低年齢の子どもがアイドルに憧れることへの懸念
※前提として、この記事は「アイドルに憧れること」やアイドルそのものを否定するものではありません。アイドルを崇拝する文化が低年齢の子どもに及ぼす影響についての懸念です。
※またどちらかというと女性アイドルに女の子が憧れることを想起させる内容ではありますが、あまり性別を限定したくなかったため「アイドル」と表記しています。
つい先日、幅広い年齢層のファンがいるが低年齢の子どもたちにも人気のアニメシリーズの最新作はアイドルがテーマになっていることを知った。
キラキラした雰囲気できっとその作品を通してアイドルに憧れる子どももいるだろうと思う。
老婆心でしかないが、私はそれに不安を感じている。
アイドルとは様々な魅力で人々を魅了する存在…であると思う。
たくさんの人から愛され、応援されるためにはやはり、容姿も重要な要素になる。その時代に合っていて多くの人から支持される美しさが求められる。でもそのアイドル的美しさの幅はとても狭い。小さな顔、大きな目、スッと伸びた鼻、長くて細い手足…。
アイドルに詳しくない私だが、時折目にするアイドルたちはとても可愛らしく、綺麗である。
現実的には多くの人はそのアイドル的な美しさの基準にはなかなか当てはまらない。だからこそアイドルの美しさは希少性があり魅力的なのだ。
でも、「美」とは実はとても不思議な幅をもつものだと私は思っている。この世の「美」の基準は「アイドル的美」だけではないのだ。美的感覚は様々な美に触れていく中で磨かれていき、自身の中の「美」の幅も豊かにひろがっていく。色んなところに美を見出すことができるようになる。
だから、幼い子どもにある特定の美の基準を強く刷り込むようなことになりかねないものに対して不安を感じてしまう。
たくさんの「美」のあり方を知り、その上で好きな美しさを目指す、求めることができる社会であってほしい。
ひとつの正解の「美」という幻想を抱き、そこにどうにか当てはまろうと苦しむことは、あまり健全だと思えないのは、私自身が10代〜20代前半ごろ自分の容姿を受け入れられず、鏡を見て絶望して外に出るのが怖いと感じたことがあるからだ。
プリンセスもアイドルと同じような存在かもしれないが、アイドルの方が長きに渡って影響を与える可能性が高い。プリンセスに惹かれるのは女児が多いがアイドルは性別を問わず人気である。異性や恋愛対象となる相手の目を意識するようになる年齢以降も子どもたちの理想やロールモデルとなることが多い。
私には娘はおらず、息子を育てているが、今の時代強迫的に「美」に囚われることは女性だけの問題ではないと感じている。
アイドルは魅力的な存在だと思う。だが幼い子どもに影響力のある作品などで取り扱うのに少し慎重になってほしいと思ってしまうのは、やはり余計なお世話なのだろうか。