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いつか醒める夢でも #夕陽海彩のひとりごと

お久しぶりです。
夕陽海彩です。

今日は、私が脚本家を務めている文化祭ミュージカルのお話を。
何それって方は、この記事の前にこっちを読んでいただけると嬉しいです。


公演まで、1ヶ月を切った。

役者陣に楽器隊、音響照明、大道具や衣装制作。
各部門の練習や準備も、いよいよ佳境に入る。

そんな中、役者としての出番がない時に練習風景を見ていると、ふと思うことがある。

もう、物語は脚本家の手を離れたのだな、と。

それぞれの役者が自分の役としての性格を考えて動きをつけたり、
振付担当が劇中歌の振り入れをしたり。

ここはもう、私の仕事じゃないな。

そう思って、少し寂しく、舞台を見ていた。

…かと思えば、改訂に改訂を重ねた結果、
舞台進行に不都合が出たり、
根本的な物語の筋と、後から改訂した部分との整合性が取れなくなったりして、
慌てて軌道修正に奔走することもある。

同期の26人だけで舞台を回すから、
脚本に校閲係なんて付けている余裕は無いのだ。
そんな状況でやっていると、
後から後からあれこれと出てくるのは致し方ない。


どこかに寂しさを抱いて舞台を見つめては、
脚本家としてまだまだ仕事が出てきて奔走する。
そして自分の役作りに苦戦する。


でも、そんな日々も、あとひと月。

10月13日。

その日が終われば、公演の幕が下りたら、こんな日々は、終わってしまう。

舞台という夢からは、醒めてしまう。

稽古をしながら、ずっとこの時間が続けばいいのにと思っていた。

公演が終われば、将来とか現実とか、そういうことが一気に押し寄せてきてしまう気がして。

この舞台を創っている間は、
私は脚本家でいられるけれど、
それが終わってしまったら…?

私は、何者でもなくなってしまうの?

夢から醒めたら、何も残らないの?

そんな、切迫感を伴った寂しさに囚われそうになる。

でも。

たとえいつか醒める夢であっても、
今は、この公演に全力で向き合いたい。

共に舞台を創るメンバーたちと過ごす時間に
脚本家として舞台を組み立てることに。

一度きりの公演、一度きりのメンバー。

この公演が終わった時、
音大生として、もの書きとして、
私に何が残るのか。

そんなことは、今はあまり考えたくない。

たとえいつか醒める夢でも、
今はその夢に全力でありたいのだ。

舞台という名の、夢の中の真実に。
そこにある、想いに。

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