みんなでごはん。出会うために旅に【長野・松本】
きっかけはなんだったのか、通ったことのない道を歩きたかったのか、夕日がゆっくり空を淡い色に染めて沈んでいく時間を眺めたかったのか、人恋しかったのか。
とにかく思い立って、旅に出た。
ドキドキ、いざ!なんて旅ではなくて、日常にほっと一息できるようなそんな場所にゆっくり身を預けたかったのかもしれない。
東京から、自分自身から、不安から、逃げるように高速バスのチケットを取った。
***
明日から長野に行ってくる。
そう母に伝えたはいいものの、三連休前で宿はどこも満室。そこでモロッコで会った長野に住む友達に連絡をすると家に泊めてくれるという。
ふらりと。そんな言葉が一番似合うのかもしれない。長野はきっと寒いだろうからモフモフの服をキャリーケースに入れたら準備完了。高速バスに、あたかも日常で使うものかのようにして乗り込んだ。
流れ、流れる紅葉に色づく山。辺りは柔らかい。雲が太陽色してる。日本の秋ってこんなにも綺麗だったっけ。
今日はみんなでご飯つくるから!
そう言って次々に地元の友達が彼の家に集まる。この広い一軒家にどんどん体温が増していく感じ。はじめましてなんてどこかに置いてきてしまったみたいに楽しかった。
大きな鍋に食材を入れて味付けをして、あーでもないこーでもない言い合いながら一品、また一品できていく。
ケラケラ笑いながらみんなでごはんをつくりいただきますをする頃にはすっかり仲良くなっていた。
ほくほくでほかほかで、笑顔がごはんをおいしくした。テレビなんてつけずにみんなと話しをしながらごはんを食べる。
わぁ、これって幸せかも。そんな気持ちが浮かんではこころが温かくなった。
悲しいことや寂しいことがあっても、一日の終わりにみんなでこうやって食卓を囲んで色んな話をして笑いに変えて、ひとりじゃないよって空間がそこにはあった。
お金が貯まったら、どこかでシェアハウスしよう。みんなと食べるご飯はこの度一旅の思い出になるかもしれない。
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