案件概要書(IM)の意義 - その1|M&Aアドバイザーの基礎知識㉒
こんにちは。かきもとみさです。私はM&Aアドバイザーの仕事をしています。
いま、日本の冬から逃れてオーストラリアにいるのですが、オンラインで売主社長と面談をしながら、売却案件概要書の作成をしています。
いつも、売却案件をお預かりするときに、私は案件規模に関わらずなるべく案件概要書(通称IM:Information Memorundom)を丁寧に作るようにしています。
案件概要書は、買手が最初に売却対象会社のことを網羅的に知るための資料であり、マッチングして協議が進むことになればもう「用済み」となる取るに足らない資料かもしれませんが、私はいろんな意味で重要だと思っています。
その重要性を私なりの視点で書いてみたいと思います。今回は前編です。
M&Aアドバイザーの視点から見たIMの意義
その後の工程が煩雑にならない
IMが重要である、1番わかりやすい理由はこれです。
アドバイザー業としての重要性を考えると、「最初に情報をきちんとまとめておくと、後工程がラクになる」というわかりやすい価値があります。
序盤で最低限買収検討に必要な情報を揃えておくことで、複数現れる買手候補からIM開示後に投げられるたくさんの質問を抑えることができます。
だから先回りして「これは買手企業は必ず気にするだろうな」ということは押さえておくことが肝心です。
ちなみに、「今回の案件は情報が揃っているから、IMを作成する必要がない」といってIMを作成しないアドバイザーにも出会うことがあるのですが、「情報が揃っていること」と「IMで買手に訴求すること」というのは違うと考えています。
参考までに、私の案件概要書の流れは大体下記のような感じです。
エグゼクティブサマリー
企業概要、会社の特色、案件スキーム、譲渡要件、対象会社を買収することによって得られる買手側のメリットを簡潔にまとめる。事業概要
対象会社のビジネスを簡単にまとめる。特に、だれが顧客で、何が売上の源泉となっているのかを明確に伝える。重要な仕入先や外注先があればそれも記載する。人事組織
株主構成、組織図、従業員名簿(規模による)、有資格者、キーマン人材、役割責任などを記載する。
とくに有資格者は事業運営の許認可に関わる部分になることが多いので、先に聞いてしまいます。IMに記載するかどうかは別として、もし売主社長がだれか取締役やご家族などでM&Aについて情報共有したほうが良い人材がいれば、そちらも事前にヒアリングします。財務情報
これが肝です。決算書(最低でも3期分)は外せないですね。
かといって、財務情報だけが対象会社の情報ではないので、私の考えとしては、ビジネスを俯瞰した情報、人材の情報があって、そのうえで財務情報があるのが理想だと思います。
財務諸表というのは、事業運営の結果ではありますが、財務諸表に表れていない資産が人材であり、ビジネス自体だと思うので。譲渡対価とスケジュール
譲渡対価の算出方法は、あってないようなものではありますが、大抵の場合はEBITDA(営業利益+減価償却費)の3年分の試算はすることが多いです。
譲渡対価に何年分を考慮するかなどは、いろいろな要素を考えて初期設定します。正直にいうと、このIMに記載する金額が上限であり、ベストシナリオの金額という位置づけで、その後具体的に買手が現れた際には交渉に下げられていくことを想定しています。
IM記載とは別に、売主の最低限の要件≒これだけは譲れない(金額・金額以外)条件をきちんと当初から握っておくことが大事だと思います。 スケジュールは、大体半年くらいで引くことが多いです。そして、大体半年できちんと成約することが多いです(たまたまうまくいっただけかもしれませんが・・・)。その他 上記の他に、製造業であれば「製造工場について」とか「衛星管理について」とか、大きなトピックとしてまとめることもあります。
そこは、ビジネスの勘所を抑えて、重要な部分は手厚く情報を揃えるようにする必要があると思います。
今回はアドバイザー目線でのIMの意義でしたが、次回は別の観点で考えてみたいと思います。
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