【寄稿】勝手に鍵交換事件【親友①のこぼれ話5】
この話は「【寄稿】4年勤めた会社が乗っ取られて解雇された私の話【親友①の話】」のこぼれ話です。
本編購入頂きました感謝を込めて、親友①からの再三の寄稿になります。
御礼!感謝!
こちら単独で読めなくはないのですが、せっかくなので「こぼれ話1」が未読の方は先にこちらをご覧ください。
親友①のこのやべぇ話の本編はこちら!
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【勝手に鍵交換事件】
誰が作ったか分からない解雇通知書事件が金曜日だったのでその翌週の月曜日の話である。
出勤途中に経理部長からLINEが入った。
『鍵が変えられてて事務所に入れないので表玄関集合で』
「…は?」
最近流行りの猫ミームを想像して貰えば正にあんな感じの「は?」だ。
ちなみに、表玄関というのはビルの大きな道路に面した入り口のことである。
ビルの裏側にも出入口があるのだが、最寄り駅からはこちらの方が近いので、そのビル内の会社に勤務する人は大体その裏口から出勤する。
ビルは最寄り駅から徒歩10分かからない程度。
アニメイト梅田まで徒歩15分のヲタクに嬉しい立地だった。
とりあえず電車を降り、大きな公園の横を通って、ぐるっとビルを回って表玄関に行く。
到着すると部長2人と社長は到着していてあとは私と後輩だけだった。
なぜ解任されたはずの社長がいるかというと、オーナーが使えなすぎて顧問という名目で週三回来てもらっていたからである。
少しして後輩も合流し、一旦玄関前を離れる。
そして経理部長に話を聞いたところ、部長がいつものようにラッシュを避けて7:30に出勤したところ、
ドアに「勝手に入るな」的な張り紙がしてあり、気にせず鍵をあけようとしたところ鍵が変わっていたそうだ。
少し相談して、私が何も知らないふりをして一旦事務所の状況を確認することになった。
いざという時、私が一番色んな意味で逃げやすい。
他のメンバーは離れたところで待機だ。
やれやれと思いながら事務所に向かう。
確認すると部長のいう通り、ドアに何か貼ってある。
とりあえず写真を撮った。
書いてある内容を要約するとこうだ。
「窃盗があったので鍵変えた。
許可のないものは事務所に入るな。
入った場合は警察に通報するぞ!
オーナーより」
まぁ~~~!!
いけしゃあしゃと~~~!!である。
実はこの騒動の1週間くらい前に、事務所内の物の位置が変わっている事件があった。
無くなっている物はなかったが、明らかに人事関連・経理関連の物がおいてある場所が漁られたのだ。
これはビルの管理会社に防犯カメラを見せてて貰った結果、IとKの一味がオーナーの鍵を使って事務所に入った事が分かっており、
警察に届け出済みだったのだ。
その時にこちらで管理会社に依頼して鍵を変更しているのである。
そして新しい鍵Aはオーナーに渡していない。
更に、夜間警備を担当する業者は鍵を持っており名刺などで社員であることが確認できれば開錠してしまうので、あらかじめ3人の名前を伝えて連絡がきても開けないように依頼してあった。
私達が帰宅した後にまたオーナーの鍵で侵入しようとして入れなかったことから、鍵屋を呼んで交換したのだろう。
そしてその鍵Bは私達に共有されていないし、オーナーは敵側なので事務所に来ない。
念のため錠の部分も写真に撮り、私は皆の元に戻った。
とりあえず状況を共有し、社長は警察に電話。
私と経理部長は社内に入れず電話番号が分からないので会社から徒歩3分のビルの管理会社へ。
企画部長と後輩は店舗の水漏れ修理の立ち合いにそれぞれ旅立った。
一番最初に来たのは警察だ。
お隣さんの会社に迷惑をかけつつ軽く調査が行われた。
