Fate/Biblio Order ペルシャ神話

知恵の宝庫 図書館

 図書館というのはすごい所だ。検索方法さえ工夫できれば大抵の資料に行き当たることができる。自分が知りたかった事柄に対してクリティカルな答えが載っているものを見つけることも困難ではない。
 だが一方で図書館の検索システムは表記ゆれに滅法弱い。正確にその資料を出すために、Googleのような曖昧検索が機能しないのだ。例えば「こどものとも」を調べたいとき、「子供の友」と入力するとあの絵本のシリーズは出てこない。更にかゆい所に手が届かない例を挙げると「ギリシャ」と「ギリシア」がわかりやすいだろうか。「ギリシャ神話」という題名の本だと思ってタイトル検索をしたら、「ギリシア神話」だったので見つからなかった…ということは頻繁にある事例だ。ちょっとの勘違いで目的の本が見つからない、というような事例を集めた「100万回死んだ猫」は非常に面白い書籍なので本好きはぜひ読んでほしい。

それで今回の話に繋がるんだがね


 「ギリシア/ギリシャ」の例に近く、今回の話にも深く関わるのが「ペルシャ神話/ペルシア神話」である。
 神話の中ではどちらかといえばマイナー寄りかつ史実寄りで、ギリシャ神話やメソポタミア神話と比較してかなり人の時代に下った物語だ。
 それもあってか図書館への所蔵数や割合は少なく、近い地域の作品と習合されて紹介されている場合も多い。私が見つけた本ではギリシャ神話とくっつけられていた。
 それで、だ。
 FGOに登場するペルシャ神話の存在といえば、必ず一度は使うことになる☆1の弓使い、アーラシュだ。
 まだそこまで手が伸びていないので詳しくは知らないのだがどうやらゾロアスター教もペルシャ神話の系譜の中にあるようなので、アンリマユはご同郷?あとは先月立ち絵のみではあるが登場したザッハークが代表的なのだそう。
 そう。ザッハークが代表的。
 ここまで書いたことで皆さん察していただけるのではないかと思うのだが、謝罪をしなければならない。
 4作品目にして該当キャラクターが活躍する物語を見つけられずに断念となった。
 そもそもが王ではなく一人の戦士。ザッハークも載っている『王書』ではその名を確認できなかった。せめて仕えた王や敵対した将軍の名前くらいは神話辞典などで確認できないかと何冊も見比べた。『王書』にて『マヌーチェフル』(アーラシュの代のイランの王)の名は見つけたものの、同じ名前の人物が繰り返し出てくることも多いのが国を題材にした物語。果たしてこれがアーラシュが仕えたとされる人物と同一なのかまでは、やはりアーラシュへの言及がなく判断できなかった。(これらの名前についてはFGO公式が出していた4コマ漫画内のものを参考としている)
 FGOを発端に絶版になった書籍が再度日の目を見た、という例を知っていたのでアーラシュほどのキャラクターの出てくる物語が和訳されていないとは思っていなかった。先述の作品中でマシュが「原作が翻訳されていない」という旨を発信していたが、数年たった今でも状況は変わっていないようだ。
 アーラシュ・カマンガーが大々的に名前を出しているのは『蒼銀のフラグメンツ』に留まるらしい。
 というところで一つの疑問が浮上した。
 奈須氏、もしくはフラグメンツの担当の桜井氏に置かれては、この神話上の人物を、どのようにして見出したのだろう。
 ペルシャ旅行をしてたまたま?自身、ないしは知人に研究者がいた?
 そうでもない限りはなかなかこのキャラクターを取り上げ描くことは無いのではなかろうか。
 神話のキャラクターをインターネットで調べると様々なゲームのキャラが男女に限らず出てくる昨今においても、アーラシュが出てくるのは観測範囲ではFGOだけだ。
 それ以外に出てくる記事もWikipediaが精いっぱいで、Wikipediaにおける参考文献もほとんどが国外の書籍や論文となっている。
 いったいアーラシュはどこから彼らの頭の中に舞い降りたのだろう。
 それこそ一条の流星の如く降ってきたのだろうか?

 登場するペルシャ神話に倣うかのように彼自身も幾つもの表記ゆれネームを持つアーラシュ。
 いつか子供向けの抄録版ペルシャ神話などで彼の活躍が日本で読めるようになってほしいものだ。
 その時はぜひ鶴岡氏に朗読してほしい。
 ステラの詠唱付きで。


 


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