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勉強したり30キロ自転車漕いだり #交換留学日記 8

2024年10月7日 質問ある?

 雨、降っていない。よかった!

 日が昇るのが遅くなっている。

 雨を含んだ雲が残る朝は、空気が重い。濃いグレーの曇り。

 でも、雨が降っていないだけで気分が軽い。

 今週は授業が少なく、来週すでに試験がある。

 そのための準備でコマ数が少ない。

 オランダの授業は、とにかく何度も「質問ある?」と学生に問いかける。

 レクチャーの最初、途中、最後に必ず「何か質問はある?」と投げかけられるし、そして一コマ全部使って試験やエッセイに関する質問の時間を設ける。

 学生と先生の関係上下が限りなく少ない。

 なるべくフェアで、置いていかれる人がいないようにという配慮からだろう。その姿勢に無理矢理感もない。どの先生も「フェアであろうとするのが当たり前でしょ」とカラリとしている。

 日本の大学は、どうだっただろうか。

 卒業したのはもう10年近く前だから、現在はどういう状況なのかわからない。

2024年10月8日 くたくた

 日に日に、夜明けが遅くなる。今日も湿気で、重ためな朝。

 道中、いくつかの酪農家さんを通り過ぎるせいか、道路に牛糞が落ちていることもしばしば。

 牧草地で草をはむ姿も、よく見る。夜に雨が降ったからか、今日は放牧されていなかったけれど。

 朝から晩まで、よく働き、課題も出し、よくがんばった。

夜のキャンパス。くたくたで、やっぱりこの近くに住みたいと思った


2024年10月9日 繰り返される日常

 今日も今日とて授業。

 コモンスペースで課題をやっていたら、若者2人に話しかけられる。

 「10分ほど離席したいが荷物が多くて目が離せない。離れている間、荷物を見張っていてくれないか」とのこと。

 確かにテニスバックのような荷物二つにギターらしきバッグがひとつ。あちこち持ち運ぶには少し多すぎる。

 「いいですよ」と言って、彼らは安心したようにどこかへ姿を消した。

 言った通り、10分後くらいに戻ってきた。

 たくさん学生がいる中で、なぜわたしに声をかけたのかは分からなかったけど、「この人なら安全そうだ」と思われたのなら本望だ。

 その後向かった授業では、すべての課題を出し終わったと思っていたら、出し抜けに来週〆切のプチ課題が出て、少々げんなり。

 そのあとは仕事を片付け、オランダ人に教えてもらったアプリで天気をチェック。

 雨が降りそうだったから、早めに大学を出て帰宅。

 賛否両論あるアプリだけど、雨予報は当たっていた。帰宅して雨足が強くなってきた。

2024年10月10日 修論のテーマが決まった

 修論のプロポーザルのフィードバックが返ってきた。

 本当は、防災や人権に関する調査や研究がしたかったけれど、一年にも満たないリサーチ期間ではとても足りない。

 人生を懸けて現場とアカデミックな世界を往復している人たちがたくさんいる領域だから、テキストやデータはたくさんあるけれど、それらに立ち向かうには、まだわたしの覚悟は甘い。

 とはいえ、日本に暮らしていたら、もしかしたら興味を持たなかったかもしれない。

 興味はあっても、切実さは薄かったかも。

 防災も、人権も、気候危機も、政治も、平和も。

 不謹慎かもしれないけれど、もっとカジュアルに話せるようになったらいいのになと、常々思う。

 どうしても、声に出したり話題にしたりするのが、おそるおそるになる。

 話題にすれば「意識が高い」「とっつきにくい」と見限られることもあるし、わたしも話す相手やタイミングを選んでしまう。

 でも、すべて誰にでも関係ある話題なのだよな。

 それを、どうしたら分かってもらえるかなと考えても、「分かってほしい」と思っているうちは分かってもらえないような気もしている。

 今後のキャリアや生き方を、ぼんやりと描きながら、自分にできることは何かを考える日々です。

2024年10月11日 見る側・見られる側

 週末は晴れ予報だったから、市街地へ。

 ユトレヒト市内の美術館を訪問。70ユーロほどしたけど、オランダ全土のほとんどの美術館に行き放題のカードを購入したおかげで、興味があまりない場所や展示へも「行ってみようかな」と思える。

自分でスケッチしてみようのコーナー
雨が降ったり止んだ理を繰り返していた
たまたま見つけたカフェが行きたくてGoogleマップでリスティングに入れていたところだった。ラッキー

 オランダは過去、さまざまな国を植民地化してきたわけだが、最近、ヨーロッパの美術館に行くと、展示物の多さや建物のうつくしさが、権力の象徴に見えてしまうことが、しばしばある。

 歴史的な絵画や彫刻を、時間を超えて見られるのは素晴らしいことだと思うけれど、一方で、「めずらしい」という第三者の目線が常に対象物に向けられてきた証拠でもある。

 文化人類学を勉強していると、観察者・研究者のエゴとどう向き合うかという問いは無視できない。

 同時に、オランダに来てから受けている授業のすべて「論じる側の特権」に繰り返し言及され、さまざまな国を支配し、時には文化を蹂躙してきたであろう歴史に対する反省を感じる。

 ラトビアにいた時よりもオランダの方が、「我々は特権側であることを常に意識せよ」というリマインドが多い印象。

 明日は隣町へお出かけ。

 晴れたら自転車で行こう。30キロくらいあるけど。

2024年10月12日 初めての街へ

 友達に誘われ、Amersfoortという街へ。

 自宅から自転車で1時間かからないくらいの距離。もちろん自転車で。

 バイパスのような車通りの多い道でも、森に近い地域でも必ず自転車専用道路がある。

 長方形を組み合わせたカラフルなアートが有名な、モンドリアンという芸術家は、この街出身らしく、美術館があったため訪問。

 もちろんミュージアムカードが使える。

 1時間少しですべての展示を観られる、ちょうど良い規模感だった。

 お腹ぺこぺこだったからベトナム料理を食べる。

 市街地から少し離れた中古屋さんへ。地元の人が集まる感じで、値段も手頃。

 置いてあるものも、個人の自宅から集められたものが雑多に並んでいて、ユトレヒトやアムステルダムの中心地のスリフトショップより、垢抜けない感じがしておもしろかった。

子ども服のコーナーには大量のミッフィ

 もしオランダに長く暮らすなら、こういう場所で家具や家電を選ぶのが楽しいのだろうな。お気に入りの食器とか、集めたいな。

 物欲を抑えるのに必死。

 その後、たまたま入ったカフェの雰囲気が最高すぎて、2時間くらい居座っていた。

カップルで営業しているようだった
家の近所にあったら絶対通う

 一緒に行った友達と、政治の話で盛り上がる。

 パレスチナとイスラエルの戦争の話を真剣にできて、本当にうれしかった。

2024年10月13日 内省する日

 昨日、30キロくらい自転車を漕いだためか、今日はエネルギー切れ。

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