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今週は優勝 #ラトビア日記 31週目


2024年3月25日 余計な一言が無くていい

 人と会うことが少ないからか、会話の機会はめっきり減った。

 だからか誰かと会話しても、もともとの性格にさらに輪をかけて、聞くほうに意識が傾くようになっている気がする。

 個人的には、余計なことを言う気が失せて、ちょうどよい。

 嫌味とか煽るような一言とか、言いたくなりそうな場面(ほとんどないけど)でも「言ったところで何になる?」と素面のメンタルでいられて、とてもよい。

 言われたときは、それなりに傷つくけど、寝たらたいてい忘れている。

2024年3月26日 一週間に一度は必ず引きこもる

 それなりに天気がいい。

 バイオリズムをととのえる。

 このまま、もう氷点下になることはないと思っていいのかな?

 国際女性デーにもらったバラが、散らないどころか新芽を出していた。

 なんとなく、バラってあまり長持ちしない印象があったから、うれしい。

 冬の間、窓際に置いておいたら寒さで瀕死になってしまったゴムの木も、新芽らしきものをつけている。春だ。

2024年3月27日 とてもとても、ご機嫌な日

 朝日で目覚める、6時半。

 朝型の生活が戻ってきて、調子がいい。

 ラトビアに来てからだいたい1ヶ月半くらいの周期で風邪をひいている。

 わたしだけでなく、ともだちのカトリーナも、先週授業をしていた先生2人も、めちゃくちゃ具合が悪そうだった。

 ラトビアって風邪ひきやすいの?

 医療費が安くないからなかなか病院へ行かず、自力で治す人が多いと聞いたことがある。本当か嘘かは分からない。

 保険に入っていれば医療費は最終的に自己負担以外のぶんは帰ってくるが、初めから引かれているわけではないらしく、問診だけで数十ユーロくらいかかるのだとか。

 日本に帰国するまで、もう二度と風邪引きたくない。からだ、がんばれ。

 風邪はさておき、今日の寝起きは最高。

 午後はラトビアが誇るお菓子メーカー「Laima」(ライマ)の博物館へ。

 授業のリサーチのためだが、クラスメイトの1人が「一緒にやろう」と誘ってくれたのだ! うれしいいいいい。

 午前中は、機嫌がよすぎて、リガ一おいしいコーヒーが飲めるKALVEでカフェインをキメた。

さいこう

 風が強い。春になり、空気が少し埃っぽくなった。雪が溶けた証拠だと思う。 

 待ち合わせの時間になり、博物館へ。

左は売店、右が博物館入り口

 今回の「Laima」訪問は「Global Consumption in Latviaを調査せよ」というお題に則ったもの。

 わたしはテーマを決めておらず、たまたま「何についてリサーチする?」という話を彼女としていたとき「わたしはチョコレートをテーマにしようと思っている。もし興味があれば一緒にやろう」と声をかけてもらったのだった。

 Googleマップの評価は酷評も散見されたが、個人的にはすごく良かった。

 コンパクトで、建物やデザインもチョコレートで統一感があり、どのスタッフもとても気さくで閉館時間ギリギリまでいたけれど、丁寧に対応してくれた。

 クラスメイトがワークショップを予約してくれており、チョコレート作りもした。

 チロルチョコサイズのチョコの器に、好きなトッピングを載せよう!という至極気軽なもの。平日の夕方だったが親子連れが多く、ほぼ満席状態だった。

専用の小箱までちゃんと用意されている

 展示の最後は、QRコードと連動した撮影スポットがあり、静止画の写真とGIFが撮れるようになっていた。

これはチョコの海のフレーム

 プリクラみたいにいくつかフレームを選んで、グリーンバックの撮影スポットで撮り、画像はQRコードを読み取れば自動的にクラウドにアップされ、ダウンロードできる仕組み。

 クラスメイトがとてもテンション上がっていて、なんだかわたしもうれしかった。

 彼女はいつも、鋭い質問をしたり、テキストの要点を誰もが分かるような言葉でまとめて説明するのが上手で、スマートだなあと尊敬している。

 仕事もして、さらに子育てもしながら、わたしがやっとのことでこなす課題もしっかりやっているから、本当にすごい。

 展示を見ながらあれこれ意見を交わしたり、一緒に楽しんだりできて、本当にうれしかった!

