見出し画像

古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について④〜オーダーにこだわる理由

小作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」は、セミオーダースタイルで受注制作しています。
形・サイズを、持ち手のある「基本のショルダートート」「小さい手さげ」と、持ち手のない「クラッチバッグ」「ポーチ」の4つに限定しているためセミオーダーと言っています。「図案」は古作に限定、「布」と「糸」はある程度メーカーなどを限定させてもらっていますが、その範囲内であれば色々ある中から選べます。

自分で全部選ぶのは大変、忙しくて相談する時間が取れない、お任せしたい、という方には、バッグを使うシーンやその際の服装、お好みなどをお聞きした上で、ほぼほぼこちらで決めさせていただくこともあります。
でも、ちょっとでも自分で選んでみたいとの気持ちがある方には、対面でのお打ち合わせ時間を作ってもらっています。
参考作品を実際に手に持って姿見でご自分のお姿を見てもらい、ご本人の使い方や普段の服装、お好みなどをお聞きしながら、布や糸をあれこれ組み合わせてみたり、図案集を見ながらおすすめの図案について説明させてもらったり……。プレゼントの場合は、相手の方がどのような方か聞かせていただいたります。
そうやって徐々にイメージをすり合わせて、これから作るバッグを具体的にしていきます。

お打ち合わせ時間は1時間半〜2時間程度の方が多いですが、もっとかかる方もいらっしゃいますし、その場では決まり切れずお互いに宿題を持ち帰ることもあります。
「そんなに手間をかけてたら、赤字じゃない?」「ネットでポチポチ選んでもらう方法もあるんじゃない?」と指摘されることがあります。
確かにそうかもしれません。今後、遠方のお客様が増えたらこのやり方は現実的じゃないかもしれません。
それでも、このスタイルはどこかで守っていきたいなあと思っています。オンラインやメール・ライン打ち合わせも取り入れつつ、できるだけ大事にしたい。

一番の理由は、私自身が、布や糸や図案を選ぶその段階が全工程で最も楽しいと思っているから。いやもちろん、私は刺す作業も大好きで、今だにどんなオーダーでも楽しいなあと思いながら刺しているのですが、でも、気持ちが高揚するピークはああしようかな、こうしようかなと考えているときです。
このわくわくとドキドキをお客様にも味わってほしいんです。ちょっと大袈裟に言えば、この時間を含めて販売している気持ちでいます。

私は婦人服の洋裁店を営む両親の元に育ちました。たまに店に顔を出すと、オーダーに来た女性がその服を着ていく予定の旅行の話を楽しそうにしていたり、仮縫いに来た女性が姿見の自分を見て笑顔になったりしている姿を見かけました。子どもながらに、洋服を手に入れる前から彼女たちの楽しい時間はもう始まっているんだなあ、と思ったものです。

実際、私のお客様も多くが、打ち合わせを楽しでくれていると思います。糸や布選びに目を輝かせたり、好みの図案に笑顔になったり。選ぶ、決断する行為は、時には辛くしんどいものですが、うれしいとか楽しいとか充実感みたいなものを感じる方も多いのではないでしょうか。

もう一つの理由は、誰かと相談することで、私の中にはないものが生まれることがあるから。
私だけで考えていたら選ばない色、図案、組み合わせなどに落ち着くことがあり、それがまたとても良いものになったりして、自分で作りながら、へえ〜〜〜〜と感心してしまうこともあります。これが次の作品の幅を広げることになっている気がします。

一見回りくどい、非効率なやり方かもしれないですが、私にとっても多分お客様にとっても楽しいこの工程を、どうにかして提供し続けたいと思ってます。

図案選びや糸・布色選びの私なりの考え方や、お客様と具体的にどのように相談しているか、などについてはまたいつか。


Instagramでもkosakuを紹介しています
kosakuの商品概要やオーダーについてはHPをご覧ください


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?