植物で振り返るオモイカネ杯~3株目~
やっほー! 植物たんこと三島彩子です。
普段はTwitterやYouTubeで活動するVtuberにして学術たんと言われるアカウント群の片隅におります!
とりあえず植物が好きな人で、特に植物成分が好きです(ง ˙˘˙ )ว
あとクイズと美味しいものが好きです。
初手飯テロ。
今回もオモイカネ杯の植物問を振り返っていくんだけど、その前に。
第8回オモイカネ杯本戦出場決定しました~~!!
やったぜ。今回の予選も歯ごたえのある問題が揃っていて、とても楽しかったです!
前回(第7回)は優勝しているので、今回はディフェンディングチャンピオンとして参加することになります。誇らしい……!
歴代チャンピオンの名に恥じない活躍を見せたいところです! 目指すは連覇だ!!
そんなわけで、今回も植物問振り返っていきましょー!
もしかしたら第8回本戦も関連する問題が出てくるかも……?
第5回予選第5問
『次の穀物とその英名の正しい組み合わせを選びなさい。
A. Sorghum
B. Foxtail millet
C. Wheat
D. Barley
E. Oat
1. コムギ
2. オオムギ
3. エンバク
4. アワ
5. モロコシ』
さて、第5回予選の植物問はこちら。知っていればラッキーな問題ですが、知らなくても聞き覚えや推測で何とかなりそうな問題ですね。最悪何択かまで絞れば運で突破できるかもしれません。穀物の方を順に解説していきましょう。
あ、そもそも「穀物」という単語なんですが、狭義にはイネやトウモロコシなどのイネ科の作物の種子を指します。広義にはソバ(タデ科)とかキヌア(ヒユ科)のようなものも含めます。こういったイネ科じゃないけど広義の穀物に入れられる種子のことを擬穀類なんて呼ぶこともあります。今回挙げられている5種はいずれもイネ科ですね。
さて、コムギは言わずと知れたって感じですね。イネ科コムギ属。英語でwheatです。全粒粉のパンを「ホールウィート」って言ったりしますよね。サブウェイのパンにもありましたっけ。英単語としてもそこまで強烈に難しい類ではないと思うので、知ってたという人もいるでしょう。
厳密にはデュラムコムギとかヒトツブコムギとか色んなのがいるんですが、一般にはパンコムギのことを指していると思います。穀物の中では世界での生産量多い部類で、世界三大穀物に数えられます。
オオムギはイネ科オオムギ属の植物です。名前は似ていますが、コムギとは結構違う植物です。麦茶や麦飯の麦といえばオオムギを使うことが多いでしょう。あとは麦芽にしてビール作るのに使ったりしますね。麦茶って英語でなんていうんだろうって思ったことがある私みたいな人なら知ってたかもしれません。Barley teaっていいますね。
エンバクは漢字で書くと燕麦です。イネ科カラスムギ属ですね。
オーツ麦という別名を知っていれば一発です。あと有名そうなとこだと「オートミール」のオートですね。オートミール、どんなの入ってたかな~とか考えれば近づけるかもしれません。外皮の粉(いわゆるふすま)はオートブランなんて呼ばれてこれも食用に使われることがあります。食用として使われるのが身近かと思いますが、動物の飼料として使用されることが多いです。ペットショップとかで売ってる「猫草」もエンバクが使われることが多いみたいですね。
この植物、もともと穀物を育てている畑に生える雑草だったのですが、畑の人が雑草を取り除いたり、種子を選別したりする中で、段々穀物により似た性質を持つものが選抜されていき、最終的に穀物として使われるようになるほどの性質を獲得したといわれています。
こういう現象をヴァヴィロフ型擬態って言ったりします。ライムギとかも同じ感じですね。
アワはイネ科エノコログサ属です。
そう、エノコログサ属。エノコログサのふさふさの穂のことを、狐の尻尾にたとえてfoxtail grassと呼んだりするんです。そういうことです。milletってのはキビやアワを指す言葉のようです。かつては「五穀豊穣」の五穀に数えられる程度にはなじみ深い穀物だったようですが、今となっては日本でも世界でもそんなにいっぱい作られている穀物じゃないと思うので、おそらくエノコログサとの関連だったり、アワの見た目(見たことがあれば)からの連想で導けそうということで入っている問題なのかなと予想します。
モロコシはイネ科モロコシ属の植物です。「あれ? 選択肢に「corn」がないぞ……?」と思う方もいるでしょう。たぶんおっしゃりたいのはイネ科トウモロコシ属のトウモロコシであって、その子はモロコシとは別の植物です。あとトウモロコシには「maize」って呼び方もあるので気をつけるのじゃ。学名もZea maysだし。イギリス英語とかだと「maize」の方が使われるっぽいですね。
モロコシに話を戻すと、この子は熱帯アフリカ原産といわれており、室町時代には日本に入ってきたとされていますが、現代の日本ではあまり栽培されておらず、聞き馴染みがない方もいるかもしれませんね。イネやコムギが育ちにくい場所でも育てられるので、飼料として使ったり、食用にしたり、近年ではバイオエタノールの原料にしたりもします。英語ではSorghum。実は学名もSorghum bicolorです。カタカナで「ソルガム」と表記されているのを見たことがあるかもしれませんね。
第5回本戦第4問
『2021年末、「K-Pg境界の大量絶滅は、北半球の春の後半から夏の前半にかけて発生した」と推定する論文が提出されました。
この論文の中で、季節を推定する材料として使われなかったものはどれでしょう?