 1人で黙々とやるのもいいけど、協働するのもやっぱり楽しい!

 学期末にプレゼンとエッセイ提出が待っている。

 Laimaのチョコを食べながら、がんばろう。

2024年3月28日 前進!

 今日、10月か11月ぶりに、スニーカーを履いた。

 足が冷えると、からだ全体が冷えて元気がなくなるため、雪が溶けきってもしばらくモコモコのスノーブーツを履いていたのだ。

 スニーカーで歩けるようになってやっと、冬が終わるんだなと感じる(まだ“終わった”と過去形にできないっ)。

 ダウンを着なくてよくなったらやっと、外でごはんを食べたり本を読んだりできるようになるな。楽しみだな。

 ここ数日、ずっと気がかりだったラトビア政府奨学金の申請書類の一つ、教授からの推薦状が届いた。

 推薦状は二枚必要。

 一枚はすでに受け取っていたが、あと一枚、一週間以上待っていた。

 ヒューマンサイエンス系の学生が審査に通るのは、あまりないらしい(メディカル系が多いみたい)が、何度も申請書を書き直したため、強制的に修士論文のことを考えるきっかけになり、大変だったがいい機会になった。

 推薦状をお願いした教授たちも、快く推薦状を書いてくれたし、モチベーションレター(志望動機みたいな書類)に何度もフィードバックをくれた。大感謝。

 通るといいなあ。

 さらに、秋学期にインタビューに協力していただいた方に、やっとお礼のお茶(日本から持参した静岡茶)を渡すことができた。

 ずっと気に掛かっていたことが、一つずつ完了していくの、気分がいい。

 まあ、それもこれもパキッと晴れているからである。太陽ありがとう。

2024年3月29日 祝日とコンサート

 今週末は、イースター休暇。思っていたよりも、しっかり休むんだな、と少し驚き。

 今日はもうお店を閉めているところや、会社を休みにしているところもあるみたい。

 公園にもハンドメイドの雑貨や食品の露店が出店していた。

 イースターは本来キリスト教の祝日だが、ラトビアはもともとキリスト教の国ではない。

 ドイツやスウェーデンの侵攻・支配などの歴史を経て、土着の信仰とキリスト教がミックスしていったみたい。

 もちろん教会はあるし、敬虔な信者たちもいるが、ぱっと見は家族の休日を楽しんでいる感じ。日本で言う、少し早い&短いゴールデンウィークみたいなものだろうか。

 無事、奨学金申請書類を出し、次々に他の書類や仕事や課題に取り掛かる。

 なんでいつもこんなに締切に追われているのか、自分でも解せない。

 カフェで原稿を書いていたら、突然見知らぬ男性に話しかけられる。「どこ出身?」と聞かれ、日本だよと言うと、感激した様子で自己紹介を始めた。

 彼は中国人でラトビアに9年(!)住んでいるらしい。

 留年や休学を経てやっと卒業年になり、卒論を書くためにカフェに来たんだと言っていた。

 そして「いつか日本に行くのが夢なんだ」とのこと。

 おしゃべりが好きなのか、もしくは日本人と会えたのが嬉しかったのか、めちゃくちゃしゃべる。

 結局彼は、カフェに来てわたしをすぐ見つけ、おしゃべりして「友達からジムに誘われたから行ってくる」と陽気に去っていった。

 「卒論、あと1ヶ月で50ページ書かなきゃいけないって言ってたけど、だいじょうぶなん?」と思ったけど、楽しそうだったから良かった。

 夜は、誘っていただいたコンサートへ。

 鑑賞前にギリギリ滑り込んだ結果、自由席はほぼ満席、よく見えよく聞こえる席はもちろん残っておらず、舞台下手側の前の席に座った。

 ちょうど男性シンガー達の背中が見える位置で、彼らが歌っている間「あんなに大きい身体だから、声が肉や骨に反響して、こんなに響くんだなあ」などと考えていた。

