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Welcome to Japan.
ガラガラガラ。木製のドアが開く音と暖簾をくぐる気配。いらっしゃいませ〜!吹き抜ける風のような声、我ながら様になってきた。
たくさんの蒸籠を抱え、テーブルを拭きながらぱっと振り向くと、にっこり笑顔で微笑む白人の外国人ご家族のお客さんと目があった。
気さくな笑顔につられて、わたしの今日いちばんの笑顔が炸裂する。
"ああ、これこれ。この感じ。"
海外にいると、わたしはよく笑う。面白いことがあるから声を上げて笑うのではない。日常を笑顔で過ごせるのは、感情表現が豊かな海の向こうの人たちといるとココロがハダシになり心地いいからだ。一瞬にしてわたしの方が旅をしている気分になってしまった。
彼らの前には、英語のメニューと熱いお茶、野沢菜に箸。
なんだかこころがザワザワ。わくわく。
わたしにとって、外国から来た観光客をおもてなしする初めての体験だ。いつもは旅人として海の向こうで助けてもらうばかりのわたしも、今回ばかりは自国でその恩返しができる大チャンス!
"わたしが接客したい〜〜。"
こころのなかで叫ぶと、幸運にも厨房からお呼びがかかった。
「お待たせしました〜!」
ニッコニコで駆け寄り、テーブルに蕎麦つゆを置く。天つゆを置く。お蕎麦を、そして天ぷらを、次々と置いた。
「ドウヤッテ、タベマスカ?」
透き通ったこどものような目に、わたしまでうきうきしてしまう。
カタコトの日本語で質問され、カタコトの英語で返すというよくわらからないやりとりと大袈裟なジェスチャー付きで、きゃっきゃ盛り上がりながら天ぷらと蕎麦の食べ方を説明する。
「ワカリマシタ!アリガトウ!」
そう言って、美味しそうにお蕎麦を食べる姿に、なんともいえない感動がこころの中でポップコーンようぽんぽんと弾けた。
わたしも、してもらってるから。
たくさんの人に助けてもらった。その国の人に笑顔や優しさをもらい、両手いっぱいでは足りない感謝は今日もわたしを満たしてくれている。
だからこそ、純粋に心を込められる。日本に来てよかった。楽しかった。少しでもそう思ってほしい。その気持ちだけで一生懸命になれた。
嵐のようにお蕎麦が飛び回るこの忙しい中、それでもどうしても伝えたいことがあった。
Welcome to Japan!
出身の国を聞いて、そのあとは、この言葉を絶対に伝えようと決めて話しかけた。
ただお蕎麦を運んで食べ方を説明するだけでよかったかもしれないけど、その国でその国の人と触れ合うことが特別な思い出に彩りが加わるように思うから。
来てよかった。日本人って案外悪くないかも。
そう思って帰ってもらいたい。
おもてなしは、される側にとってもする側にとっても特別な時間。
ゆるやかな世界の、繋がり方。
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