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アムステルダム初上陸 #交換留学日記 5


2024年9月16日 エココンシャス

 朝早く大学へ。

 まだ暗いうちから出発する感じ、いよいよ学生が板についてきたな。

 オランダ全土かは分からないけれど、ユトレヒト大学ではほとんどの学生が自分のコーヒーカップやタンブラーを持ってきている。

 自販機のようなコーヒーマシンもあるけど、それらにコップがついていないこともある。

 自前のタンブラーが当たり前なのだ。

 飲み終わったら、トイレの手洗い場で流して洗っている。

 この洗浄方法が、日本の衛生感覚だと不足な感じもするから、もう一歩違うアプローチが必要だと思うけど、わたしは彼らが自分のタンブラーにコーヒーを淹れている風景がとても好き。気分がいい。

 ペットボトルを持ち歩いている人を、ほぼ見たことない。持っていても、中身は水ということも(リユースしていると思われる)。

 午後は、グループプレゼンのためにクラスメイトと集まって相談。

 あいかわらず頭フル回転で沈黙しがちだけれど、前より少し、自分のことを知ってもらえたかなと思う。

友達と食べたベトナム料理。元気出た

2024年9月17日 変わるのは自分から

 昨日のグループプレゼンで、やっぱりどうしても貢献度が低かったなと反省したので「もう一つ別の課題については、わたしがドラフトを作るよ、ディスカッションの間、沈黙しがちで申し訳ないから」とメッセージを送った。

 でも「まったく気にしないで!」という返信をもらい、朝から涙ぐむ。

 20代(と思われる)女子たちに励まされる30代……。

 さんざん「オランダ人は直接的に意見を言う」と聞いていたから、黙っているのをなんとか避けたくて、というか、思っていることはしっかり伝えようと心がけてはいる。

 が、やっぱりどうしても「これを言ったら失礼かな」とか「引かれるかな」とか考えてしまう。考えている間に会話は進む。

 相手を思いやっているといえば聞こえがいいが、どうしても自分の臆病さが目につくから、なんとかこのコンフォートゾーンをぶちこわしたい。

 とはいえ、物言いが直接的と言われるオランダ人の彼女たちが「気にしないで」と言うならば、本当にそう思っているのだと素直に受け取れて、だからちょっと安心してウルッときたのだった。甘えてはいけないけれど。

 午後は、別の授業の課題のレポートを、初日の授業で知り合った学生たちと見せ合って分からないことを質問しあった。

 彼らも各国から来た留学生だから、よりインクルーシブで助かる。分からないことを分からないと安心して言える。

 帰宅に向けて外に出た19時台、まだ明るい。

 自転車通学も慣れてきて、Googleマップをいちいち確認しなくても走れるようになってきた。

2024年9月18日 ユトレヒト大学の仕組み

 自転車、気持ちがいいんだけど顔面に小さい虫がガンガン飛んでくる。

 でも、そんなことが気にならないくらい天気がいい。

お願いだから晴れの日が1日でも長く続きますように

 今日は課題を二つ、提出した。

 ユトレヒト大学だけなのか、オランダの大学は大体そうなのか分からないけれど、1学期が、ふたつに分かれている。

 9月と10月で1スロット、11月と12月で2スロット、1月は試験期間、というふうに。

 1スロットで3コース、2スロットで2コースを受講する。

 単位だけを考えれば5つもコースを取らなくてもよかった。

 けれど、せっかく新たな環境に行くのだし、と張り切った。

 張り切りすぎたかも、と思うが、日が短くなって天気に癒される日が減るであろう後半のスロット2は、ふたつしか授業を取らないから、今のうちにがんばろう。

 2ヶ月かけて一つの授業が完結するから、どのコースも展開が早い。

 宿題もどんどん出るし、プレゼンも再来週にすでに一つ控えている。

 短期間でぎゅっと集中して勉強するのも、メリハリがあって悪くない。

毎回立ち止まる通学路の農場。羊がたくさんいるけど今日はなぜか遠くに群れていた

2024年9月19日 にんじんをぶら下げながら

 気合を入れたいとき、だいたいいつも小さいご褒美と、大きいご褒美を自分に用意する。

 長期間なら「大きなプロジェクトを完遂したら髪を切る」「イベントが終わったら旅に出る」など。短期間なら「原稿を出したら美味しいパンを買う」「レポートが終わったら友達と遊ぶ」など。

 大なり小なり、にんじんをぶら下げ、自分を鼓舞してきた。

 今回は、アムステルダムに友人と2泊3日過ごすのを励みに、一週間の授業を乗り切った。

 日本の友人と異国で再会すると、朧げに、パラレルワールドに迷い込んだ気分になる。

 「わたしは今どこにいるんだっけ」というような。

 とにかく、やりきったから今日と明日は思い切り遊ぶぞ!