 普通に起立している姿勢とあまり変わらない背中の動きでものすごい低音を響かせたりする。喉とかどうなっているんだろう。

 コンサートは教会で行われた。

 ふと「日本だとお寺で音楽を聞くことって無いな」と思った。

 日本で音楽に触れるとなると、コンサートホールがライブ会場、あとはイベントスペースなどだろうか。

 宗教施設で音楽が演奏されることって、コンテンポラリーアートならあり得るかもしれないが、こんなにカジュアルで身近で、さらにこれだけの収容人数を集められるお寺や神社はあるだろうか。

 「神道はまだしも(尺八などあるし)仏教って音楽がある宗教だったっけ。木魚?」などと考えながら鑑賞していた。

 ざっくり調べたところ、雅楽が仏教の音楽に分類される考え方もあるらしい。神仏習合を経て、仏教と神道の考え方が混在して現在に根付いている様子は、ラトビアのキリスト教にも似ている。

 原稿が終わらなかったので、明日もがんばろう。明日はやっぱり、どこもかしこも休みなのかな……?

2024年3月30日 祝日は関係ないけど

 休日を祝福するような晴れ!

 ネコヤナギの花束をかかえた人や、お休みで出かける家族連れなどで、どこかみな、足取りが軽い。

 今週は、いろいろなものの締切が重なっている。

 人々は祝日で浮き足立っているようだが、わたしにはあまり関係ない。

 とはいえ、いそいそと足早にお菓子を買ったり日光浴をしにお散歩したりしている様子を見ると、活気があって、元気出る。

2024年3月31日 全身で春を寿ぐ人々

 今日はラトビアのイースター。

 ラトビア人の友だちに誘ってもらい、リガ市内のオープンエアーミュージアムへ。

お裾分けしてくれたイースターの卵。玉ねぎの皮で染色されている

 先々週も行ったけど、今日は天気も晴れて暖かく、緑も芽吹いてきて、完全に仕上がっている。

 「春ですよ、起きて!」と言われているようだ。起きます!

 行きのバスも、ものすごい混雑。

 東京の朝の満員電車並み。

 ためらっていたら、先に乗っていたマダム達に「早く乗りなさい!」と手招きされて、リュックを抱えて飛び乗った。

 現地で友人ファミリーと合流し、いざミュージアムの中へ。

 メイン会場へ続く通りには、マーケットが。

肩のベルトの留め具
カゴってどうしてこんなに欲しくなるの

 手作り雑貨やアクセサリー、保存食、パンやはちみつ、魚の燻製などなどが並ぶ。見ているだけでホクホク。

子孫繁栄、五穀豊穣を祈る意味が込められたブランコこぎ。大人も子どもも参加していた

 開けた広場では、人形劇やダンス、歌などが順番に行われているらしかった。

 年代別に、ラトビアのダンスグループが踊りを披露したのだけれど、最初の一番おにいさん・おねえさんのグループが踊り出したとき、なんでか涙が出てしまった。

 本当に涙腺がガバガバすぎる。

 晴れてよかったねえ、という見守る気持ち。やっと春が来たねえ、という嬉しさ。

 暗くて長い冬を終え、ここまで気持ちよく晴れたら、踊らずにはいられないよね、という共感。

 ただ、踊りを見ながらメソメソ泣くわけにもいかないので、また適当にごまかした。

卵に染色している様子

 歌を聞くときも、ジーンと、胸が締め付けられるのだよな。ラトビアの歴史を少しずつ勉強しているから、その影響もあるかもしれない。

 イースターに対して、ほぼ関心がなかったわたしだけれど、誘ってもらって、よかった。

 日本の初詣かと思うほどの熱気だった。

 春だね。

 夏至祭が楽しみだ!

街中に戻ってきたら芝生でくつろぐリガ市民がたくさんいました

おまけ: 「Laima」チョコレート博物館の記念写真コーナーが結構よかった

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