読んで読んで読みまくる|ラトビア日記 #7
2023年10月7日 ラトビアに来てからやっていないこと
昨日から、風が強い。雨が冷たい。曇りがち。
キラキラした秋は束の間、冬はすぐそこ。というか、もう一歩踏み出している。
体調不良から、すっかり通常モードを取り戻したため、いくら荒天だろうとジッとしていられない。
ということで、教えてもらったカフェへ。どれもおいしそうなヴィーガンメニュー。
わたしはとうふパンケーキを食べた。大豆の風味がしっかりして、一つひとつ手ごねして焼いたのがよく分かる、素朴なパンケーキだった。
お店の雰囲気も最高。全メニュー制覇したい。リガに来たら、ぜひ訪れてほしい。
ここだけでなく、長居できるカフェがあちこちにあってありがたい。
ヴィーガンメニューも、市内に選択肢がたくさん。
ラトビアに来て今まで、植物性の食事に絞っている余裕がなかった。大豆製品よりお肉が安いし量が多いという現実もある。スーパーなどでも、魚よりお肉の方が品数は多い気がする。
オイル漬けにされたニシンや鮭も美味しいが、しょっぱいからたくさんは食べられない。
日本にいたころ、ほぼ毎日やっていたストレッチや筋トレも、ラトビア生活が始まってからは、ぜんぜんやっていない。
山にも登っていない。森の中にも行けていない。
ルーティーンになっていた習慣から、しばらく離れてしまっていた。
でも、そろそろ、ここでの暮らしのルーティーンを作っていきたい。
2023年10月8日 勉強させて
朝から冷たい雨が降っている。
日本から持ってきた、NANGAのダウンを使うときが来た。
北海道下川町のマイナス20度まで下がる冬を、4年間、いっしょに超えてきた愛用ダウン。極端な話、半袖の上にこのダウンを着れば30分くらい出歩けるんじゃないかと思うほど、あたたかい。
かさばるから迷ったけれど、持ってきて本当によかった。
10月が始まって間もないが、もうダウンを着るタイミングか。もう少し先だと思っていたけれど。
ラトビア大学の新しいキャンパスの図書館に行きたくて、早起きしてバスに乗る。日曜日は、やっぱり人が少ない。バスの乗客は途中までわたし一人だけだった。
新しい図書館は、土日含めた毎日、夜遅くまで開館しているというウェブサイトに書いてあった。
「最高じゃん」と、図書館へ向かった。
しかし。
なんと、閉まっていた。
冷たい雨の中、せっかく来たのに。建物は真っ暗。誰もいない。周辺に人影もない。
ラトビア大学の他の図書館や、ラトビア国立図書館は、日曜日は完全にお休み。
うーん、じゃあまたカフェに行くか。ということで、市街地のカフェに5時間近く居座った。
大学の図書館の開館時間は、平日も短い。勉強する場所が限られるのは不便だ。
カフェでの出費も、コーヒー1杯が数百円でとはいえ積みかさなるとまあまあな額になる。
家だとダラけてしまうし、短い時間でいいから、土日も大学の図書館を開けてほしい。テスト期間中は、例外的に開館したりするのかな。学生諸君は、どこで勉強しているんだろうか。そういえば公民館みたいなところ、ないのかな?