2024年9月20日 アムステルダム初上陸

 アムステルダムは、ユトレヒトから電車で30分くらい。

 こちらに暮らし始めて気づいたが、オランダは市街地同士の距離が近い。さらに、オランダ人の学生は公共交通機関が無料らしい。

 だから、アムステルダムとユトレヒトを往復して、通勤・通学するのは珍しくないし、もっと遠くの街からユトレヒト大学に通っている学生もいる。

 けれどわたしは空港を出てから一度も街中へ出ていないから、アムステルダムは初上陸。

宿泊した宿は船を改装したホテル。寝室のある部屋は小さいが景色は最高

 港の間を船が運行し、地元の人がバスや電車のように利用する様子は、鹿児島の桜島を思い出させた。

セントラル駅と宿がある港を20分ごとくらいに往復している

 日中は、ゴッホ美術館に行ったり、美味しいシーフードを食べたり。

事前予約制だと知らなかったが当日にチケットが買えた
世界中から集まる人たちで常に混雑

 友人がオランダ産のチューリップや花の種を探したいというので、偶然見かけた温室の連なるマーケットへ。

球根が剥き出しで売られている様子は興味深かった

 ちなみにアムステルダムでも、ミッフィは、日本ほどの人気はない印象。

 どちらかというと子ども向けのおもちゃ屋さんなどに、かわいいグッズが置いてあることが多い。

 それでも、アムステルダムにさえサンリオのキャラクターのぬいぐるみがたくさん売られているショップがあるから、日本の「かわいい」は完全に独自の販路を牛耳っている(いいか悪いかは別にして)。

 2万歩近く歩いて、市街地を満喫。

 予定していた美術館や博物館をすべて回れたわけではないし、オランダ案内人としては全く機能しなかったけれど、一緒に過ごせただけで嬉しかった。

 同時に、慣れないオランダ暮らしで無意識に緊張していたんだなと自覚した。それくらい、心がゆるんでいたのか、トラムを2回くらい間違えた。

2024年9月21日 晴れを無駄にしないで

 早朝、友人は帰路に発った。

 わたしは遅れてチェックアウトし、どうしても美味しい朝食が食べたくて、少し中心地からは離れたエリアのパンケーキ屋さんへ。

 ヤギのチーズとデーツが乗った、濃厚なパンケーキを1時間かけてゆっくり食べた。

 その後、レンブラントの美術館でしっかり2時間鑑賞。

レンブラントの家を改装した美術館。絵の制作部屋やダイニング、キッチン、弟子たちのアトリエなども再現されている。基本、キャプションは全て音声案内で日本語バージョンもあった

 大学で知り合った人たちが、軒並みおすすめしていた「ミュージアムカード」を購入していたから、無料で入館できた(ゴッホ美術館も無料だった)。

 帰りの電車でウトウトしつつ、大きなご褒美を獲得したからには、課題を頑張らないとと思い、そのまま大学の図書館へ。

 簡単なQ&Aのシートを記入していたら、香港人の友人から「今からお茶しよう」と連絡が。

 来週からしばらく雨模様だとアプリで確認済みだったから、晴れのうちにお出かけし尽くしたかった思いもあり、「あと1時間で終わらせるから、その後合流しよう」と提案し、2時間ほどお茶してしゃべって解散した。

ユトレヒトも綺麗な街だと改めて。

 友人とのアムステルダム旅ももちろん、こういう「今から会える?」ができる関係性にも、救われる。

 来週に備え、雨靴を購入。

 日本からは、重量オーバーで持参できなかったから、ユトレヒトに来てからずっと安くてかわいい長靴を探していた。

 これで来週からの雨も耐えられる。耐えるぞ。

2024年9月22日 日常と次なるご褒美に向けて

 旅から帰ってきたし、宿題もモリモリあるし、おとなしく食料品の買い出や洗濯をして、来週に備える。

 そして大学の図書館へ。

 事前予約制の席と、いつでも誰でも利用できる席が混在していて、ちょっと分かりづらい。

 日曜日に関わらず、たくさん学生がいて、フリーアドレスの席はほぼ満席。

 グループワークをしている学生も、相変わらず多い。

 秋学期が始まってすぐ、グループワークがあり、しかもそのメンバーは知らない学生同士で自動的に組まされている様子。

 聞けば、日本で言う小学低学年の頃から、グループワークが組み込まれており、知らない人とコミュニケーションをとって、物事を進めていくのに慣れていると言う。

 日本でも、先生の言うことをメモしたり記憶したりする勉強は、昔よりは比重が減ったのかなと思うけれど、どうなのだろう。

 同じ集団行動でも、意識の置き方や思いやりの矢印の方向が、日本とオランダで違うのが興味深い。

おまけ:アムステルダム写真集

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