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食べる事は大変です①

 前回から、栄養・水分投与について話し始めました。
 先ずは、食べる・飲むは、結構難しい事をやっているという話です。

 そもそも、食べる・飲むということは、空腹・口渇を感じなければ始まりません。
 それを感じるのは、脳の真中下側の視床下部にある、摂食中枢、満腹中枢、口渇中枢なんかです。
 摂食中枢・満腹中枢は、空腹や満腹の時に濃度が変動する物質(グルコース、インスリン、脂肪が分解された脂肪酸などなど)の変動によって刺激されます。さらに、脳に送られる胃や腸が伸びたり縮んだりした時の刺激が合わさって、空腹感や満腹感を感じます。
 口喝中枢は、血液の濃さ(浸透圧)が上昇すると刺激されて、私たちに渇きを感じさせます。
 なので、これらが壊れたり感受性が低下するような状態、怪我、手術、腫瘍、高齢、認知症なんかでは、何が起きるか?
 実際には体に栄養が足らなくても、空腹を感じない。食事をしっかり食べていても、満腹を感じない。体の水分が足らなくて脱水になっていても、口渇を感じない。といったことが起こります。

 次は、お腹が空いた、喉が乾いたと感じて、目の前に食事や水分があった時に、口に入れるか?

 細かいことかもしれないですが、目の前にあるものが食べ物だったり、水分だったり認識しないと口に運べません。
 それを認識するには、見たり、匂ったりした刺激が脳に入り、食べ物や水と認識しなければいけないです。
 なので、認知症なんかで認識できなかったり、さらに空腹感などを感じてなければ、食べたり飲んだりしたがらないです。

 実際、高齢者を診ていると、ちょいちょい経験します。

 今回は
 そもそも食べたくなって、食べ物・飲み物を認識できるかどうかの話でした。

 次回は、食べ物・飲み物を認識したとしても体に入れられるかどうかです。

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