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あらゆる言葉を学ぶタイピングゲーム「TypeGO」が目指すもの
世界の言葉を学べるタイピングゲーム「TypeGO」のβ版を公開しました。
※β版は英語のみ
※完全無料
※メールアドレスを登録して遊べます
▼β版リンク
自己紹介
青波みさとです。はじめましての方、よろしくお願いいたします。
1992年東京生まれ、住まいは長野県の野尻湖です。
2022年4月に株式会社Swellを創業し、世界の言葉を学べるタイピングゲーム「TypeGO」の開発に取り組んでいます。
手芸、旅行、カメラ、料理、読書が好き。最近のヒットは平野啓一郎氏の「マチネの終わりに」です。
17歳の頃から英語教師を志すようになったものの、20歳まで「海外なにそれ、おいしいの?」な島国生活を歩んできたので、さすがに海の向こうを知らずして教壇に立っちゃいかんよなと謎のプライドが芽生え、以降はキャリアの面でも積極的に(というか半自動的に)日本国外を選ぶようになりました。
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テレビ朝日取材班の米朝首脳会談の報道に同行させていただいた時。日焼けしすぎ。
海外旅行も大好きで、2023年はアルゼンチン、チリ、キルギス、インドネシアのバリ島を巡ってきました。
今は1周まわって、日本の田舎サイコー!な生活を謳歌しています。
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使う言葉は、人生のフェーズによって変わる
TypeGO開発のきっかけは、去年の夏、アメリカに滞在していたときでした。
私は妊娠中で、友だちに「今、安定期なの」と英語で伝えようとしてパッと出てこず、焦ったことがあります。
他にも1時間に満たない会話の中で、つわり、帝王切開、こむら返り…ことごとく英語が出てきませんでした。
冷静に考えたら今まで妊娠出産のシチュエーションにいなかったから知らないってだけなんですが、要は英語は言葉なので、TOEIC満点取ったから終わり!ではなくて、自分の生活に合わせて必要な単語表現を都度インプットし続けないと、なかなか使えるようにはなりません。
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中学の頃は、テストで良い点を取るための基本文法や英単語。20代で初めてアメリカへ留学したときは友だちと仲良くなるためのスラング、シンガポールで働き始めたときは業界の専門用語とシングリッシュ。そして今、私が生活の中で必要なテーマは、経営、畑、古民家、子育て、サウナです。
皮肉なもので、大人になるほど人生が分岐して、試験や受験といった「みんなが通る道」に向けた対策は効きません。だから、自分にぴったりの教材を見つけるのは難しい。計測できない。評価されない。
あーあ、必要なトピックだけ必要なときにサクッと学べるもの欲しいなー!
こうした経験がベースとなり、TypeGOが生まれました。
異文化と外国語は思考の選択肢(逃げ道)を増やす
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TypeGOは「言葉を学べるタイピングゲーム」ですが、本当に目指したい姿は「世界のあらゆる言語と文化のプラットフォーム」です。
TypeGOで直接的に学べるのは「タイピングと言語」で間違いありませんが、プロダクトの本質は、異文化や外国語に触れて「こういう表現もあるんだ」「こういう考え方でいいんだ」と思考の選択肢を増やせることにあると捉えています。
どういうことかというと、実は今、1歳児の子育て中で、昼間はシッターさんを雇って自宅で子どもを見てもらっていまして…
私は東ティモールの言葉「テトゥン語」を少しだけ話すのですが、テトゥン語で「妊娠」は「isin rua」と言って、直訳すると「two body(2つの身体)」を意味します。私はこの言葉が大好きで、妊娠中も、お腹にすっぽりと収まっている子どもは自分とは異なる独立した自我であることを猛烈に意識してきました。
加えてシンガポール滞在中の3年間で経験したメイドさん文化。共働きの夫婦が日中の子守りをメイドさんに任せて仕事をしたり、メイドさんにそのまま子どもを預けて夕食に出かけたりする光景は、母親が専業主婦の家庭で育った私にとってはかなりの異文化でした。
産後直後は、母親なんだから自分がちゃんと面倒見ないと…と自分の固定観念とのせめぎ合いがなかったと言ったら嘘になります。でも今は事業に注力すべくそうした決断をしていますし、何より一人で寂しくほったらかしにされることなく、毎日笑顔いっぱいで遊んでいる子どもを見て安堵しています。東ティモールの言葉とシンガポールの文化を知らなかったら、こうした思い切った選択はできなかったでしょう。
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このように人の思考は、その人が持っている文化や言葉の引き出しの数に少なからず影響されると思っています。
なのでTypeGOでは、文化や言葉の引き出しによって思考に選択肢(あるいは逃げ道)を増やせるように、英語だけでなく多くのマイナー言語教材を作り込んでいますし、正しい文法よりも、実生活で使われるリアルな表現を優先して収録していきます。
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・スターバックスで注文する
・赤ちゃんに話しかける幼児語
・推しメンを語るときに使える表現
・野球英語
・売上に関する経理用語
・決算までの流れ
・税金に関する経理用語
TypeGOで何をしたいのか
最後に。プロダクトの進捗については、現在、創業以来初のエクイティファイナンスに向けて動いています。
去年の今頃はTypeGOの影も形もなく、出産直後の身体を引きずって日本政策金融公庫と地元の銀行に事業計画を持ち込み、実績ゼロのママ経営者という最弱プロフィールでもありがたくご融資いただき、紆余曲折ありつつもゼロから開発チームを構築していました。デジタルマーケティング支援事業で貯蓄した自己資金と合わせてフルベットし、まずは今年の10月にβ版を公開しました。
なぜ、そこまでしてやりたいのか?
