スウェーデン一人旅。ますます迷子になる #ラトビア日記 23週目
2024年1月29日 環境先進地・ヴェクショー
8時過ぎの電車に乗るため、朝7時にはコペンハーゲンの宿を出発。
おいしいコーヒーを飲みたいなと、駅構内をさまよい歩くも、どこもピンとこず、結局セブンイレブンのコーヒーを。
日本のセブンイレブンのコーヒーも美味しいから、デンマークのセブンもイケるのではとオーダーしたところ、とても美味でした。
コーヒーを飲みながら電光掲示板をぼーっと眺めて数分後。
わたしが乗る予定の電車がキャンセルされたという表示が。
やっぱりな。
国境を越える電車だし、なんとなく一筋縄ではいかない気がした。
ということで、すぐチケットセンターに駆け込む。
入り口付近にいたマダムに、代わりのルートを教えてもらい、スウェーデンの都市の一つ・マルメに向かう電車に飛び乗った。
マルメで乗り換え、向かうのは、ヴェクショー。
コペンハーゲンとは打って変わって、小さな街。
2030年までに木質でエネルギー自給100%を目指し、石油に頼らない暮らしを街全体で実現しようとしている。
せっかく来たので、リンネ大学まで歩いてみる。ラトビア大学に行くことが決まる前、進路の候補の一つだった大学。
大学付近まで到着したら、朝からまともなごはんを食べていなかったので(移動日あるある)タイ料理屋さんへ。
ちょっと高かったけど、1時間以上いすわって、ゆっくりたっぷり食べた。
リンネ大学は、キャンパスや寮がぎゅっと一箇所にまとまっていた。
ラトビア大学はキャンパスが点在していて、学生の集まる場所が、街中のカフェになりがち。
でもリンネ大学自体が市街地から離れているため、学生が学習できるスペースや会議室の数は、ラトビア大学よりずっと多い気がした。
自然の中でのアクティビティが好きで、勉強したいことが明確に定まっているなら、集中できる環境だと思う。ただ漠然とした目的だと、ちょっとしんどいかもしれない。
もし運よくリンネ大学に行けることになったとして、今とはぜんぜん違う生活や感覚を獲得していたかもしれないなと思う。
エネルギー政策に注力しているヴェクショーだが、その取り組みがすぐに理解できるような建物や施設などは、見つからなかった。
街中を走るバスも、電気自動車ではなさそうだった。
役所の人や関係者の人の案内があれば、理解できること・気づくこともあるのだろうけれど、フラッと町を訪れたわたしのような人には、ヴェクショーの何が先進的なのか分かりづらいと思った。
湖を歩いていて見つけた煙突。何の施設か、後から検索したところ、ヴェクショーのエネルギー会社だと分かった。
煙は、木質バイオマスボイラーから出る煙だろうか。
湖沿いには、新しいマンションがたくさん建っていた。
まだいくつか建設中で、これからどんどん増える雰囲気。ぜんぶ、高気密・高断熱のパッシブハウスだと思われる。
写真だと分かりづらいが、外壁は木材で覆われている。
ヨーロッパの住宅はコンクリートや石造りの家が多いから、木質の外壁はめずらしい気がする。これもヴェクショーらしい住宅開発の一貫かもしれない。
住宅近くをぐるぐる回ったが、入居者募集以外の看板や資料などはなかったので、詳細は分からない。
リンネ大学からホテルまで、往復10キロくらい歩いただろうか。
お昼のタイ料理は消化したかな。
2024年1月30日 ストックホルムへ
朝、7時少し前に起きる。
ものすごい、暗い。しかも、朝靄がかかっている。
ラトビアより暗い。
コペンハーゲンが北欧のイメージに反して日が長く、日中は晴れていたから、朝のこの暗さは、なおさら「北へ戻ってきた」感を強める。
ヴェクショーではホテルに泊まったため、広いベッドと洗面所を優雅に使えた。朝食も食べた。
街中に出るが、人通りがまばら。昨日ヴェクショーに到着したのが昼前だったが、午後から活気が増したように感じた。
活動開始時間は、ラトビアの人たちのそれに近いのかもしれない。冬の始動時間は、11:00以降。ゆっくりなのだ。
今日はヴェクショーの駅から電車でストックホルムへ向かう。
また予定通りいかないだろうと推定し、早めに駅に着くも、数分遅れたくらいで電車はほとんどオンタイムだった。疑って、ごめんね。
ヴェクショーから、いわゆる在来線に乗って隣の駅へ。
そこからストックホルム行きの、急行列車に乗り換える。
この急行は外見こそ、いかつい貨物列車のようだったが中は綺麗で、日本でいう新幹線にあたるのだと思う。電源は確認できなかったがWi-Fiはサクサクだった。
車窓から見える景色は、どんより暗い。コペンハーゲンに到着したときより、もやがかかっているせいか、一層暗く感じる。
ストックホルムのセントラルステーションを出て間も無く、教えてもらった「ファブリーク」というパン屋さんを発見し、すぐさま中へ。
オススメしてもらった、シナモンロールをいただく。カルダモンの風味が強く、見た目よりずっしりしていた。
ゆっくりお茶を飲んで、宿まで歩く。
駅から徒歩15分くらいの宿のドミトリーを予約したが、なんと今日は、わたししかドミ利用者がおらず、心置きなく荷物を広げられた。
その後、ストックホルムで一番行きたかったお店へ。
友人の家で飲ませてもらったお茶が、いい香りすぎて卒倒寸前だったのだが、そのお茶が、このお店のものだった。
