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体も時間も有限だけど、なるべくほんものに触れ続けたい #交換留学日記 23
2025年1月20日 “まつりごと”をしたい
海外に暮らし始めて1年以上経つが「税金の使い道に納得できないから日本に納税したくない。だから帰国しない」と話す方と、数人ほど出会った。
帰国したくないという嫌悪感や諦観に変わるほどの不満や理不尽さを感じている人の切実さが、財政を動かす当事者にはどれくらい伝わっているのかな。
「30年後、日本は無くなっているかもね」と、御歳80代になる、畑の師匠の台詞が脳裏によぎる。
文化の強度はあっても、政治が弱すぎる。
あまり強い言葉は使いたくないし、すべてを知っているわけではないが、政治のことを考えるほど底抜けの闇を見せられている気分になる。
教育と社会保障にお金をかけない政策に、未来はないと個人的に思う。
気候危機や食料問題を軽率に扱い、目先の利益と内輪ネタのノリだけでよろしくやって、泣き落としで何も決まらない会議と曖昧な議論で「進歩がありました(キリッ)」 みたいな状況を永遠に繰り返していたら、われわれ市民が、そのごく一部の人たちによって作られた構造の犠牲になる。
だから選挙に行かなきゃいけないのだ。
甘い蜜をしゃぶり尽くし、未来のことなどどうでも良い人々に未来を選ばせているのは、「一人で行動しても変わらない」とあぐらをかいている、われわれなのだから。
ざんねんながら、何も考えなくても生きていけるほど平和ではない。
海外にいると、日本を礼賛する声も多く届くが、目を覆いたくなるような劣悪さを感じることも多い。
性的コンテンツへのリテラシーの低さ、政治腐敗、食糧危機、気候危機への無根拠な懐疑。
そりゃ「まだ大丈夫」だ。崩壊のはじまりは、多くの人にとって無味無臭なのだから。
「まだ大丈夫」が、このさき何年もつだろう。
カリフォルニアであんな山火事が起きていながらパリ協定から脱退して気候変動対策をおざなりにするアメリカもどうかしているし、農家さんや教育者、医療や福祉にまつわる人たちの給料が全然上がらない(むしろ相対的に見て下がっている)日本の制度もどうかしている。
なんで少し考えれば分かるような、文化の足腰を担う社会構造が、こんなに脆弱で、雑に扱われるんだろう。
政治家は、政治家になりたい人しかいないの?
まつりごと(政)は、語源はともかく、「祭り」と同じ音を持つ通り、老若男女が活発に参加するものでありたい。
本当に理解できないし、考えていると息が苦しくなる。
2025年1月21日 希望と絶望を行ったり来たり
誰かにとって切実なことが、わたしにとっては二の次、三の次であるように、わたしにとって切実なことでも、周りはいまいちピンとこない、という状況は、どんなトピックでも起こりうる。
だから、同じ問題意識を持つ人と出会えると勇気が出るし、自分の感覚を肯定してもらえたような気分になる。
でも、その心地よさにひたりすぎると、切実さを共有できない人に対して冷たくなったり、「無知だ」と勝手に失望したりする。
似た感覚を共有できる人と、できない人の、あいだを行ったり来たり。
「やっと分かり合えた」の安堵と「ぜんぜん分かり合えない」の絶望を渡す、永遠に不安定なヤジロベエの上にいる。
どちらか片方に固執すぎると、初めこそ安心すれど、感度が腐っていくし、モラルもズレていく。
危ない危ない。
2025年1月22日 ハーグへ
オランダを発つ前に、できるだけあちこち巡りながらミュージアムカードも使い倒そうと、海の近くの街・ハーグへ。
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一日で美術館を二ヶ所はしご。
最初は「Mauritshuis」。
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階数で壁紙の色が分かれていて、宗教画が少なく(信心と正解が圧縮されて放出されているようで、基本的に宗教画が苦手)、庶民の生活を描写した絵画や静物画がちょうどいい間合いで展示されていて(多すぎず少なすぎず)、好きなタイプの美術館だった。
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次に向かったのは「Kunstmuseum The Hague」。
外観が、わたしが生まれた病院に似ていて、中も古く、照明も暗めだった。
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美術館を後にし、街中を散策。
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言わずもがな、天気はいまいち。
大学もあるから学生も多く暮らしているだろうけれど、同じような大学ベースの街であるユトレヒトより、少し大人な、ビジネス街に近い空気を感じた。
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2025年1月23日 アンネの家へ
早起きして、Googleマップで見つけたブックカフェへ。
