残る愛と、残らない愛と。
このままでよくて、でも、このままじゃよくなくて。
バス停の青く錆びついたビニールの屋根に滴る降りっぱなしの雨はぽたりぽたりと、とめどなく世界を濡らす。
カランコロン。ぱらんぽろん。
水溜りに落ちる音色はそれぞれに、自分の音色を持っていて、ただそれを鳴らしている。
***
大切な人に、自分の想いを伝える。
それはとても勇気が必要だ。自分を受け入れてくれるか不安だし、外の世界に自分のこころの内側を触れさせることは怖い。大事に包んできた気持ちを、相手にゆだねた瞬間に粉々にされてしまうことだって容易にある。仕方がない。それが現実だ。
それに、相手に届くように伝えたいのなら、伝え方も少しの工夫が必要だ。自分の想いを相手にぶつけるだけならなに振り構わない豪速球を投げてしまえばいい。でも、相手に受け取ってほしい想いなら、胸に届くようなコントロールをしなくては。
まずは、もやもやしている自分の気持ちを言語化して。相手に伝わるように形を変えてみたり色を染めてみたり、可愛い包装をしたりかっこよくキメテみたり。
「伝えたいことを、伝わるように、伝える」
バレンタインデーに好きな男の子へチョコレイトを渡すような...緊張と、不安とが入り混じる相手へのプレゼント。
勇気を出して、丁寧に、気持ちを込めて、相手に自分の気持ちを差し出すことができたのなら。今度は投げたそのボールを、自分の胸に返してもらわなければ、意思疎通は図れない。
相手にゆだねた気持ちを、返してもらう。
相手の気持ちを受け入れることは、自分の気持ちを伝えること以上に勇気がいることだなと、つくづく思う。
大切に届けた気持ちは、もしかしたら相手にとっては不必要なものかもしれない。こんなボール返せるか、とポイっとされてしまうかもしれないし、こんなボール投げてくるんじゃねぇ!なんて豪速球を投げ返してくるかもしれない。案外傷つくのは、やさしく手渡しで、でも気持ちには添えませんと言われることかもしれない。
告白をしたはいいけど、傷つくことが怖いから返事はいりません!と逃げ帰ってしまうあの場面。
伝えることが怖ければ、相手の気持ちを受け止めることも怖い。大切なものはいつだって怖いらしい。
でも、その怖さに負けているうちはエゴで、怖さを超えて誰かと繋がりたいと行動に移せたとき、それはきっと愛に変わる。
「それでもいいから」と、あなたと向き合いたい。
その姿勢は、きっと残る。
たとえ、わたしもあなたが好きですと言ってもらえなくても。
なによりもがんばった自分を自分が一番側で見ているから。自分のこころに愛が残る言葉を、ひとつひとつ紡ぎたい。
***
雨上がりの青空。強い風が水溜りを揺らす。白い雲と青い空がほら、足元にも。
こうやって人は、強くなっていくんだ。
今日も一日がんばろう。
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