ハーブのブレンドやネーミングセンスが最高。見た目もかわいい。香りもいい。
気になるものはすべて出してもらい、鼻がおかしくなるくらい香りを嗅ぎまくり、結局2時間近く吟味して、やっと選んだ5種を購入。
店員さんにも「友人の家で飲んだ、PALOMAのハーブティが美味しすぎて、絶対に来ようと思っていました!」と言ったら、とても喜んでくれ、お茶の説明もていねいにしてくれた。
決して安くないけれど、ストックホルムのメインの目的地だったから、大満足。
どれもとにかく香りが最高。お茶を飲んだあと、出涸らしを乾かしてポプリにしたいくらい。
この日は、購入したお茶のパッケージを枕元に並べて寝た。
2024年1月31日 セムラを求めて
スウェーデンのカフェはもちろん、セブンイレブンでも、この時期に売られているのが「セムラ」。
キリスト教由来の冬のおかしで、もともとは断食前に食べていたものらしい。
せっかくなら、美味しいセムラが食べたい!と思い、SNSで教えてもらった、ローカルの方おすすめのお店へ。
ローカルの人いわく「伝統的なセムラではないけど、美味しいよ」とのこと。
上下はパン生地に生クリームがたっぷりはさまれ、その下にはカルダモンとクミン、ほのかにシナモンの風味がして、アーモンドが散りばめられている。
もこもこの生クリームは、思っていたほど甘くなく(むしろ甘くない)ぺろっと食べてしまった。
教えてもらったお店はイートインができなかったため、ストックホルムの街並みを見ながら、公園のベンチで食べた。
その後、適当に街中を散歩していると、青空が見えてきた!
ずっと曇ったり、もやがかかったりしていたから、最後のご褒美だ。
今日の夜、リガに戻る。
ストックホルムの空港へ向かうまで、2時間ほど駅の近くのカフェで仕事をすることに。
パソコンを開いていたら、男性が一人やってきた。
彼はカフェの店員さんを気に入ったのか、フレンドリーに話しかけ「君の英語、上手だね」と言った。
作業しながら聞き耳を立てていたのだが、その男性はオーストラリアからの旅行者で、数日ストックホルムに仕事を兼ねて滞在しており、今日帰国予定だという。
女性の店員さんは愛想よく応じていたが、男性が、彼女の生い立ちに関する質問を矢継ぎ早にしていて、ちょっと「おいおい」と動揺してしまった。
彼女は彼の質問に素直に答え、両親がモロッコとチュニジア出身であること、彼女自身はストックホルムで生まれ育ち、生粋のスウェーデン人であること、英語は学校で日常的に使うため自然と覚えたことなどを、ていねいに説明していた。
ヨーロッパは、多くの国が地続きで、政策によって異国の人を受け入れたり拒んだり、時には支配したりしてきた。
だから、生い立ちを聞く行為は無粋だと、わたしは解釈している。
「英語が上手だね」と言うのも、言いたくないし、言われたくない。ラトビアでは言われたこともないし、言ったこともない。
──余談だが「日本語、上手ですね」という台詞も、正直好きではない。相手が「わたしの日本語、まだダメダメで」と謙遜したら「そんなことない」と返すことはあるけれど──。
スウェーデンはもちろん、デンマークやドイツでも、多くの人がさまざまな事情で暮らしている。
コペンハーゲンで、わたしが宿泊していたエリアはケバブ屋が多く、物価が高いコペンハーゲンではずいぶん助けられた。
最後に行ったレストランでは、ヒシャブを被った女性数名と男性数名、子どもたち数名の大家族が、4人がけのテーブルを4つくっつけて、盛大にごはんを食べていた。
彼女たちに対して店員が「シュクラン」と言ったのを聞いて、いわゆる日本人が憧れる北欧・コペンハーゲンのイメージが、気持ちいいくらいスッ飛んだ。
まさかコペンハーゲンで「シュクラン」を聞くとは思わなかった。アラビア語で「ありがとう」を意味する言葉だ。
ストックホルムでもタイ料理を食べたし、昨日チェックイン対応をしてくれた宿のスタッフはヒンディー訛りの英語だった。
ストックホルムのカフェにいたオーストラリア人の男性には、おそらく悪気も何もない。
ただただ、見た目で彼女のことを「スウェーデン人ではない」と判断し、好奇心から出た「英語、上手だね」だったのだと思う。
わたし自身、ラトビアで暮らし始めてから、相手の見た目から国籍を推察する行為に対して、日本にいたときよりずっと慎重になった。
まだまだ、見た目に引っ張られることもあるし、見た目で判断されることもある。
それに、見た目で判断されたほうが都合がいいときもあれば、不快なときもある。
誰も傷つけないことはできなくても、慎重な姿勢は忘れないでいたい。
あのカフェの店員さんが、嫌な気持ちならなかったことを祈る。
2024年2月1日 日常を取り戻す
久しぶり、ラトビアの朝。
あいかわらず、どんよりした天気。
旅の最中、運よく晴れが続いたから、太陽が恋しい。
たまった洗濯物を片付け、掃除をする。
日常が戻ってきた。
たった1週間の旅だったけれど、なんだかずいぶん久しぶりな気がする。
旅をするたび思うけれど、日常生活をときどき手放すこと、大事だ。少なくとも、わたしには必要だ。
2024年2月2日 何がしたかったんだっけ
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