきではない、どきついシーンが文字通りトラウマとして今でも残っている(「大江戸捜査網」江戸時代なのに善良な市民が悪人にピストルで殺されるシーンや「大都会PARTⅢ」刑事が冷凍車に閉じ込められ、持っていたマッチが尽きて凍死寸前になるシーンなど。多少の記憶違いがあるかもしれない)。ちなみにこの日、関東では昼の時間帯は主にメジャーリーグワールドシリーズやフットボールなどスポーツを多く流していたのだが、新潟ではBSNでPM2:30から放送していた競馬中継しかない。「スポーツは結果がわかればいい」という局のスタンスだったのか。他県のクロスネット局はどうしていたのだろう。

 「子どもは寝なさい」という意味で問題なのがPM6:00からの「アイ・アイゲーム」である。伏字の言葉を一般解答者とタレント双方で推理して、一致すれば得点になるいわばワード・マッチングゲームといえるものなのだが、キー局でPM10:00からという時間もさることながら、司会の山城新伍の怪しさ、出される問題文がいかがわしかったりと、「深夜でもいいのではないか」と思わせる内容であった。よりによってフジテレビの伝統のアニメ枠(現在は「ちびまる子ちゃん」)に入れなくてもと、今にして思う。

 「日曜ロードショー」。東京では日テレの「水曜ロードショー」なのだが、日曜のこの時間はテレ朝で「日曜洋画劇場」をやっていた。そちらをそのままやってもいいのではと思えるのだが、確かこの時NSTは土曜に同じテレ朝の「土曜ワイド劇場」をやっており、バランスを取ったのかもしれない。

 以上、記憶の限りで記したが、改めて日曜日は一日中テレビの前にいたのだなあと思い起した。わたしはただでさえインドアな性格であった上に近所に同じ学年の男友達が少なかったので、無類の時代劇ファンと石原裕次郎ファンだった父がテレビを見だすと外で遊ぶのを止めて一緒になってテレビを見ていたものだった。「夜のドラマやバラエティを子どもが見るの は・・・」みたいに書いたが、いつかは大人の世界を知らなければいけないのであれば、こういった形で大人的なものがわかるのも入り口としていいのではと思ってみたりもする。

 今では新潟も民放が4局あり、各局の日曜朝・昼の番組も時々テレ東の番組がある以外は東京の番組をそのまま流すことが多くなった。それはそれなりに楽しめるのだが、あのテレビ黄金期の贅沢ラインナップを味わうことはもうないのだなと思うと少し寂しい気持ちになる。「日曜日のテレビって、こんなに面白かったんだよ」と、今の子どもたちに伝えられたら・・・、いろんな意味で、ちょっと無理かな。


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