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オランダのバースデーパーティへ #交換留学日記 15


2024年11月25日 緊箍児(きんこじ)

 ひさしぶりに偏頭痛におそわれる。

 寝ても覚めても、ズキズキと両こめかみが痛む。

 気圧の変化や生理痛でも、頭痛に悩むことはほとんどないから、ちょっと心配になり、家に引きこもっていた。

 頭痛で悩んだ経験といえば、高校3年生のときくらい。

 当時通っていた高校がきらいで、受験その他のストレスで、初めて偏頭痛を経験した。

 『西遊記』の孫悟空がつけている緊箍児(きんこじ)は、三蔵法師が呪文を唱えると頭を締め付ける輪っかだが、偏頭痛は、まさに其れ。

 どくんどくんと波打つ血管の収縮で、なかなか治らなくてこわくて、目玉も飛び出るかと思った。

 今回の頭痛が、なんのストレスから来るのかは分からないが、オランダ暮らし折り返しで、溜まった疲労が爆発したのかもしれない。

 一晩寝たら、回復しました。

2024年11月26日 新しい居場所

 今日はいつも通り朝起きれて、授業へ。

 頭痛もすっかりなくなり、一安心。

 とはいえ乾燥で喉が若干あやしい。いまのところ無風邪のオランダ生活、このまま健康を維持して終わりたい……!

 午後は、ユトレヒトでオープンしたばかりの抹茶専門カフェへ。

 約1ヶ月ほど前、友人が教えてくれ、オープンして間もない頃にお店へ行くと、オーナーの女性がとても気さくにもてなしてくれた。

 その後「また行きます」と約束していたが、先週末に再訪したら、お客さんがいっぱいで入れず。

 オーナーに挨拶だけしてお暇したら、後日インスタにDMが届いた。

 「このまえ、満席であなたをもてなせなかったのが心苦しいから、火曜の午後に都合がよかったら来てほしい。お店は定休日だけど、ウェルカム!」とのこと。

 うれしくて「もちろん行かせていただきます」と返信し、約束の時間にカフェへ。

 結局、3時間か4時間くらい居座り、あれこれとおしゃべり。

 彼女はトルコとギリシャをバックグラウンドに持つ女性で、日本にすっかり魅せられ、特に抹茶と和菓子のコンビネーションに胸を打たれ、エンジニアの本業の傍らカフェをオープンした。

 場を持つ目的は、飲食の提供ではなく、日本のお茶の魅力を伝えることと、お茶にまつわるさまざまなクリエイターたちのコラボレーションの架け橋になることだと言っていた。

 ただ、Googleマップのリファレンスや、インスタグラマーの投稿で、お客さんが激増し、同時に不本意なネガティブなコメントも届いて「どんなふうにこの場所をコントロールすべきか考え中」とのこと。

 わたしも、ささやかながら宿のオーナーをやっていたことがあるし、売上よりコミュニケーションを優先させたくてBooking.comの掲載を取りやめたこともあり、彼女の葛藤はよく理解できた。

 ソーシャルメディアの恩恵で、わたしたちはこうしてつながれるけど、意図しない情報もあっという間に拡散してしまうから、お店側のふるいそのものも体験価値だと見做して展開するほうが物理的にも精神的にも無理がないのかも、という話をした。

 お客さんをふるいにかけることは傲慢ではないし、そのカフェは売上より彼女の想いベースで運営されている場所だから、なおさら無理やりオープンにする必要もない。

 「あなたには目に見えないけど内側から放たれるオーラがあって、それが本当にキラキラしている」と言ってもらえて、うれしかった。

 「だからこの場所は、いつでもあなたのためにあるし、いつでも遊びにきてね」と繰り返し言ってくれた。

 お茶と和菓子もご馳走になった。

 こんな出会いって、あるんだね。

 彼女の思いを汲んで、カフェの名前は載せないけれど、わたしにとってオランダのサードプレイスと呼べる場所ができた。うれしいな。

2024年11月27日 「見下しているんでしょ?」

 先日、日本で行われていた野球の世界大会で、台湾が優勝した。

 オランダに来てから、台湾出身の友人が何人かできて、もともとなんとなく好意的だった台湾に対する印象が急上昇。

 みんな明るくてフレンドリー、その中の一人は定期的に会ってお茶するほど仲良くなれた。

 ……と、思っているから、なおさらショックだった。

 「日本人は台湾を見下していると聞いたことがある」という、彼女からメッセージ。

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