おじさんレンタルをして思ったこと

■おじさんレンタルとは

 おじさんレンタルというサービスをご存知だろうか?
名前の通り、おじさんを時間単位でレンタルできるサービスで、WEBに一覧化されたおじさんのなかから、自分の目的や好みに応じておじさんのお時間を1時間1000円でお借りできるものだ。

おじさんとして登録されている方は、年齢にして30-50代の男性であることが多く、この記事ではそういった定義で話を進めたいと思う。

■おじさんレンタル利用の経緯(長い身の上話)

1.サービスの第一印象

 私自身、結構前から知っていて、会員制のスナックで働いていたときに、おじさんの話を聞く時間が楽しかったり、人生勉強になるなと感じた経験だったり、飲み屋で隣になったおじさんが勝手に経営の話を初めてくれる愉快な方だったりした経験がいくつかあり、そういう意味でおじさん好きの私としては気になりつづけていたサービスだった。

 サービスを知った2016年時点では、一般消費者がまた一般の人の時間をお金で買うという概念は新しく、各おじさんのPR文をよんでいると、なんでもお任せあれ的な心の広そうな方の多さに、慈善的な要素も含んでいる点で魅力的に思った。

2.サービスを即利用しなかった理由

 ただ、なかなか知らない第三者と初めて会って、お金を払って、というのはどうも安全性やクオリティの面で不安が拭いきれず、会うこと以上の目的もないと、なかなか手が出せないなと思って、思い出したり、忘れたりして3年。

 告白すると、私はJoin usやTinderといった、いわゆる出会い系アプリを使うことにそれほど抵抗のない方で、免疫もそれなりにあるのだけど、それでもなんだかUIが手入れされてないかんじとかで胡散臭さや怪しさを感じて、結局、手を出すに至らないことを繰り返していた。

 人と出会うための代替手段は世の中にたくさんある。WEBサービスや場所を介して、用事を済ますために必要な人手しかり、感情を分かち合う仲間しかり、目的を同じくする仲間しかり、今の世の中、特定の層にセグメントして出会うための無料手段はいくらでもあり、溢れている。そういうわけで。

3.利用しようと思ったきっかけ(長い身の上話)

 そんな私が、今回使うに至ったきっかけは、今WEBデザインの勉強をしていることだ。広告の仕事をしているので、デザインをディレクションしたり、広告運用のことを考えることは多いが、自分自身で手を動かして作業したり、何かをつくることはできなくて、というバックグラウンドと

いずれ起業したい、そのための資金づくりと、もっと行動範囲を広げ経験したいことがあるのに対し、自身の安定的な収益を確保するために手に職つけたいという欲求があり手始めに夏頃にデザインスクールShe likesに通った。

 HTMLやCSSと、Adobeのデザインツールの使い方などの基礎を学び、Wordpressの構築方法もなんとなくわかり、最低限サイトをつくるスキルはここ3-4ヶ月でやっと習得できたレベル。

 ただ、自分のための勉強というのはなかなか続かず、デザインがめちゃくちゃ好きかというと、どちらかというと、寝ている方が好きだし、勤務以外の時間をフルに使って努力した時期もあるが、やっぱり誰かの役に立っている実感が伴わないものは続かないものだと思ったのは結構最初の方で

 でもそこに対して手を打つというよりは腕を磨かねばという、思い込みが先行した結果、クラウドソーシングのコンペに参加しまくっては採用されず腐り、採用された人との違いをみては成功要因もわからずに自信をなくし、不用意に焦燥感に苛まれ続けていたなと振り返る。 

4.利用しようと思ったきっかけとなる迷走(長い身の上話)

 人生がコントロールできなくなるくらいのめり込むのが昔からの特性で、それ以外のことを本当に一切しなくなってしまうので、それでもうまく生きていける実家暮らしの時代とは違うんだと自分に言い聞かせて、11月は飲み会が多かったり、用事が立て込んでいたこともあって一旦離れようとお休みを決意。

 そうなると今度は腰が重くなって、大好きな睡眠に走る土日が何回かつづき、自分の価値はどこにあるんだろうと学生時代によくやってた迷走をしていたら、フレンチトーストに入れる砂糖を塩に間違えたりとかして。そろそろ目を覚ましてくれる何かが必要だと思い、何を迷ったかバチェラーに応募してみたり変な方向に走りかけたのだが、それを笑って、しかし冷静に、何やってんのと言ってくれる旦那の仏さに救われてちゃんとしようと思った。

 やっぱり、身近な人の何気ない言動というのは、身近にいさせてくれることを許容してくれる人柄や関係性なだけに、わかってくれて、その上で示唆を与えてくれるので、大切にしないとと思いつつ、にわかに、私は…釣り合っているだろうか…と良い意味でも不安にさせてくれるものだ。というのは余談で。

■おじさんレンタルを利用して思ったこと

 で、そんな日々を過ごして、そうなって色々と考えたあげく、おじさんレンタルに至ったわけだが、今回レンタルさせて頂いたのは、通称・仏なおっさんで、クリエイティブの仕事を長年手がけられている人の話を聞くのが好きという方。銀座のカフェで1時間程度、お話させていただき、デザインの仕事に関する捉え方や、スキルを磨く上で大事な考え方を伺うことができた。

 誰もが聞いたことのある規模の会社と仕事をされていたり、私からすると驚くような、大躍進のバックグラウンドをお持ちで、丁寧で謙虚な説明や物腰柔らかな話し方には安心感が有り、とてもじゃないけど1000円では済まないような時間を過ごさせて頂けたなというのが感想。

 そして、おじさんとして登録されている方は、お金を払っているらしい(衝撃)もちろんお金儲けが目的でないことはわかっていただけると思うが、その役に立ちたいというホスピタリティには目を見張るものがあると感じた。もちろん人によって感じ方に差はあると思うが、私は素晴らしい体験をさせてもらえて、おじさんに対し感謝しかない。

 素晴らしいと思ったポイントは、デザインのことを聞けたことはもちろん。それ以上に、人の役に立ちたいという気持ちって、誰かの同じようなそれを刺激するもので、私もデザインを学ぶにあたって判断した自分の投資や決断が、間違っていたものではなかったと思うための延長線上のそれをするのではなく、誰かのちょっとした何気ない心の動きが、良い方に進む時間の使い方をしたいなというマインドセットができたこと。

 そんな心変わりができたことは大きな収穫で、明日の自分を急激にめちゃくちゃ進化させてくれるものではないけど、ちょっとした努力をコツコツ続けさせてくれる燃料になりうるという意味で、大きい。

■おじさんレンタルをおすすめしたい人

だから、日常をちょっと変えたい、でも勇気がわかなかったり、緊急度の高い人間生活を優先した結果、消耗して他のことに取り組む余裕なんてないやという方におすすめで、のほほんとした安心感と、元気をもらえる方法としておすすめする。

同時に、SNSで発信したいけど、こういった形で自己表現できるキャッチーなコンテンツがほしいと潜在的に思ってる人、私も当人なのでよくわかるけど、SNS断捨離をしてもそれ以上に効率的にリーチする自己表現ツールという代替手段はなくて、でも戯言だなと思われるくらいなら、ちょっと役に立つ情報を盛り込みたい、でもそのためのコンテンツがなくて積んだとどこかで思う人には本当に、おすすめ。

#それもまた人生 #おじさんレンタル

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