①葉っぱの虫食い跡
②花粉の種類
③カゲロウ
④チョウザメ』
分かりませんでした(土下座)。オモイカネ杯常連の彩恵りりさんからの出題。りりさんは毎回過去に解説したトピックから出題してくれます。理論上は対策可能なんですが、様々な場所で活躍する彼女の解説は半年ですごい量になるんですよね……。
解説を書こうと思ったけど、これに関しては私が下手に解説するより、りりさんの解説を読んでもらった方がいいと思うので、リンクを貼ります。ペタっと。
第5回本戦第8問
『「植物とは何か」という問いに対する答えは様々なものがあるが、そのうちの一つの考えとして「アーケプラスチダに属する生物」というものがある。アーケプラスチダは、陸上植物に加え緑藻や紅藻、灰色藻などを含むグループである。次の生物のうち、現在アーケプラスチダに属するとされている生物を全て答えよ。
①イチョウ
②リトマスゴケ
③ミシマサイコ
④クビレズタ(海ブドウ)
⑤スサビノリ
⑥モズク
⑦ミドリムシ
⑧ウミシダ』
すみませんでした(土下座)
こちらは私からの問題でしたが、つよつよな出場者たちをもってしても全滅でした。あの、やりすぎました。きちんと解説しておきましょうね。
「植物とは何か」と言われると、実は私も少々困ってしまいます。何故なら、どういう考えで分類をするかによって「植物」が指す範囲は変わってくるからです。例えばシダ植物やコケ植物、裸子植物、被子植物辺りをすべて含むように「陸上植物」みたいなくくりをして、それを「植物」と呼ぶこともできるし、あるいは問題にあるような「アーケプラスチダ」より少し広い範囲を「植物」とすることもできるんですよね。
で、その一つの考え方に「アーケプラスチダに属する生物」ってのがあるわけです。この仲間の生物は、2枚の膜を持つ葉緑体(厳密には色素体)を持ちます。
なんで2枚かっていうと、葉緑体ってもともと別の小さな生き物だったのが、大きい細胞の中にぷにゅっと入り込むことで細胞内に共生するようになったんじゃないかって言われていて(細胞共生説)、小さな生き物だった頃の膜と、ぷにゅっとしたときに巻き込んだ大きい細胞の膜が両方ついてるからって説明があります(諸説あり)。
ところが、例えばワカメのような褐藻の仲間には4重の膜を持つ葉緑体があります。こんな風に膜の数が多い葉緑体ってのは、ぷにゅっと入り込むくだりをもう何回かやって入れ子構造みたいになってるんですね。
アーケプラスチダに属する生物のことを一次植物とも呼ぶのに対して、こういった何回かぷにゅっとしている生き物は二次植物と呼ぶこともあります。
かなり端折って説明をしたので、もっとちゃんと知りたい人はググってほしい。さて、解説だ。
①イチョウは裸子植物。アーケプラスチダには陸上植物を含むとあるので、これは〇。
②のリトマスゴケはコケ植物……と見せかけて地衣類です。今思い返すと流石に意地悪すぎましたね……。地衣類ってのは、光合成を行う藻類を共生させた菌類なので、×です。
③のミシマサイコはセリ科の被子植物。過去問でもあるので、正解してほしかったけど、改めて考えると私自身のことを指してるのではって思っちゃうか。反省。
④のクビレヅタは緑藻の一種。マリモとかアオミドロとかも緑藻っすね。色で連想して何とかしてほしかったという狙い。
⑤スサビノリは紅藻の一種。まあ海苔です。海藻の状態や加工途中のノリを見たことがあれば赤いなって印象が……あったらいいなって……。
⑥のモズクは褐藻。先に説明した通り、二次植物なのでアーケプラスチダには属しません。今回の定義で行くと、海藻の中でも植物に入れるものと入れないものが出てくるんですよね。
⑦のミドリムシも3重膜の葉緑体を持つ二次植物。これもちょっと意地悪だったかなあ。よくミドリムシは植物なのか見たいな話ありますけど、この定義で行けば植物ではないということになります。分類の仕方次第ってことっすね。
⑧のウミシダは動物です。棘皮動物です。せめて過去問に出てるウミユリとかにしてあげたら親切だったかなあ。難易度を間違えて心折の方の「しんせつ」にしてしまいました。
この問題はやりようによってはもっと解きやすくできたし、そっちの方が面白い問題になったと思うので結構マジで反省してます……。やーこれはセンス足りずだったな~~……。
面白くて難しい問題を作るのって大変だ。
第5回本戦第9問
『資料は1876年に出版された、ウォルター・クレインによる絵本『眠り姫(The sleeping beauty)』の、呪いにより姫と周囲の人々が眠りに就く前後の場面を出題者が加工したものである。資料中の赤枠で囲まれた空白には、花瓶に活けられた花が描かれている。この花の名称を答えなさい。可能な場合は、花の色まで答えなさい。』
