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呪いと私

文学フリマ東京39の入稿も諸々終わったので、その原稿の気晴らしでポツポツと書いていた短文があるので、ぼちぼちと更新していきます。



呪いの話

これは私が十代後半の頃の出来事で、ある日私は数ヶ月前から約束して、二人で遠出する計画をしていた友人に当日ドタキャンをされました。

しかもまあ、今から準備万端出かけるぞってくらいのタイミングに携帯宛に電話を貰い「ごめん!実は今日別の予定が入ったんだけど、こっち(私との約束)断るの忘れてたー!」とか言われたのです。



紛う事なき、理不尽極まりないドタキャンでした。

まあ当たり前ですが、腹が立ちました。
今の私なら「あっそ」と言って速攻そいつと縁を切って無にきすのですが、当時十代の私はまだ若くて血気盛んだったので、友人に対して怒り心頭になり、咄嗟に「許さん!呪ってやる!」と言って電話を切りました。

今思えば「呪ってやるて…(笑)」ですが、まあ何か怒りがうまく言語化できなかった結果の言葉選びの妙だなあってなりました。




電話を切った後の話

仲良かった、信頼できると思っていた友人にドタキャンされて大変ムカついたのですが、私は基本嫌な事は忘れる主義なので、その友人の事は秒で忘れて、その後出かけずに家で当時アニメ放送して録画していた頭○字Dを一気見して、夜には風呂入って美味しいご飯を食べて頭文○Dの続きを見て寝た訳です。

そんな感じで一日を過ごしたお陰で「残念な友人と疎遠になったけど、割といい休日になったなあ」となり、最後にはとても気分が晴れました。




翌日の話

ドタキャンした残念友人から鬼電がきました。
その日も休みだったので、昨日夜遅くまで○文字Dを見ていた私は昼過ぎに起きた訳ですが、携帯電話(Notスマホ)を見ると着信履歴が全部ドタキャン友人でした。

当時の着信履歴って50件も表示されなかったんですが、それでもまあ、恐怖を感じる件数です。


「こいつドタキャンした癖に今更なんやねん」と思いましたが、流石に朝から数分毎に履歴があり、悔い改めでもして謝罪でもしたいのかなあとなり、次にきた電話に応じました。

私が「もしもし」と言うのに食い気味で、「呪いを解いて!」と電話越しに絶叫されました。

なんやねん。




友人からの話

私にドタキャン連絡をした後、友人はその日入れた別の予定に向かっていたそうですが、数時間後、歩いていた路上で激しい目眩に襲われて倒れたそうです。

倒れつつ何とかタクシーを拾って病院に駆け込んだら、何と40度の高熱が出ていたそうです。
その後病院で点滴を受けて一泊し、翌朝になり何とか自宅に帰り着いたところでふと、友人は私との電話を思い出し怯えたそうです。

そう言った経緯を早口でまくし立てる高熱と恐怖でヘロヘロに弱った友人。
まあ聞くに、病院から帰宅後に急いで私に電話をしたが、私が昼まで寝ているもので、私が電話に出ない間に恐怖が膨れ上がり続けたみたいです。
寝てただけなんですけどね。


そこからの友人はひたすらに「呪いを解いて!」と絶叫してくるのですが、起き抜けにいきなりこんな電話を貰った私は「何いってんだこいつ?」状態です。

だって私は昨日、ドタキャン後に友人の事など秒で忘れ、楽しく頭文字○を一気見して、グンマー(頭○字Dの舞台)に浸っていた訳です。
「急に電話してきて何言ってんだか」って白け気味に話を聞いていた訳です。
しかし白けきった私とは裏腹に友人の訴えは止む事がなく、電話ごしに「反省してる!本当にごめん!もうしないから呪わないで!許して!」と絶叫の勢いで言われるので、何かこう寝起きも相まって相手するのが面倒くさくなり「まあいいよ?(適当)」と軽いノリで返事をしました。



その後の話

その友人とは、そんな事もあり以後疎遠になり縁が切れたのですが、疎遠になる迄の間に「私(聖龍)は呪いが使える」と言う噂を広げられました。
そして私と喧嘩すると呪われるとまことしやかに実体験を交えて伝えるものですから、私は何か周囲から崇め恐れられる存在へとなりました。

まあ夢見がちで想像力高い十代の女子グループなんてそんなもんだよなあってなります。
しかしいくら崇め恐れられようとしても、私としては実際問題、何もしてないし、全部偶然なんですよね。
私は何もしてないのに、崇め恐れられてもなあって感じです。

だって多種多様なおまじないも試していないし、丑の刻参りもしていないし、呪符も書いてませんし、呪詞も上げていないのですから、呪いようがない(オタク無駄知識)

ただ私は何となく、その場のノリで電話を切る時に「呪ってやる」と告げただけです。
でもこう言うのは言われた側に言霊やプラシーボ効果があるんだろうなと判断しました。

例えば他人から「呪うぞ!」と言われたら、その後に何か嫌な目に合うと「呪われたせいだ!」と関連付けてしまい「呪われた!」と錯覚、自覚してしまうんだろうなと、齢十代にして察しました。




余談

因みに当時から既に親友だった親友①(オカルトに詳しい)にこの話をしたら「それは向こうの勘違いで呪いじゃないけど、あんたは友人選び」と至極真っ当な感想を貰いました。

そんな感じで、何一つ法的根拠はありませんが、私が呪いが使えると言われている話でした。


十代の女子の想像力ってすごいよね!!!

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聖龍@どや乳 次回5/11文学フリマ東京40参加
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