【新聞連載第2回】中小経営者と大学生
●連載タイトル 『三河はでっかいキャンパスだ!』
●プロフィール 1993年生まれ愛知県出身。特定非営利活動法人コラボキャンパス三河ディレクター。アメリカ留学、ベトナムで働いた後岡崎市へ。行政•企業•学校と連携し て、小学生から大学生までの学び場をつくる仕事をしています。
インターンシップとは、1900 年代に米国で創案されたといわれていますが、
主に大学生が特定の職の経験を積むために、企業や組織において労働に従事してい
る研修期間のことです。
米国では『採用の第一次選考』とも言われ、ほとんどの業界での就職に必須ともいわれています。日本でのインターンシップは、大きく分けて 3 つあります。
一つ目は、文部科学省が行う大学や高校を通じたインタ—ンシップです。
数日〜数週間の短期の研修で、多くが授業の単位として認定され無給で大学が指定する公的機関や企業へ行きます。
二つ目は、企業が募集し学生が個人で応募をするインターンシップです。数日から 1 年など幅広い期間があり、頻度も様々です。
また、アルバイトでは得られない経験や学びを求めて学生が応募するもので、有給
の場合もあります。
三つ目が、コーディネーター団体を通じたインターンシップの機会です。企業の開拓、プロジェクトの設計、企業と学生向けの研修などをコーディネーターがつとめます。私たちはこの三つ目を、岡崎市を中心とした西三河の中小企業で『長期実践型インターンシップ』として機会を創出しています。
学生の成長と企業の成果を両立するために、特徴として経営者がコミットすること、半年間という長期で取り組むこと挙げられます。
主な事例としては、岡崎市の株式会社あいち補聴器センターで、大学生が業界初のネットショップの立ち上げを行い、月 80万円の売上を達成しました。この挑戦は、地域若者チャレンジ大賞というインターンシップの全国大会で約二百五十の事例から一位に選ばれました。
また、西尾市に本社を持つ株式会社大和商会では、工学部の大学生が機械工具の開発を行い、結果として中国の海外メーカーが 3000 万円の設備投資をし、生産する機械をつくることで販売に繋がりました。
これらの事例は数年前に行ったものですが、その後もそれぞれの会社で事業が定着し、着々と成長しつづけているとの報せが届いています。
それは目先の短期的な事業成果でなく、大学生が会社にとって持続可能な事業の一
端を担うことができたという証です。
現在実施しているプロジェクトを、一つ紹介します。
西尾・岡崎に支店をもつ株式会社ハウジングアイチで、発達障がいの子どもをもつ家庭を対象とした住宅提案を行うものです。
全国的にも例を見ない希望と可能性あふれる新規事業の立ち上げを、大学生が経営者と共に担っています。
学校以外の学びの場がなぜ必要かというと、社会の構造上、未だ多くの教育機関
で社会との接続が限定的であるからです。
数年後には社会人となる大学生には、期間限定でも社会に飛び込むという選択肢があって良いと思うのです。次世代の担い手を育てるという挑戦は、わたしたち社会人にとっても必要不可欠です。
このような循環を、これからも街の中につくっていきたいと考えています。
(2018年7月24日東海愛知新聞掲載)
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