理由は2つあります。
1つ目は、市場経済において文化人類学をもっと価値あるものにしたいからです。
学問でいうと経済学、経営学、理系分野あたりはビジネスに直結しやすく、文系の中でもとりわけTypeGOが属する文化研究領域は本当にマネタイズしづらい構造があります。マネタイズしづらいということは、資本社会において評価されづらいことも意味します。実際にいくつかのVCからも、言語学習領域/Edtechは市場規模が伸びづらいと何度もご指摘を受けました。
それでもその市場に挑むのは、言語学習は異文化コミュニケーションにおける「マナー」であり、軽視されるべきではない分野であるという私の思想が強く根底にあるからです。
例えば、シンガポール英語(シングリッシュ)。
例)You eat already meh?|もうご飯食べたの?
アメリカ英語を基準とするなら"Have you eaten already?"と過去完了形を使うのが好ましいでしょう。ただ、文法的に「正しくない」シングリッシュは、シンガポールで自然に発生し、そこで進化した話し言葉で、シンガポール人にとっては合理的かつ自分たちの気持ちを最も自然に表現できる「正しい」英語です。
そして相手の文化に歩み寄って言葉を紡いでいると、本来自分が属さないコミュニティの人々も、徐々に心を開いて受け入れてくれるようになります。
逆の立場でも然りで、日本語で「こんにちは」「ありがとう」と言われるのと、異国の言葉で同じことを言われるのでは、前者の方が心理的にちょっと距離が近い感じがするのではないでしょうか。
きっと、異文化コミュニケーションって"そういうこと"かなと。
この先どんなにAI技術が発展して、体にチップを埋め込んでいかなる言語も完璧に操れるようになったとしても、脳内回路をハックして思考や感情、つまり「心」の部分までもが自動化されない限り、異文化コミュニケーションの"そういうこと"に価値を見出す人は一定数いるだろうと思います。私もその一人であり続けたい。
2つ目は、文化人類学の研究そのものが稼げる仕組みを作りたいからです。
私の知る限り、「⚪︎⚪︎の文化をめっちゃ研究してるから」という理由で稼げている研究者の方をあまり見たことがありません。文化人類学、特にフィールドワークを伴う研究は、人類にとって大事だよねというコンセンサスは取れているはずなのに、それ自体で収益を産むことは難しい印象を持っています。
TypeGOは今すでにマイナー言語の教材を作っていますが、コンテンツは全て、現地にいるネイティブスピーカーが作っています。将来的にはTypeGOを通して、あらゆる文化や言語に敏感で研究に没頭したい人材が、一生好きなことを研究し続けて飯が食えるようになる仕組みを構築したいと目論んでいます。
プロダクトとしてもチームとしてもまだまだ未熟なところだらけですが、これからアップデートを繰り返していく予定ですので、末長くお付き合いいただければ幸いです!
TypeGOの仲間を募集しています
TypeGOは現在、エンジニア、デザイナー、教材制作の5人チームで開発を行っています。
今後の事業拡大に向けて、一緒にTypeGOを創りあげていくメンバーを様々なポジションで募集しています。
ご興味のある方はメールもしくはDMお待ちしています!