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夕暮れ、宛名のない手紙

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「同じ」テーマで「ちがう」風景を、綴る。共通のお題を決め、それに沿った文章を自由に展開していく形式で更新する共同マガジンです。運営者はライター・編集アシスタント貝津美里と、ライフ…
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#夏のオススメ

星と、月と。本当は花火

星と、月と。本当は花火

夕日に染められたぬるい風に、締めつけられたお腹。浅い呼吸が混じる。浴衣を着て、巻いた横の髪を揺して。ちょこんとベンチに座り、イヤフォンを耳にした。

もう駅のホームで、かれこれ30分以上は待っている。それなのになぜか、ホームの時計の針はどんどん進み、次の電車に乗らないといけない、とおもむろに立ち上がった。

何本も電車を見送りながら、

「ごめん!浴衣、着る時間なかった!」

「スマホの充電器持っ

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星はまた、大切なことを教えてくれた

星はまた、大切なことを教えてくれた

耳元で流れる歌詞に心の中でツッコミを入れる。

野田洋次郎さんが書いた曲だからきっと、素敵な意味が込められているに違いない。だからこそ、その歌詞の意味を理解しきれないことが少し悔しかったけれど、そのメロディがあまりにも綺麗で心を震わせるから、細かいことなんてどうでもよく感じた。

「あ、流れた」

頭上から声が聞こえると、「どこどこ?」と反射的に星を探してしまう。確かめたってそこに流れた星はもう見

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