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運動を憎んだ女がリングフィットアドベンチャーにハマった話

子供の頃、体育の授業が好きだった人はどれくらいるだろうか。

わたしはどんな授業よりも体育が嫌いだった。
個人競技でもできない人は笑われ馬鹿にされて、団体競技では邪魔者になってしまうから。

逆上がりは人生で一度も成功したことがないし、縄跳びのテストでは二重とびができず半泣きになりながら最後まで居残って跳び続けた。
持久走では冗談ではなく死ぬと思った。授業が始まる前、階段から飛んで足を折った方が楽だと本気で思っていた。

大縄跳びなんて公開処刑のような競技を学校体育に取り入れた人は頭がどうかしていると今でも思っている。


どうしてこんなことをさせられるのだろう。どうしてあんなに追い詰められていたのだろう。

学校では勉強ができないことよりも、体育ができないことのほうが何倍も恥ずかしく思えた。
そんな学校生活を経て、わたしは運動が嫌いになった。


全ての運動を憎み、全ての運動に憎まれたわたしは三十路になり、初めて自主的に運動を始めた。

かの有名な『リングフィットアドベンチャー』と出会ったのだ。

きっかけは「なんか楽しそう」

先日、わたしが推している某グループのメンバーが、ゲーム実況の一環で遊んでいた『リングフィットアドベンチャー』のミニゲーム。
成人男性がワーワー騒ぎながら身体を動かしている様子が無邪気で、「なんか楽しそうなことやってるな」と思った。

ちょうど同じタイミングで、わたしは人生最高体重を更新していた。

去年買った服も着られない状態で推しに会いに行くなんて辛すぎる。
そう思い、通勤で40分ほど歩いてみたり間食を減らしてみたりと地味な足掻きをしていた。

もしかして、このゲームなら楽しく痩せられるのでは……?
そんな期待を胸に、世間の流行りからは数年遅ればせながら購入に至った。

30日間プレイしてみて感じた”良さ“

購入から約1ヶ月。
リングフィットを使用した運動はほぼ毎日続いている。
会社から帰ったのが0時を過ぎる日も、少しだけでも動きたくてゲームを起動した。

大きく体重が減ったわけではないが、体脂肪は減少し、少し体も引き締まってきたような気がしている。

運動嫌いのわたしがなぜここまで続けられているのか?
それはきっと、ひたすらポジティブに褒めてくれるゲームシステムのおかげだ。

例えばスクワットを20回行う間に、ゲーム中のキャラクター『リング』くんは絶え間なく声をかけてくれる。

「いいね!」
「最高!」
「その調子!」
「輝いてるよ!!」

どれだけヘロヘロな動きでも、点数が低くても、彼は全力で褒めて励ましてくれる。

そして、スクワット等の運動が通算100回などキリの良い数字に達するとメッセージが出てきてこれまでの努力を認め、絶賛してくれる。
これが想像以上に良い。
褒められると単純に嬉しいし、自己肯定感が上がるのだ。

努力しても褒められず、できない自分ばかりが嫌になる……そんな体育の授業とは真反対の対応を受け、わたしはヒイヒイ言いながらも運動を楽しんでいる。

RPGのようなストーリーモードも飽きの来ない工夫がされていて、きっとこのストーリーをクリアする頃にはわたしは別人のように引き締まっているに違いない。

多分。

「褒めて伸ばす」が大正解

リングフィットを続けるにあたり一番のモチベーションを保つ秘訣は「褒められ」だと感じた。

学校の体育では感じられなかった「褒められる」という体験は、わたしの肯定感を上げ、生活を変えた。

「よく頑張ったね!」
と励ましてくれるリングくんに対し、息を切らしながら「ありがとねー!」と叫ぶわたし。
側から見ると結構怪しいが、楽しく運動が出来ている感動と比べればそんなことはどうでもいい。

この体験は「やらなければならない」よりも「やりたい」が大きなパワーとなることを実感できる良い機会だった。

これからも「have to」ではなく「want to」で動ける人間でありたいと心から思う。


いつか学校の体育も、苦しいものではなく皆が楽しく動けるような授業になれば良いな。

さ、帰ってリングフィットやろうっと。

おわり。


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