探し物はなんですか~第3話:過重~
2018年6月、私は太っていた。いや太った私がそこには存在していた。
健康診断の結果、太り気味と診断された私は自身の生活習慣を顧みていた。筋肉の分だよ、というのはただの言い訳であることも知っていた。なぜなら昔はもっと軽かったのである。
175 ㎝の標準体重が67キロであるというところからすると、それをはるかに上回っていることになる。確実に飲みすぎてカロリーオーバーに陥ったのだ。
しかし7月末にリレーで10キロを走らないといけない私は体重を減らす必要性に迫られていた。そこで私は走ることにしたのだ。減量と体力を取り戻するために。
そう、だからその日も走ることにしたのだった。
ランニングの時はいつもは人目につかないように財布と一緒に肌身離さずもっていた大切なそれを、ポケットの中にいれることにしていた。そして走りながら定期的にポケットの中のそれの感触を確かめることで安堵を感じていた。
もしかするとその時だけでも指にはめておけばよかったのかもしれない。でもそのリングは私の指には収まらなかったし、無理やりはめても走りにくかったのもあって結局ポケットにいれていたのだった。
ところがその日に限っては急いでいたのもあって、着替えたズボンにポケットがないものを選んでしまったのである。
迷ったあげく、私はそれをランニングポーチに入れていくことにした。これならなくすわけない。そういう過信があったのかもしれない。てかどう考えてもなくさないだろうと思った。
この時は走り終わった後にはこんな結果をむかえるなんて、知る由もなかった・・・
つづく
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