目は見えてるのに、見えなかった。
私が今年から所属する
なでしこリーグ1部
"朝日インテック・ラブリッジ名古屋"
全クラブと対戦して改めて感じたのは、なでしこリーグで一番美しいサッカーをするクラブであること。
GK含めピッチ上の11人に高いビルドアップ能力が求められる。
ボール支配率は毎試合圧倒的だった。
課題であるビルドアップの成長と左利きになるために、
なでしこリーグ2部からのステップアップとして、本当に良い移籍をさせてもらいました。
昨年は、全体練習後もホームの試合後もオフも、毎日毎日左足のキックの自主練習をして、1年間で1万本をはるかに上回る本数になりました。
※左利きになる理由は前回のnoteから
プレシーズン中に起きた異変
目は見えてるはずなのに、
味方か相手か、あれは誰なのか、見えなかった。
顔を上げると、みんな真っ黒に見えて、認識するまで時間がかかった。
ビルドアップをするのに、致命傷。
いや、ビルドアップに囚われているからこそ、あらわれた異変だった。
昨年、少しずつ積み上げていた、ビルドアップの感覚と自信が、たった2ヶ月間で跡形もなく消えた。
人と比べてできないことよりも、できるようになったことが、またできなくなることは、相当苦しかった。
そして、なにより、限りなく優勝に近いクラブの足手まといになっている、自分が大嫌いだった。
それから、疲労か何か分からないけれど、とにかく身体が重かった。痛かった。動けなかった。
仕事を終えて帰宅すると、ベッドに倒れ込む日が続いた。
でも早く逃れたくて寝ようとすれば、よくあるえんぴつでグッチャグチャに書いた線が浮かんで、見事に入眠障害と中途覚醒と早朝覚醒の睡眠障害すべてをコンプリートして、またすぐに暗い朝を迎えた。
頭の中はいつも、雨が降り出す直前の灰色の曇り空。
内容は何であれ、誰かとサッカーの話をしたり、サッカーのことを考えるだけで、泣いてしまった。
でも、悲しいとか悔しいとかの感情を察してるわけではなくて、普通に日々を過ごしてて「あれ、なんで涙が出てくるんだろう。」ってタイミングで泣いてて、もう自分では歯止めが効かないぐらいに感情がバグってた。
日常すら、サッカーに支配された。
何もかも自分が悪いと思った。
何をするにも頑張らなきゃいけなかった。
でも、そんなときでも、人でも怪我でもなくてサッカーに悩めているのは、有難く思えた。
自信の存在
全体練習後、私がいつも通りキックの自主練習をしていると、総監督が話しかけてくださり
「珠幸はみんなの声を聞きすぎて、焦っちゃってるでしょ?
珠幸は落ち着いて蹴れば、右足も左足もこれだけ蹴れるんだから、自分がここだ。と思ったところに蹴れば大丈夫だよ。」
と言ってもらった。
まさにその通りだった。
ビルドアップに弱みを感じているから、全部みんなが正しいと思えて、自分が信じられなかった。
ここに蹴ろうとしているとき周りに声をかけられると、無理にキャンセルして呼ばれた人に出そうとするけど、焦りながら変えた判断に、崩れたフォームで蹴ったパスは乱れたり、時間がかかって相手に寄せられたり。
上手くいかないのに、
みんなが見えている視野を見えていない自分が悪いから、永遠に遅れた世界からみんなを追いかけていた。
そのうち、ビルドアップだけではなくて、強みにしていたシュートストップやハイボールさえも、自信がなくなった。怖くなった。
「ナイスキー!」と言ってもらえても、完璧に欠けている部分を探すようになった。自分に対して完璧以外は許せなかった。
無意識のうちに、謙虚ではなく、自己否定をしていた。
総監督の言葉から、自信の存在を思い出させてもらった。
リーグ折り返し地点
前期を終了して、8勝2敗1分で2位。
目指すは優勝のみ。
私は、在籍1年目らしく、刺激を与え続けること。
できないことは仕方ない。でも、過去の自分よりは成長していること。
これを忘れないで今年を戦いたい。
クラブのためであり、自分のために。
知り合いに会うと、
「珠幸もったいないよ。違うチームなら絶対出れるのに!」
ってよく言われる。でもそういうことじゃないんだ。
たくさんの人をサッカーで笑顔にするが夢なら、なでしこリーグの数百数千ではなくて、もっと上、数万数十万を笑顔にできる人になりたい。
だから今は、難しい道で勝負することに意味があると思ってて、
何度負けても、またここで勝負を挑み続けたい。
そして、このクラブこのサッカーのピッチに立つことができたら最高に思うし、成長した私を見てもらって、笑顔にさせたい人がたくさんいる。
勝つことを諦めたときが、引退のとき。
23歳の私は、中断前最後の試合
6/29(土)のバニーズ群馬FCホワイトスター戦で24歳を迎える。
サッカー選手としての生き方をたくさん考えた23歳、終わりは笑って。☺︎