ユトレヒトでの新生活、はじまりはじまり #交換留学日記 3
2024年9月2日 同じヨーロッパでも違う
大学初日。
今日は、大学のコーディネーターが学内を案内したりアイスブレイクをしたりする、いわゆるイントロダクションの日。
しかもそのワークショップはすべて留学生向けに準備・プログラムされている。
ラトビア大学でも、もしかしたらバチェラーの学生にはアイスブレイク期間があるのかもしれないが、少なくともマスターの学生にはなかった。
留学生の数が、圧倒的に違うからだろうけれど。
校内で集合し、大学が所有するガーデンでピクニック。自己紹介をして、校舎を案内してもらう。
その後、なんとユトレヒト市内の運河をボートに乗って一周した。
この時期のオランダでは貴重な晴れ(らしい)。
ボートに乗っていると地元の人も観光客も、カヤックやカヌー、ボートに乗って遊覧しており、運河をすれ違うたび、手を振ったり挨拶をしたりした。
ラトビアとオランダ、同じヨーロッパでも、ぜんぜん違う。
留学生に対するイントロダクションの有無はもちろん、歩いているだけでもいろんな言語が聞こえてくるし、見た目もさまざま。
大学や移民局からの連絡や対応も違う。
書類のやり取りや返信は、ラトビアの大学はとても早い。オランダも遅くはないけれど、おそらく留学生や移民の数が多いため、一日、二日くらい音沙汰ないことはある。
移民が多いのは、経済的な持続可能性を確保するために移民の力が必須だからでもあるだろうけれど、それゆえに人権教育が進んだり、ダイバーシティが当たり前だったりするメリットもあり、けれどやっぱり母国語を共有する人同士のコミュニティで固まりがちだったり、それゆえの偏見も生まれたりするデメリットもあるのだろうな、とぼんやり考えた。
まだ解像度は低い。
そして赤字でバスの遅延表示を見つけたとき、ラトビアのほうが物価は安いし、バスは時間通りに来るな、と思った。
2024年9月3日 完璧な環境
初めての授業、初めてキャンパスの中へ。
どの校舎も、椅子や机がたくさんあり、自由に勉強できて、飲み物や食べ物の持ち込みもオッケー、大きな窓と広々した高い天井。
勉強する環境として、めちゃくちゃいい。
大学の図書館でなくても、捗りそう。
ユトレヒトの図書館も行ってみたら、ここもまた雰囲気良かった。
それにしてもオランダ、想定していたより湿度高い。洗濯物が乾かない……。
すぐ乾く前提の服の枚数しか持ってきておらず、これは誤算だった。
2024年9月4日 見れる作品・見れない作品
今日は講義がないため、家の近所を散歩することにした。
だいたいいつもNetflixでアニメを英語で流しっぱなしにするのだけれど、よく流していたアニメが総じて英語の吹き替えがなく(あるけどオランダでは配信されていない)ドイツ語だけだったりフランス語だけだったりして、残念だけど、興味深い。
Netflixでは、『HUNTER×HUNTER』はオランダでは見れないけど『幽☆遊☆白書』なら見れる。どういう基準で作品選定しているのか気になる。ラトビアでは逆だった。
以前、NHKの72時間という番組でパリにある漫画喫茶が特集されていたけど、日本の少女漫画は男の子に好かれるために女の子が奮闘するような筋書きが多く、なかなかフランスでは受け入れられないと言っていた。
好きなアニメが見られないのは残念だけど、言語のバラエティから、その国で何が受け入れられているのか垣間見えておもしろい。
ところで、暮らし始めた家は、わたしを含めて5人のシェアハウス。まあまあ大変だけど、半年間くらいだから、乗り越えよう。
とにかく早く自転車が欲しい。
2024年9月5日 勇気を出したりうっかりしたり
9時からの授業のために早起き。
どんよりした空で、起きるのがちょっと大変。冬の暗さがどれくらいかわからないけど、今度はビタミンDの摂取をおこたるまい。
自転車のサブスクを始めるため、お店にピックアップの予約をしたはずが、なぜか入っておらず、来週の月曜に持ち越しに。
せっかく週末、自転車であちこち回ろうと思っていたから、がっかり。
授業で斜め前に座っていた子が、マイルドライナーというペンを使っていた。
日本にいたとき、悩みに悩んで厳選した色のペンを3色、買って持ってきていたから、すぐ気づいた。
「それ、わたしも持ってるよ」って、話しかけたい……!!!
授業中、彼女の後頭部越しにチラチラ見えるマイルドライナー。迫る授業の終了時刻。
講義が終わって、立ち上がったとき、思い切って声をかけた。
「さっき使ってたペン、見せてくれない?」と言うと、思ったより笑顔で「いいよ!」と見せてくれた。
やっぱりマイルドライナーだった。
日本で買ったのか聞いたら、アムステルダム拠点の文房具のECサイトで買ったらしい。
授業のメモをとっていたノートも分厚くて手帳みたいだったが、それも同じ店で買ったという。
文房具が好きだという彼女と、帰り道、少しおしゃべりして別れた。
また、午後は初日のワークショップで知り合ったイタリア人の子に「お茶しよう」と連絡してみた。
彼もすぐに来てくれ、いっしょに運河沿いを散歩した。
彼は19歳で、おとうとというか息子みたいな気持ちになってしまうけど、初めての外国での一人暮らしを真っ当にこなしていて、わたしがいろいろ教わった(バスのチケットのサブスクについてなど)。
文房具愛好家の彼女はオランダ人だが「オランダ人は歯に衣着せぬ物言いをする」と言っていた。
確かにそうかもしれないけど、いまのところ接する人は皆にこやか。
異国から引っ越してきた学生たちも、オランダにあまり悪い印象を持っていない。この印象のまま、半年間いけますように。
2024年9月6日 引きこもり
大学に引きこもって課題。
どの校舎も、朝8時から夜10時まで開いている!
建物きれいで、食べ物や持ち物の持ち込みはほぼオッケー(嬉しいから何度でも言う)Wi-Fiさくさく、机広々、勉強している学生もたくさん。
金曜日は授業がないのか、早くバーやパーティに行きたい学生が多いからなのか、夕方には学内は閑散としていた。
2024年9月7日 なぜカメラを持って来なかったの
来週から気温が下がるらしい。
暗くて長いオランダの冬は、暗さの上に雨風が強いらしい。
早急に長靴を探す必要がありそうだ。
そんな貴重な晴れ間。
なぜカメラを持って来なかったのか……。くやしい。
ユトレヒトの中心地は、運河沿いから賑わいがじわっと広がっている感じで、ちょうどいい規模感。
日本料理屋も多いし、アジアの食材専門のスーパーもあって、確かにどれも値は張るけれど「日本食が恋しくてたまらない!」ということはなさそう。
ラトビアに帰った時のために日本から持参したあれこれは、とっておこうと思った。
2024年9月8日 お出かけ
出会う人みんな「こんな天気がいいオランダは貴重だ」と言うので、出かけずにはいられない。
去年の冬から、日光の重要性は理解しているし、気分も晴れるからできるだけ外へ出る。
今日はイントロダクションの日に知り合った留学生の一人とカフェへお出かけした。
一緒に過ごせる人が、少しずつ増えていくのがうれしい。
誰かと繋がっている感覚をお守りにしながら一人でいるのと、所属するコミュニティや頼れる人が皆無な状態で一人でいるのは、安心感が天と地ほど差がある。
余談:’帰る’場所はどこなのか
家に帰るバスの中で、日本に帰っていた頃「いつあっちに帰るの?」と何度か聞かれたことを思い出した。
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