会社に入社した。彼氏ができた
社会人になったのは一年とちょっと前のこと。それなのに。正社員と転職とフリーランスと・・・半年ごとにわたしの背中に書かれた看板は次々と付け替えられた。
つい一年前まで恋い焦がれていたひと。今では元気にしているかどうかさえ全くわからないのに、出会って数ヶ月のだいすきな彼の手は、簡単に握ることができる。
少し疲れて足を止めると、ここがどこだかわからない徒労感に襲われる毎日。もう持てません!とお手上げ状態の自分が鏡に映る。
一年前に比べて間違いなく前に進んでいるから、こそなのか。
おかしなことに、時々自分が誰だかわからない、どこにいるかがわからない、足元がぐらぐらする不安に身体中が包み込まれる。
使う言葉や考え方、周りの人が目まぐるしく変化する日々。早送りでカチャカチャと流れる風景。ボタンを押してるのはもちろん自分なのに、疲れた...と、半ば引きずられるように朝起きる日だって珍しくない現実。
会社に入社した。彼氏ができた。
わたしにできた、今の「居場所」。
単発、ではない。長期的に、一緒にいようと、お互いが合意をした関係。
会社に入社してまだ1ヶ月半ほどだし、彼氏ができてまだ数日。わたしにとってはまだ、繰り返してきた「変化」のひとつでしかないけれど、ここで羽を休めていいのだと思えた瞬間から、そこは揺るぎない「居場所」になった。
おそらく、居場所には慣れ始めるときが一番負荷がかかる。初めましてよりも、もう少し距離が縮まった場所。それでも、仲の良さまでは遠い、無駄に孤独感に襲われる位置。
緊張や興奮が少し解けた先、見えた景色にくらりとする。それは、自分の想像やイメージから、現実を目の当たりにした瞬間であり、地に足がついてきた証拠。
「ここではないどこかへ行きたい」と切望する自分と、「自分がどこにいるのかわからない」と混乱する自分。
もっともっと、と手を伸ばす自分と、もう無理です...と休みたがる自分。
どちらも、本当なのだから。
葛藤も、不安も、向上心も、喜びも。どれも追い出さずにいてあげたい。ここにいていいんだよと、全部抱きしめてあげたい。
その繰り返しが、自分で自分の「居場所」をつくる道のりだと思うから。
居場所は、自分で決め、つくるもの。
大好きな人と、大好きな事たちと、一緒に居続けるために。
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