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貝津 美里|生き方を伝えるライター
2019年8月20日 08:41
夕日に染められたぬるい風に、締めつけられたお腹。浅い呼吸が混じる。浴衣を着て、巻いた横の髪を揺して。ちょこんとベンチに座り、イヤフォンを耳にした。もう駅のホームで、かれこれ30分以上は待っている。それなのになぜか、ホームの時計の針はどんどん進み、次の電車に乗らないといけない、とおもむろに立ち上がった。何本も電車を見送りながら、「ごめん!浴衣、着る時間なかった!」「スマホの充電器持っ
はっしー
2019年8月20日 00:19
耳元で流れる歌詞に心の中でツッコミを入れる。野田洋次郎さんが書いた曲だからきっと、素敵な意味が込められているに違いない。だからこそ、その歌詞の意味を理解しきれないことが少し悔しかったけれど、そのメロディがあまりにも綺麗で心を震わせるから、細かいことなんてどうでもよく感じた。「あ、流れた」頭上から声が聞こえると、「どこどこ?」と反射的に星を探してしまう。確かめたってそこに流れた星はもう見
2019年8月13日 18:35
朝起きて、こころにポッカリと穴が空いてることに気づいた。いつもより乱雑になった布団を見て、うっすらと残っていた悪夢がちらっと顔を見せる。その穴はどんどん大きくなって、夢の中にまで侵食していたようだ。数日前から心にあったしあわせな痛みは、唐突に大きな傷跡に変わった。***好きだと思う瞬間は、いつも唐突に訪れる。喉に少しの痛みを感じて「風邪かな?」と気付く風邪のひき始めのよう
2019年8月11日 23:16
「そうだよね、えへへっ」浮かべたつくり笑いは、嫌われたくないがゆえに差し出した魂のカケラだった。「おまえ、ほんとバカだからな」「ネガティブになると面倒くさい」「おまえって、ほんとさ」心にチクン刺さる言葉にさえ、笑って誤魔化した。好きな人が言うのだからそうなのだろう。この場が嫌な空気にならなきゃいいや。いじられて笑いに変わるなら、なんてことない、わたしはこういうキャラだから。好か
2019年8月10日 22:08
「同じ風景を見ても、感じることって人ぞれぞれで。でも、そのちがいを面白がれたら健やかですよね。」空に向かってふわり息を吐くように呟いた言葉。少しの間をおいて「わかる」と返してくれた仲間と一緒に、宛のない手紙のような日記のような、共同マガジンをはじめます。参考にしたマガジンは、こちら。わたしが大好きなライター・フォトグラファー古性のちさんが書く、ショートショートが好きすぎて。同じテーマに