ビルの規約で鍵交換は管理会社が行うことになっているのに勝手に業者で交換したのは、不法侵入とか器物破損にならないか一応聞いてはみたが流石に難しいようだった。
器物損壊が成立すれば手っ取り早く解決したのに残念なことである。
そんな感じで社長と部長たちが対応している間に管理会社が来たので今度は私が対応する。
事務所は二部屋を壁を取り払い一続きにして借りていたので応接室になっている方にもドアはあるのだ。
応接室側をマスターキーで開けてもらい、外部からの侵入を防ぐために置いてあった5脚の重たい椅子を、
ドアの力を利用してジリジリ動かし、隙間から無理やり入る。
とてもとても入りにくかったので椅子は立派に使命を果たしていた。
とはいえ一旦中に入ればこちらのモノだ。
中から普段使っているドアを開けて、管理会社にもう一度鍵を変更してもらう。
変更した鍵Cと念のため応接側の鍵Dを持って合鍵を人数分作成しに徒歩15分歩いた。
毎度のことながら腰が痛い。
本当は毎月整体に行きたかったのに、給料が遅配されるのでこの頃は仕方がなく1.5カ月周期で通っていた。
ギルティ。
作った合鍵を全員に渡し、各々普通に仕事をして帰宅した。
警察が来たことで一時的に廊下を通れなくなったお隣さんにはちゃんとお詫びの菓子折りを渡して頭を下げてきた。
なぜ責任者である部長や社長でなく私が頭を下げたのかは謎である。
ちなみにオーナーは来なかった。
そんな攻防戦の翌日。
出勤途中でLINEが軽快に「ライン!」となった。
見る。
部長からだ。
「今日も鍵変えられているので一旦公園集合で」
最早めんどくせえ以外の感想がない。
鍵を一度替えるのに1.5万。
人数分の合鍵を作るのに3千円かかるのだ。
お金の無駄なので止めて欲しい。
その日は後輩は有給休暇、商品企画の部長は店のヘルプだったので、公園で社長が来るまで鳩を見つめて過ごす。
社長は11時に来る日だ。
段々日陰が消えるので。鳩と共にベンチを移動する。
最終的には日陰がなくなって地獄だった。
そして11時。
社長が合流して暑すぎるので喫茶店に避難して今後どうするか相談する。
とりあえず株主であるC氏に連絡。
C氏からオーナーに圧力をかけて貰う。
ビルの管理会社にも連絡して鍵を変えてくれるよう頼んだが、キリがないので今回の事が解決するまで交換しないと言われてしまった。
世知辛い。
相談の結果、本社メンバーは解決するまで応接側から出入りすることになった。
オーナー達はなぜか応接側のドアを認識していないようで、そちらの鍵は問題なく利用できるからだ。
メインに使っていたドアは内開きなので、応接室の机を移動させてドアの前に置き物理的に開かないようにした。
会話ができるタイプの見守りカメラを防犯カメラ替わりに購入しこれも設置。
これで勝手に入れば分かる状態だ。
それから毎日、
①応接側ドアで重石の椅子をずらしつつ入室。
②全員が出勤したら応接室の机を応接室に戻して、メインのドアを開錠。
③帰宅する前にまた応接室の机をメインのドアの前に置く。
④防犯カメラを設置する。
⑤重石の椅子を出入りできるギリギリまで寄せて出て応接側のドアから出る。
というルーティンが加わった。
ガラス(鉄の硬さ)の腰が悲鳴をあげた。
そんなこんなで、オーナーがC氏に(#°Д°)ゴラァ!されて、社長が社長に返り咲き、管理会社に鍵は交換して貰えた。
正直、退去するなら交換しなくて良かったのでは?と思っている。
しかし、こうやって前職の事をツラツラ書き連ねていると、短期間で波乱万丈すぎる気がする。
本編が売れたらお祓いに行こうと思うのでよろしくお願いします。
(定期ダイレクトマーケティング)
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