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見上げればいつも四角い青空#45 気の遠くなる試行錯誤と時間の積み重ねの先に

「訳ありながら…」

父から添え状とともに、愛媛県宇和島産の甘平という美味しい蜜柑が届いた。

オレンジ色の外皮を剥いてみるとこれがとにかく薄い。瓤嚢(じょうのう)の中は、外皮を外に押し広げるように粒の大きな砂瓤(さじょう)でパンパンだ。瓤嚢の一つを口に放り込んで見ると、果汁が飛び出すのを一所懸命に耐えていた砂瓤が弾け、口いっぱいに甘みが広がる。

確かに大きさがバラバラで、少し傷があるものがある、と言えばある。
日本ではこの種の訳ありの野菜や果物が、スーパーや道の駅に並ぶことがある。訳ありの理由は、大きすぎや小さすぎ、もしくは曲がっていたり、傷があったり。見た目がほとんどで、味が訳ありのケースに出会った試しがない。

消費者にとっては、美味しいものをお得に食べられ、ありがたいことでしかないけれど、ルッキズムを助長しているようで、ちょっと釈然としなかったりもする。

それはさておき、蜜柑はもちろん、果物や野菜の生産に関わる方々が、高いレベルを追求していらっしゃる姿には尊敬の念しかない。

蜜柑について言えば、蜜柑の家系図でそんな努力の姿が垣間見える。

例えば甘平は、ポンカンと西之香を掛け合わせ。ポンカンはカラマンダリンから。カラマンダリンは温習みかんとキングマンダリンからとされている。
気の遠くなるような組合せの試行錯誤や時間の積み重ねの結果、ボクの口に届いていると思うと、なおさら神々しい。

そんな姿に想像が至らなかった子どものころのボクは、箱で届いた蜜柑を指先が黄色くなるほど食べて、母に叱られたことを思い出した。

さて我が家では、蜜柑は箱から取り出し、一つ一つ間を空けて、少し寒いところに並べておくのが流儀だ。そして何より「もったいない」という気持ちを横に置いて、美味しいうちにいただくことにしている。

そんなわけ言い訳をして、ボクはおくさまに内緒でもう一つ頬張っている^^;

最後まで読んでいただきありがとうございます。同じようでいて同じではない日々の生活の中で、感じたことや考えたことをスケッチしています。よかったらまた立ち寄ってください。

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