カフェの窓際の席で資料を読んでいたら、あられが降ってきた。もう冬だ。
と、思っていたら陽が差したり、雨が降ったり。山の天気みたい。
課題を一区切りして、カフェを出て歩き始めると、スニーカーの底が完全にはがれた。ベロンベロン。
もともと日本であまり履いていないスニーカーだったが、買ってから時間が経っていたためか、石畳に耐えられず、出国後1ヶ月ちょいで完全にダメになってしまった。
寒いところに住んだことがある方なら分かると思うが(そうでなくても分かるか)、あられが降るような天候で、靴がダメになるというのは致命的。足先が冷えると身体はすぐ冷える。
すぐ近くの建物に避難して、新しいスニーカーを買いました。
ところで、ヨーロッパの集合住宅は、セントラルヒーティングが主流。熱水が専用のヒーターを通り、その熱で部屋を温める。
わたしが住んでいるフラット(集合住宅)は、建物全体の管理者がセントラルヒーティングを稼働させる方式。個人で温度を上げたり下げたり、スイッチを入れたり消したりできない。
日中でも10度を下回る日が続いているが、うちは、まだそのセントラルヒーティングが稼働していない。
大家さんに聞いたら「来週から入る」とのこと。
部屋には小さい電気ヒーターが設置されているから、寒くて我慢できないわけではないが、シャワールームやキッチンが肌寒い。
早く部屋全体があたたかくならないかなあ。
2023年10月9日 模様替えとぬか漬け
毎日カフェに行くわけにもいかないから、今日は結局家で課題をやった。
少しでも快適な空間にするために、窓際に机を移動。
近くに交差点があるから、バーチカルブラインドを全開にすると通行人からこちらが見える。
秋が深まり、日の出の時間が遅くなり、雨風が続く日々だと、なかなか日差しが入ってこないが窓際に座るだけで気分がだいぶ変わる。ほどよく聞こえてくる雑踏もちょうどいい。
日本から持ってきたぬか床を使って、昨日やっとぬか漬けをつけてみた。
にんじんと、きゅうり。なぜかラトビアのにんじんは甘味が強い。でも、美味しく漬かっていた。漬けるためのタッパーが大きすぎたので、小さいのに引っ越しさせたい。ぬか床を増やすには、パン粉を使ってみるといいと、日本にいる間にアドバイスをいただいた。早く挑戦してみたい。
約2週間ぶりに、大学の授業に対面で出席。英語でまともな会話をしたのも久しぶりな気がする。オンラインで受講すると、会話というより一方的な視聴しかできないから。
明後日までに読まなきゃいけないテキストがあと8本あるんだけど、いけるんだろうか。明日は図書館に行こうかな〜。ふにゃ。
2023年10月10日 英語→日本語→英語
ひさびさに、風がない。雨もない。青い空。秋晴れ! 気温は5度くらい。これがラトビアの秋らしい。
国立図書館に向けて出発。結局、開館から閉館まで、ずっといた。
座ってばかりいたから、家へは歩いて帰った。
自宅に着いたら急いでごはんを食べ、オンラインでクラスメイトと明日のディスカッションの準備。
途中、声が聞き取りづらくて「あれ」みたいな間があった。とっさに出てこなかったフレーズが「こもったような声がする」。
「こもったような声」って英語でなんて言うんだろ。単純に「聞こえづらい」なら伝えられるけど。そもそも英語に直訳したらおかしな表現になるかな?
直前まで、課題に出された論文を読んでいて、英語から日本語に訳しながら読んでいたせいで、オンラインの打ち合わせがなかなか英語脳にならず、たいへんだった。
論文を日本語に訳すの、やめようかな……英語を英語のまま理解できるなんて、ありうるんだろうかと疑問に思いつつ、でもその訓練をしないと膨大な資料に着いていけないし、その方が結果的に楽になる気がする。
音で覚えているフレーズやニュアンスはあっても、アカデミックな英語は、知らない単語や言い回しもたくさんあるから辞書は欠かせない。
とはいえ、ずっと脳内Googleトランスレーターフル稼働だと英語→日本語→英語のスピードのままで、テンポがいい議論には着いていけないんじゃないかと、今日少し不安になった。
ただ、日本語でもぜんぜんテンポのいい会話ができない(言葉が出てこないことが多々)だからなー。
海外にいても大学院に行っても、一人で黙々と進める作業も多いから1日誰とも喋らないということもめずらしくない。せめて誰とも会わない日は、日本でやっていたような音読や英会話AIのレッスンをちゃんとやったほうがいいなと反省。
2023年10月11日 混乱を避けるには
寒い。また雨。曇りだと朝の日差しがほとんどない。
早めに大学の図書館に行き、課題をする。大学もまだセントラルヒーティングが通っていないのか、肌寒い。
今日は、担当の順番が回ってきたので、授業でグループプレゼンテーションをした。お題はドイツの社会学者・マックス・ウェーバーの著作ふたつと旧ソ連の自治体予算の分析論文。
文字面だけ見ると「なんじゃそりゃ」という感じだが、北海道と鹿児島の経験があるから「分かる〜〜」という事例や分析がたくさん出てきた。要するに「小さい政府」を目指したいがそれに伴う弊害もあるよねという話。
