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うつのみや花火舞台裏~その18:子供たちの花火~

「ぼくの花火あがれ!」


心配していた雨はもう降らなかった。
ステージ上ではついに描いた絵が花火の絵が本物の花火になるというイベントまですすんでいる。打ち上げを前に子供たちが嬉しそうにはしゃぐ姿があたりを和ませていた。


そしてついにスタート!


子供の掛け声とともに花火が発射される。打ち上げ花火が大きな空のキャンバスに子供たちの絵を描く。子供達やその家族から大きな歓声があがる。
雨の中耐えていたとは思えない最高の笑顔がそこにあった。


私はかつてない高揚感を感じていた。なんだろうこの感覚。そこにあったのは不安なことがひとつもなくて敵意がある人も誰もいない、ただただ笑顔であふれている空間だった。そう、ステージ上には幸せがあふれかえっていたのだ。


もちろんこのステージ自体は小さくてこのステージを見てない人がほとんどだったろう。もしかするとなぜ花火があがっているかすら分からなかったかもしれない。でもそれでもこのイベントはやる意味がある。私は確信しながらステージ上に立ち尽くしていた。


あぁ、そうか。この瞬間ために頑張ってきたんだな。私は全てを理解した。
それに今までの苦労が全部報われた気さえした。いや苦労なんてしてない。この最高の笑顔と比べるに値する苦労なんて一つもない。


この場のこの空気を決して忘れたくない、私はそう思いながら子供たちの後ろでひとり感情的な気分に浸っていた。そして小さくガッツポーズをした。

ついにやったんだ、と。


つづく・・・

#おうちで花火うつのみや

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