見出し画像

凹んだりご機嫌だったり #交換留学日記 4

2024年9月9日 ずっと片隅で悲しい

 日本にいた時も、オランダに来てからも、ずっと消えない、どんよりした罪悪感のようなもの。

 イスラエルとパレスチナの戦争のことが、毎日ずっと頭の片隅にある。

 さらに、他の国でも起きている虐殺や迫害の被害者も増え、その多くは、こども。

 特に根拠はないけれど、こどもや若者に冷たい世界はだいたいどの世代に対しても冷たい世界になるという仮説がある。

 同じく根拠はないが、女性が機嫌のいい社会はだいたいどの世代のどのジェンダーの人も機嫌がいい、という仮説も。この話は今回あまり関係ないから触れないけれど。

 意図的にさまざまな国のメディアをフォローして、なるべく多面的な角度でニュースを見ようと試みるが、やっぱりどうしたって、こどもが殺されるのはおかしい。

 無力で無垢なこどもを、洗脳したり殺したりして、世界を、どこへ連れていきたいんだろう。

 途方に暮れると同時に、国際的な機関は、こうした虐殺を未然に防ぐためにどれくらい機能するのか、まったく疑わしくなってしまったのもかなしい。

 対処療法はできても、なぜ防げないのだろう。

 毎日ごはんが食べられて、勉強ができて、新しい友人とカフェでお茶とかしている合間にも、どうしても、被弾して頭が吹っ飛んだこどもの写真や、その遺体をかかえて泣き叫ぶ親の動画が頭によぎって、どうしたら今のこのわたしのおだやかさと、こどもが次々死んでいる理不尽が両立し得るのか、ぜんぜん納得できなくて、落ち込む。

 とはいえ、悲しみに暮れて何も手につないわけにもいかない。目の前に、自分の生活もある。

 アポイントメントがやっと取れ、ついにレンタル自転車を手に入れた。

 ケチって電動自転車にしなかったけれど、天候や体調を見ながら、どうするか考えよう。

 雨風があまりにも強ければ、自転車は大変だから、電車のチケットのサブスクに切り替えることも検討したい。

見た目はかわいい

2024年9月10日 ずぶ濡れ

 住所登録をしに、近所の市役所(みたいなところ)へ。

 オランダのさまざまな手続きの問い合わせ先に、電話番号指定が多いのが意外。

 プロセスがオンライン化されているのはラトビアのほうかも。

 窓口のマダムはみんな英語が流暢で、助かる。そして愛想がいい。さらに助かる。

 渡された手書きで作る書面は、アラビックやギリシャ文字まであって、移住してくる人の多様さを感じた。中国語はあったけど、さすがに日本語はなかった。

 そういえば、こちらに来てから日本人、中国人、韓国人より、圧倒的に台湾人と会うことが多い。

 というか、日本人にはまだ一人も出会していない。

 ずっと前だが台湾はオランダに支配されていた歴史があり(しかも30年間くらいしかない)、もしかしたらそういう文脈も影響しているのかな。

 家から市役所、市役所から大学、大学から家と、合わせて2時間くらい自転車を漕いでいた。

 ちょっとさすがに疲れた……。

 しかも帰りは霧雨だった雨が強まり、ずぶ濡れになって、なんだか無意味に惨めな気持ちになってしまった。

 これに雨風が加わったら、学校に行くのが嫌になっちゃいそう。

 ということで、レンタルバイク2日目にして電動自転車へのアップグレードを決めましたとさ。

 あと、漕ぎ続けていると、足よりお尻が痛くなる。意外な発見。

2024年9月11日 話しかけられた!

 今日は一コマだけの授業。

 プレゼンのグループ分けがあり、メンタルヘルスをテーマに10月頭にプレゼンをすることに。

 そのあと、食堂でごはん。

 安くはないけど、朝から自転車を爆漕ぎしてお疲れ気味なので、ちゃんと食べる。

ポケボウルと書いてあった丼物とグリーンカレーみたいなスープ、プラム。これで9ユーロ

 ごはんを食べていたら、隣に座っていたオランダ人の男性に話しかけられた。

 先生かと思ったら、リサーチャーの人だった。

 保険料が高くて健康維持がどうなっていくのか不安になり、仕組みを作る側になりたくて、ヘルスエコノミーについて勉強していると言っていた。

 こういうやり取りがあるの、うれしいなあ。

 ちにみに彼が話しかけてきたのは、わたしと同じスープを飲んでいて「辛くてびっくりして、この驚きを誰かと共有したかったから」とのこと。

 帰りは、晴れていてもカッパを着て、万全の体制でチャリを再び爆漕ぎ。

 やっぱり道中で雨が降り、もう常にカッパを着ていた方がいいんじゃないかと思った。

2024年9月12日 言わないと分からない

 今日はレクチャー(講義)とセミナー(ゼミみたいなやつ)が一つずつ。

 セミナーではグループ分けがあり、興味のあるテーマについてグループプレゼンをするというもの。

 大学にいてもいろんなところで数人の学生が一緒にパソコンやノートを広げて勉強している姿がある。

 なるほど、そもそもグループ作業を求める授業が多いのか、と気づく。

 学部の授業だからなのか、ソーシャルサイエンスの領域だからなのかは分からない。

 知らない人に話しかけてサッと物事を進めるのが、とてもスムーズ。「どうする?」と相手の出方を待つ前に自分で提案していく感じ。

 なりゆきで、オランダ人の女の子3人とグループを組むことに。

ここから先は

2,007字 / 6画像

¥ 200

読んでいただき、本当にありがとうございます。サポートいただいた分は創作活動に大切に使わせていただきます。