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ハーグを出て、事前にチケットを予約していた「アンネの家」へ。
オランダにいる間に、絶対行きたかった場所の一つ。
以前、チケットが完売して諦めたから、二度目の正直。日本語の音声ガイドもあった。
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10年以上前、アウシュヴィッツを訪れた際、十分な英語の理解力もないのに英語ガイドで見学し、現地で起きたことの半分も理解できたようなできないようなままだったから、アンネの家では日本語ガイドを選んだ。
でも、展示物の説明文も丁寧に書いてあるから、英語でも問題ないかもしれない。
わたしの身長(163センチ)でも、少し頭を下げないと入れない隠し扉の入り口を上がると、アンネたちが息を潜めて暮らしていた部屋を見ることができる。
ユダヤ人は、外出する時間も、買い物する場所、遊びに行く場所もすべて制限されていた。トイレの水を流すのも、時間によっては控えていたらしい(物音をさせないようにするため)。
アンネの家族は、ドイツ系ユダヤ人だが、日記はオランダ語で書かれていたらしい。アンネは「ユダヤ人かどうか関係なく一人の人間として生きていける日が、きっと来る(意訳)」と日記に書いている。
「人間は、何度同じことを繰り返せば気が済むのだろう」と思わずにはいられないし、ここを訪れた人は同感してくれるのではないだろうか。
英訳版の「アンネの日記」を買った。
まだ、うまく見てきたことを消化できないから「アンネの日記」を読み終わってから改めて書き残したい。
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2025年1月24日 虫刺され
ラトビアに来てすぐの頃も、オランダに来てすぐの頃も、なぜかすぐ虫に刺された。
そして、もうすぐオランダを発とうという今になり、また虫に刺された。
おそらく蚊だと思われるが、なぜかものすごく腫れる。
日本の蚊とは、種類が違うのだろうか。
あとに残るかな、いやだな。
2025年1月25日 やっぱり’編集’が得意みたい
ユトレヒト市街地のカフェへ。
友人とともに、仲良くなったカフェのオーナーに、挨拶へ。
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いろんなことをお喋りして、気づけば明るかった外が暗く、クラブミュージックが聞こえてくるような時間に。
カフェのオーナー(正式にはオーナーではないが)を務める女性が、店舗の今後の展望を話してくれ、わたしなりに「この人のこういうセンスと合いそう」など、提案したり情報をシェアしたりした。
カフェから家への帰り道、自転車を漕ぎながら、やっぱりわたしは、誰かの話を聞いていると異なる分野やフィールドで活動する人たちの共通点や近しい勘所を見出して、つなげたり、引き合わせたりするのが好きなんだと自覚した。
好き、という表現は、少し違うかも。
まったく異なる文脈で、まったく異なる人から、まったく異なる分野の話を聞いていたら、「あれとこれは繋がるのでは」と勝手にマップとシナリオが広がっていくのだ。
わたしの提案したコラボレーションが、時には余計なお世話になるリスクはあるけれど、このコラボレーションの編み図は、自ら汗をかいてつかんだ感覚や経験がベースにあるから、きっと相性ばっちりだという、ほのかな確信がある。
それに、コラボレーションが実を結んで、シナジーが生まれた瞬間に立ち会えたときは、ジワッと嬉しい。
しばらく長い間、そうした現場に居合わせていないな。大学院を卒業したら、どのコンテクストかはさておき、やっぱり’編集’に携わる人でありたい。
これだから、ナマモノを追い続けるのは辞められない。
2025年1月26日マーストリヒトへ
オランダで最古の街と言われる、ベルギーとの国境付近にある南の街・マーストリヒトへ。
友人におすすめされ、オランダ人の知人も絶賛していた。
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マーストリヒトで作られたトンネルのツアーに参加した。このトンネルはベルギーとオランダの国境をまたいでいる。
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トンネルの素材はほとんど石灰岩。かつて地球に住んでいた生物の化石が時間をかけて分解され、道路の拡張や建物の建設のために切り出され、地球の恩恵を受けているのだというガイドさんの解説が印象的だった。
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オランダに来る前は、町の名前も知らなかったが、1時間半ほどのツアーは満足度が高かった。
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今週の雑記: Xを辞めると決めた理由
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