とまあ、ここまで第5回は凹み気味だったんですが、ここにきて初出場ひつじがみさんからの萌え問です。テンション爆上げ。アチーチです。答えは「赤いケシ」です。
ケシは学名をPapaver somniferumっていうんですけど、種小名の「somniferum」は「眠りを運ぶ」という意味があります。というのも、ローマ神話にソムヌス(Somnus)という眠りの神様が登場するんですよね。「-ferum」の部分は「transfer」の「fer」とおそらく同語源でしょう(たぶん)。ソムヌスには女神ケレスを眠らせるためにケシを与えたなんていうエピソードがあります。ところでこのソムヌス、ギリシャ神話でいうところのヒュプノスに相当するとされています。「ヒプノシスマイク」とか「ハイウェイヒプノーシス」とか「ヒプノック」とかが連想される名前ですね。で、ヒュプノスの息子には夢の神様がいるんですよ。モルフェウス(Morpheus)っていうんですけどね。そう、モルヒネ(Morphine)の語源です。はああ最高。
そんなわけで、ケシの花は結構「眠り」と関連する植物として扱われるんです。『オズの魔法使い』の中にもドロシーたち一行がケシ畑の中で眠ってしまいそうになるくだりがありましたね。「いばら姫」のイメージか、バラという誤答が目立った印象でした。
第5回本戦エクストララウンド第2問
『「すもももももももものうち」と言いますが、次のうちモモと同じバラ科のものはどれでしょう。全て選びなさい。
1.スモモ 2.ヤマモモ 3.ハナモモ 4.フトモモ』
決勝出場をかけたエクストララウンドで出た問題。ラッキーが過ぎる。流石に取らせていただいて、無事決勝進出を決めた問題でした。
まずモモなんですが、バラ科スモモ属(Prunus)です。そして花を楽しむために品種改良したモモがハナモモです。というわけで、実はモモについてしっかり知っていれば1と3はすぐにバラ科であると分かります。分類的にはすももももももすもも属なんですね。
ただ、一応スモモ属周りは分類に諸説ありまして、サクラの仲間をサクラ属として分けるかどうかでもめてるんですよね。広義にはウメやプルーン、アーモンドなんかはスモモ属に入れるんですが、サクラ属を分ける場合はもう少し小さなグループに分裂するかもって感じですね。
ちょっと正直この辺り、今の定説がどうなってるかあんまり自信ないですが、バラ科には違いないです。
ヤマモモはヤマモモ科。ブナ目なんで科の一つ上の目から違いますね。実は食べることができますが、個人的にはあんまりモモには似てない気がします。
フトモモはフトモモ科。東南アジア原産で、結構暖かいところを好むイメージがあります。こちらも実は食べられるらしいですね。同じフトモモ科にはグアバやジャボチカバといった果物や、スパイスに使うチョウジ、オールスパイス、お庭に植えたりするブラシノキなんかがあります。あとはあれか、ユーカリなんかもフトモモ科ですね。
第5回決勝第1問
『以下の花札に描かれた植物について、複数が属しているのはバラ科と何科でしょう。
1月:松(マツ)
2月:梅(ウメ)
3月:桜(サクラ)
4月:藤(フジ)
5月:菖蒲(アヤメ)
6月:牡丹(ボタン)
7月:萩(ハギ)
8月:芒(ススキ)
9月:菊(キク)
10月:紅葉(カエデ)
11月:柳(ヤナギ)
12月:桐(キリ)』
順にマツ科、バラ科、バラ科、マメ科、アヤメ科、ボタン科、マメ科、キク科、ムクロジ科、ヤナギ科、キリ科です。
カエデの仲間やキリなんかは分類体系によって科が違うので、別で覚えていた方もいるかもですが、いずれにせよ答えは「マメ科」で良いはずです。
フジの仲間やハギの仲間のようなマメ科マメ亜科の植物は蝶形花という特徴的な形の花を作ります。
お花が左右相称になっていて、観察すると大きく上方向に反り返った花びらが目立ちます。これは旗弁(きべん)です。その少し下、両側に2枚出ているのが翼弁(よくべん)で、さらにその下に2枚あるのが竜骨弁(りゅうこつべん)です。竜骨弁は舟弁(しゅうべん)と呼ぶこともありますね。
フジの仲間なんかはぶわあっといっぱいつけたお花が魅力的ですが、このお花をよ~く観察すると、マメ亜科蝶形花になっていることが確認できるはずです。植物を見よう。
第5回だけで5000文字超えたが?
なんてこったい。こう見るとこの回は植物問大量でしたね!
オモイカネ杯は本戦参加者が1問ずつ本戦の問題を作るので、同じように植物をテーマにしていても、人によってカラーの違う問題が出てくるのも個人的には嬉しいところ。おかげでとっても楽しいです! ふんふん!
さて、今回はこの辺にして、また次回って感じにしましょ。ほな。
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