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僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって

僕が旅に出る理由は だいたい百個くらいあって
ひとつめはここじゃどうも息も詰まりそうになった
ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること
みっつめは車の免許とってもいいかな
なんて思っていること

ハイウェイ/くるり

しあさって、久しぶりに旅に出る。スーツケースとリュックサックを持って足取りは軽やかに。新幹線のきっぷを買って、電車の窓からの景色をぼーっと眺めて。駅のホームに降り立ったときのそわそわとした気持ち、駅から青空に突き抜けるビル群を眺めたときのまぶしさ。そんなものを想像するだけでワクワクな気持ちが育ってゆく。もちろん、BGMはくるりのハイウェイだ。

私にも、旅に出る理由はだいたい百個くらいあるのだろうか。ひとつめは、ふたつめは、みっつめは?

ひとつめは、なんだろう。いろんな街の空気を吸いたいから、かな。私が旅に出たい、と思うのはきっとその街にしかないその街の空気感や風景、そこに住む人たちの情景をこの目で見ていたいから。

海がすぐ近くにある街、山に囲まれた街、ビルが建ち並ぶ街。赤土がどこまでも続く街、砂漠の街、時が止まったかのような旧市街。日本にいても世界のどこにいても、「その街の空気」は必ずあるから。そんなものを肌で味わい尽くしたいのだと思う。

ふたつめは、新しい自分自身の感情に出会いたいから、かな。新しい場所や人に出会うと、必ずといっていいほど新しい感情に出会う。「あ、私はこんなことを考えていたんだな」「こんな景色をいいと思えるのか」と自分に対してさえ、新たな発見があるのが旅だと思う。

これまでは苦手だと思っていたものが実は好きだったり、こんなもので心が動くはずがないと思っていたものに、とてつもなく衝撃を受けてしまったり。予想できない感情と出会えるのは、新しい場所へと旅に出るからこそだと思う。

みっつめは、忘れたくないような思い出がたくさんできるから。旅先での嫌なことも、今思うと許せてくる。もちろん涙が出るほど美しい景色も、そこで出会った人も、うれしかったことも、過去を愛おしむような気持ちでいつまでも思い返すことができる。そんな思い出をたくさん積み重ねられる、だから旅が好きなんだ。

よっつめは、現実から、現実にいる自分から少し離れてみたいから。いつもの自分、いつもの場所、いつもの悩み、そんなものから少しだけ距離を取ってみて、違う場所からそれらを眺めてみる。そんな時間がきっと必要だから。旅を一度はさむことで、また日々を頑張れる。


いつつめは、むっつめは、とゆっくりと考えていけば、たくさんのことが思い浮かびそう。私のだけじゃなくて、旅が好きな人一人ひとりの「僕が旅に出る理由、だいたい百個くらい」聞いてみたい。きっと一人ひとり違うと思うから、なんでその人は旅に出るのか、そんな想いを聞いてみたい。楽しいだろうなあ。

あ、あと私が旅に出る理由、それはこうやって旅に出る前のワクワク感や、これから出会うであろう新しい街や人に想いを馳せることができるから。旅にはまだ出てすらいないのに、こうやってどれだけでも気持ちをワクワクさせられる。スーツケースに荷物を詰めるのだって、移動中の電車で聴くためのプレイリスト作りだって、電車の中で読むための本を選ぶのだって。

「旅に出る」ことをただ思い立つだけで、日々の暮らしが少し楽しくなる。ちょっと先の日々に浮き足立つような気分になる。それだけで、きっと「旅に出る」理由になるはず。


しあさってから、久しぶりに旅に出る。このワクワクとした高揚感を忘れずに。

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misaki|散歩日和
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