「不安」を分解すれば、自分だけの道を切り開く道しるべになるから
不安になると、夜が怖くなる。明日が怖くなる。生きるのが、怖くなる。
胸の奥で渦巻く逃げ場のない、悲しく暗い感情。LINEを開き、親友や彼に何か言葉を打とうとするけれど、指は画面に置いてあるだけ。とばかりに動かない。
「寂しい」「つらい」「苦しい」どれも正解で、どれも間違いだった。
「なんて自分はダメなんだろう...」「こんな自分に生きてる価値があるのだろうか...」自己重要感が低いことも相まって、心の中で呟く言葉が自分の首をじわりじわりと締めつける。涙で枕が濡れる。次第に呼吸が浅くなる。この暗闇から抜け出したいと、勢いよく部屋の電気をつけ、ベッドから起き上がった。
「どうしたらいいか、わからない...」
きっと、この感情の正体はこいつだ。
不安とは、得体の知れない巨大な怪物のようだと思うときがある。
「わからないから、怖い。怖いから、わかりたくない」
蓋をし続ける思考のルーティーンを栄養にして、怪物はどんどん大きくなる。そして最後は、パクリ。人間なんて一飲みだ。
できれば、毎日笑って過ごしたいし、いつまでも平和なウルトラハッピーで生きていたい。けれど、生きていれば自分ではどうしようもない不幸が訪れることが、必ずある。
好奇心が旺盛で、いろんなことに挑戦するくせに、人一倍で繊細で敏感。相反する2つの気質を持ち、不安傾向が強いわたしは、長年「不安」との上手な付き合い方に悩んできた。(今も本当に生きづらいと感じることがたくさんある)けれど、最近は少しづつ、不安な気持ちとも仲良く過ごせる時間が増えたように思う。
「不安に飲み込まれそうになったときは、『行動に移せるか、移せないか』で整理してみる」。高橋祥子さんのロジカル対処術で紹介されていた言葉だ。
「不安」と大きな塊で括るのではなく、分解し整理する。するとひとつひとつのパーツは、そんなに恐れるほどのことではなく、意外とすぐに対処できるものだったりするのだ。
「これは、いつまでに、これして」
「あれは、この日までに、あれして」
そうやってひとつひとつ紙に書き出せば、ふっと柔らかい安心感が心に浮かんできてくれる。頭の中だけでぐるぐるしていた感情を、外の世界とつなげて整理をする。それは孤独から解放される瞬間でもあるのだ。
それでも、行動に移せない悩みもあるだろう。でもそれは遺伝子の機能によって感じさせられている「不必要な不安」だと、高橋祥子さんは言及する。この場合は、「できることは全てやったのだから、今は一旦保留」と、前向きに蓋をすればいい。
そもそも「不安」は、悪者ではないのだ。危険を察知し、自分自身を守ってくれるブレーキのようなもの。ネガティブな感情だからと自分から追い出そうとせず、居場所をつくってあげること。「ここに居ていいんだよ」と心に部屋を用意してあげるだけで、不安という怪物は途端暴れ回るのをやめてくれるのだ。
どうして不安なのか。この不安は、どう行動したら解決するのか。そもそも今すぐに解決できる問題なのか。
分解し、整理することで、ゆっくり呼吸をして生きる術をひとつずつ身に着けていく。
強くならなくていい。すぐに不安になってしまう弱虫でもいい。ありのままを受け入れる生き方は、きっと、自分だけの道を切り開く道しるべになってくれると思うから。
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