マックス・ウェーバーの著書は、ふたつともおもしろかった。「プロテスタントが資本主義を加速させた」という話と「個人の価値判断と科学的事実(ファクト)を混同せずに経済倫理を保つには?」という話(意訳)。
いろいろな方が日本語に訳されているのを見つけたので日本語でも読みたい。
英語は、あいかわらずへなちょこりんだけど、話すことに対しては意外とビビらない。まちがっても、ゆっくりでも、ほとんどの人は黙って聞いてくれるし、何かしら反応してくれる。無視しない。だいじ。
まちがったっていいじゃないか、英語が母国じゃないんだもの。という開き直りがちょうどいいのかもしれない。
今回新たに気づいたのだけど、グループ発表用のメモを日本語で書くのはやめようと思った。逆に混乱してしまう。昨日感じたことと同じだが、英語→日本語→英語の脳回路が混線しがち。
海外に留学している人の中には、読み物の課題は全文日本語にするという人もいるみたい。
わたしも今回いくつかの文献はAIの力を借りて、ぜんぶ日本語にしてみたが、やっぱり混乱してしまった。英語の文章を英語で解釈して英語でまとめられるようになりたいね。
母国語でないと、なんとなく上滑り感というか、内容がなかなか腹落ちしない。でも、腹落ちできる瞬間もある。その瞬間を重ねていきたいなあ。
2023年10月12日 がんばりました
午前中、母に送ってもらった書類が日本から届く。予想より早くて助かった。
以前、別件の書類送付のときもEMS(速達便)を使ったにもかかわらず、日本を出発して10日以上行方不明だった。
大事な書類が世界のどこかで迷子になっているのかと、焦って母に郵便局に追跡調査までしてもらったのに、結局突然ラトビアに届いた。紛失してなくてよかったが、なぜ20日以上もかかったのかは、いまだに謎。
今回はEMS本来のスピード感(よりちょい遅いくらい)の10日後に無事到着。速達便だからなのか、事前に在宅しているか確認の電話がかかってくる。
再配達依頼もできるが、時間の枠がざっくりすぎるので、朝早く図書館に行く予定を取りやめて家で課題をやり、郵便物を受け取った。
机を窓際に移動させたことで、だいぶ心持ちが変わった。やっぱり、外を見ながら読んだり書いたりするのがいいな。
夕方からは授業。
一コマ目は、いつもの倍くらい学生がいて、びっくり。初めましての学生が何人か。彼らはErasmosの学生たち。
ヨーロッパではErasmos(エラスモス)という交換留学制度が主流で、いろんな国からいろんな学生が、いろんな大学に半年だけとか一年とか留学する。
制度についてあまりまだ詳しく調べていないけれど、わたしも申請すれば留学できるみたい。チャンス!
一コマ目は国境についてのディスカッション。文化的国境、軍事的国境、地理的国境、いろいろあるけどそれぞれの課題や可能性、違い、変動可能か、みたいなことを小さなグループに分かれて話す。
いろいろとホットな話題すぎて、神妙な面持ちになる学生もちらほら。
イスラエルからの留学生は、今日の授業に来ていなかった。ものすごく親しいわけではないけど、なんとなく、心配だから、あとで連絡してみよう。
そのあとは言語学。学部時代から興味がある分野。
長丁場だったけど、よくがんばった。木曜日が一番もりだくさんだ。
その勢いで、編みかけだったニット帽を完成させた。途中針の方向を間違えたりしてちょっといびつだけど
よいのだ。
冬に間に合った。ワインレッドの、ラトビア産ウール100%の毛糸。ポンポンをつけるかどうかは、迷い中。
2023年10月13日 アナログな学生に必要なもの
なんて声をかけていいか分からないけれど、イスラエルのクラスメイトにメッセージを送る。
こういう行為すら、なんの気休めにもならず自己満かもしれない。でも、10年前にテルアビブ、エルサレム、ベツレヘムに行った記憶は今もありありと思い出せるし、「いろんなところへ行ってどこが一番印象的だったか」という質問を受けるたびに必ずイスラエルの話をするくらい印象が強いから、どうしても何もしないわけにはいかなかった。
午後は毎日変わり映えしないが課題の論文読み。ほんと毎日読んでばかり。でも少しずつ、読むスピードは早くなってきたかな? というか、最初の課題が古い英語で読みづらくて苦戦しただけだろうか。
ところで、あまりにも読むものが多いうえに、PDFだと頭に入ってきづらいアナログな人間なので、ラトビア暮らし1ヶ月ちょい経ってすぐ、コピー機の購入を決めました。
使用済みのコピー機を安く売ってくれるサイトがあって(ジモティみたいなやつ)明日、それを引き取りに行く。コピー機、40ユーロ。ちなみに、この前印刷屋さんで大量印刷したときにかかった印刷代も40ユーロ。
今後何度も印刷屋さんに通うことは必至なので、コピー機を買うことに。もし手放すことになっても売れば良いし。
そういえば
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